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112.楽しい釣り堀
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今日は休みを利用して、はるばるローザン王国は ダンジョン・ムラカミ に来ている。
目的は言わずと知れた『釣り堀』である。
そして今回参加しているメンバーは僕、クロナ、リン、そしてダイゴの4人と邸の従魔たちである。
エマは何やら学園の友人とショッピングに行くとか何とかで別行動である。
僕らは まずダンジョン転移でローザン王国のバロン付近へ出た。
そこから海に向かって歩いていくと『健康ランド』の大きな看板が見えてくる。
その看板には、「日帰り温泉」、「食事処」、「釣り堀受付」、「定期送迎馬車有り」などが書かれていた。
それを更に進んでいくと平屋のデカい建物が見えてきた。温泉ランドである。
正面玄関から中に入ると広めのロビーが有る。
そこには沢山の人が居り わいわい賑わっている。僕たちは釣り堀の受付を行うために奥のカウンターへ向かった。
「人が多いのニャ ご主人様。ダイゴと手をつながないと迷子になるニャン」
「おう、この人達はおそらく送迎馬車を待っているのだと思うぞ。隣りにあるバロンに行くヤツだな」
「すると、温泉ランドのお客さんですよね? 朝から沢山の人が来てるのですねぇ」
「うん、そうだな。朝の方が空いていてゆっくり出来るのかもな」
「さて、料金も払ったし中に入ろうか」
「「「は――い!」」」
案内された方へ進むと、『ダンジョン釣り堀はこちら』の看板と矢印が出ている。
その角を曲がり奥に進んでいくと 係員がいてチケットの確認をしてくる。
簡単な諸注意を聞き、先に用意してある転移陣の上に乗ると ダンジョン・ムラカミ の1階層だ。
おおっ、釣り堀コーナーがある場所は他のダンジョンと比べてもかなり明るくなっていた。
ここでも係員がいて、釣り竿とエサ用の小エビを海水と一緒に手桶へ入れてくれる。
それぞれが竿とエサを受け取ったら次は釣り場を探していく。
周りを見渡してみると釣り堀用の生け簀が3ヶ所用意されていた。どれも小学校のプール程の大きさがある。
「さて、始めるとするか。先に仕掛けなどの説明をするから後は各々好きな所で釣ってくれ。生け簀が3つあるのは、それぞれ違った種類の魚が入れてあるからだと思う」
「釣りは初めてでワクワクするのニャ、たくさん釣ってたくさん食べるニャン」
「そうですね。わたしも大きい魚が釣れるよう頑張ります!」
「ダイゴはまだ無理だからシロ達と遊んでな。向うに浅瀬と干潟のコーナーもあるから潮干狩りで貝なんかを取ってみるのも楽しいぞ」
「あと、ダンジョンなのでモンスターは出るぞ。……あれだ! 水にプカプカ浮いているヤツな。『クラゲッチ』というものだ。襲っては来ないから基本は無視でいいぞ」
「やっつけてもいいの?」
「おう、もちろんだ。クラゲッチをやっつけても魔石は沈んでしまうが、浅瀬なら見つけられそうだな」
と言って、ミスリル合金製の手掘りスコップとザルをダイゴに持たせた。これでクラゲッチが出ても一発で仕留められるだろう。
そうして、クロナとリンに仕掛けとエサの付け方を教えてやると、思い思いの場所に別れて釣りを始めた。
僕も場所を決めると、備え付けの椅子に腰掛け釣り始めた。
すると、結構あたりもあるし良く釣れる。
初めはリール無しでも大丈夫なのか? と不安であったが取り越し苦労だったようだ。
付けているエサが生きエビであるところは大きいし、それに魚がスレていないのだ。
入場料が銀貨1枚と庶民には少々厳しいものだったが、これなら元は取れるし何より楽しい。
場内は竈や薪なども用意してあり調理して食べ放題。しかも、持ち帰りも10匹まではOKなのだ。
これで1000円程だ。いくらレジャーが普及していないこの世界でも これはいけると思うのだが。
ある程度は釣り上げたので、魚は生かし網に入れみんなの所を回ってみることにした。
「お――いクロナ。どんな感じだ?」
「あっ、カルロさま。頑張ってますよ! 最初はビックリして糸切られちゃいましたけど、だいぶ慣れて分かってきました」
「おっ、引いてる引いてる!」
「きゃっ、大変!」
「そうそう、無理せず しっかり竿を立てて。おお、上手いじゃないか」
「えへへ、やりました!」
「やったな! それじゃあ、また後で来るから頑張れよぉ」
お次はリンか、どこだ? おお、居た居た。……何かもめてるのか?
「おおーい、どうかしたのか?」
「あっ、ご主人さま。あちきはこっちで釣ってたニャ、そしたらコイツが横から突っ込んで来たニャン」
「ああ、そして糸が絡んでしまったのか? どれどれ、貸してみ」
「こういう時は、まず魚を外す。そうしないと、魚が暴れて更に絡んでしまうだろ。そうして、糸が見えやすいように膝の上に置いてじっくりとだな……よし、外れた!」
「ほら。お隣さんに謝るんだぞ」
「あっ、あちきは悪くないニャ……」
「まてまて、釣り堀とか狭い所で釣る場合は周りをよく見て、お隣さんがフィッシュオンしたらこちらは竿を上げて待つ。これがマナーだからな」
「わかったニャ、謝ってくるニャン」
「うんうん、よく出来たなぁ。偉いぞ~」
しっかり謝って帰ってきた、リンの頭をやさしく撫でてから僕はその場を離れた。
次はっと、あっちかな。
僕は 多くの子供たちで賑わう『浅瀬と干潟コーナー』に向かった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
とうとうエマがカルロから離れてしまうのでしょうか? もう、エマの『――ひしっ!』は見れないのでしょうか……。まあ、まだ素直なダイゴも居るし、セーラも可愛いし、ミルキィも…………。この釣り堀、入口が何ヶ所もできたらダンジョン経由で移動とか……無理か。出る時チケット回収するだろうし。手紙とかなら中で受け渡せば……いける。 貴族来たら面倒そう。
目的は言わずと知れた『釣り堀』である。
そして今回参加しているメンバーは僕、クロナ、リン、そしてダイゴの4人と邸の従魔たちである。
エマは何やら学園の友人とショッピングに行くとか何とかで別行動である。
僕らは まずダンジョン転移でローザン王国のバロン付近へ出た。
そこから海に向かって歩いていくと『健康ランド』の大きな看板が見えてくる。
その看板には、「日帰り温泉」、「食事処」、「釣り堀受付」、「定期送迎馬車有り」などが書かれていた。
それを更に進んでいくと平屋のデカい建物が見えてきた。温泉ランドである。
正面玄関から中に入ると広めのロビーが有る。
そこには沢山の人が居り わいわい賑わっている。僕たちは釣り堀の受付を行うために奥のカウンターへ向かった。
「人が多いのニャ ご主人様。ダイゴと手をつながないと迷子になるニャン」
「おう、この人達はおそらく送迎馬車を待っているのだと思うぞ。隣りにあるバロンに行くヤツだな」
「すると、温泉ランドのお客さんですよね? 朝から沢山の人が来てるのですねぇ」
「うん、そうだな。朝の方が空いていてゆっくり出来るのかもな」
「さて、料金も払ったし中に入ろうか」
「「「は――い!」」」
案内された方へ進むと、『ダンジョン釣り堀はこちら』の看板と矢印が出ている。
その角を曲がり奥に進んでいくと 係員がいてチケットの確認をしてくる。
簡単な諸注意を聞き、先に用意してある転移陣の上に乗ると ダンジョン・ムラカミ の1階層だ。
おおっ、釣り堀コーナーがある場所は他のダンジョンと比べてもかなり明るくなっていた。
ここでも係員がいて、釣り竿とエサ用の小エビを海水と一緒に手桶へ入れてくれる。
それぞれが竿とエサを受け取ったら次は釣り場を探していく。
周りを見渡してみると釣り堀用の生け簀が3ヶ所用意されていた。どれも小学校のプール程の大きさがある。
「さて、始めるとするか。先に仕掛けなどの説明をするから後は各々好きな所で釣ってくれ。生け簀が3つあるのは、それぞれ違った種類の魚が入れてあるからだと思う」
「釣りは初めてでワクワクするのニャ、たくさん釣ってたくさん食べるニャン」
「そうですね。わたしも大きい魚が釣れるよう頑張ります!」
「ダイゴはまだ無理だからシロ達と遊んでな。向うに浅瀬と干潟のコーナーもあるから潮干狩りで貝なんかを取ってみるのも楽しいぞ」
「あと、ダンジョンなのでモンスターは出るぞ。……あれだ! 水にプカプカ浮いているヤツな。『クラゲッチ』というものだ。襲っては来ないから基本は無視でいいぞ」
「やっつけてもいいの?」
「おう、もちろんだ。クラゲッチをやっつけても魔石は沈んでしまうが、浅瀬なら見つけられそうだな」
と言って、ミスリル合金製の手掘りスコップとザルをダイゴに持たせた。これでクラゲッチが出ても一発で仕留められるだろう。
そうして、クロナとリンに仕掛けとエサの付け方を教えてやると、思い思いの場所に別れて釣りを始めた。
僕も場所を決めると、備え付けの椅子に腰掛け釣り始めた。
すると、結構あたりもあるし良く釣れる。
初めはリール無しでも大丈夫なのか? と不安であったが取り越し苦労だったようだ。
付けているエサが生きエビであるところは大きいし、それに魚がスレていないのだ。
入場料が銀貨1枚と庶民には少々厳しいものだったが、これなら元は取れるし何より楽しい。
場内は竈や薪なども用意してあり調理して食べ放題。しかも、持ち帰りも10匹まではOKなのだ。
これで1000円程だ。いくらレジャーが普及していないこの世界でも これはいけると思うのだが。
ある程度は釣り上げたので、魚は生かし網に入れみんなの所を回ってみることにした。
「お――いクロナ。どんな感じだ?」
「あっ、カルロさま。頑張ってますよ! 最初はビックリして糸切られちゃいましたけど、だいぶ慣れて分かってきました」
「おっ、引いてる引いてる!」
「きゃっ、大変!」
「そうそう、無理せず しっかり竿を立てて。おお、上手いじゃないか」
「えへへ、やりました!」
「やったな! それじゃあ、また後で来るから頑張れよぉ」
お次はリンか、どこだ? おお、居た居た。……何かもめてるのか?
「おおーい、どうかしたのか?」
「あっ、ご主人さま。あちきはこっちで釣ってたニャ、そしたらコイツが横から突っ込んで来たニャン」
「ああ、そして糸が絡んでしまったのか? どれどれ、貸してみ」
「こういう時は、まず魚を外す。そうしないと、魚が暴れて更に絡んでしまうだろ。そうして、糸が見えやすいように膝の上に置いてじっくりとだな……よし、外れた!」
「ほら。お隣さんに謝るんだぞ」
「あっ、あちきは悪くないニャ……」
「まてまて、釣り堀とか狭い所で釣る場合は周りをよく見て、お隣さんがフィッシュオンしたらこちらは竿を上げて待つ。これがマナーだからな」
「わかったニャ、謝ってくるニャン」
「うんうん、よく出来たなぁ。偉いぞ~」
しっかり謝って帰ってきた、リンの頭をやさしく撫でてから僕はその場を離れた。
次はっと、あっちかな。
僕は 多くの子供たちで賑わう『浅瀬と干潟コーナー』に向かった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
とうとうエマがカルロから離れてしまうのでしょうか? もう、エマの『――ひしっ!』は見れないのでしょうか……。まあ、まだ素直なダイゴも居るし、セーラも可愛いし、ミルキィも…………。この釣り堀、入口が何ヶ所もできたらダンジョン経由で移動とか……無理か。出る時チケット回収するだろうし。手紙とかなら中で受け渡せば……いける。 貴族来たら面倒そう。
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