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いつものように散歩したあと朝食を済ませて待っていると、9時頃に慶子がこちらを訪ねてきた。
「おじゃましま~す。ゲンちゃんもシロちゃんもおはよう!」
「おう来たか、おはようさん」
「ワン!」
シロ共々挨拶を交わし家にあがってもらった。
「あら、今日茂さんは居ないのねぇ~」
「いや居るぞ。社務所の奥で書き物しているはずだが……、茂さんになんか用事か?」
「あ、そうだったのね。じゃあこの ”よもぎ餅” はテーブルに置いておくわね。シロちゃんにはコレよ!」
おっ、よもぎ餅か! 旨そうだな。
シロには犬用のジャーキーだな。シロは尻尾を振ってめっちゃ喜んでいる。
「それで最近、身体の調子はどうだ?」
「うん、足も腰も問題なし。絶好調よ! そこの長い階段だって苦にならないわ」
イヲンで出会ってからこっち、体が生まれ変わったみたいだと本当に感謝された。
まあ、慶子を助けるのは俺としては当然のことなんだけどね。
それから例によって、どんな得物にするのか尋ねてみた。
「ダンジョンの中で使用する武器だけど何か使ってみたいものとかあるか? 銃とかは無理だけど」
「銃以外ならいいのね?」
「おう、銃や現代兵器は使用禁止みたいだが、古代からの兵器なら大体OKだぞ」
「そうねー。じゃあ私はシャベルがいいわね」
「おう、シャベルな……。園芸とかで使うやつか? 採掘でもするのか?」
「違うわよ! あるでしょう、工事現場で使っているようなスコップよ。できたら丈夫で軽いチタン製がいいわね」
「ああっそっちか、いわゆる土木スコップね。そんなの使うようなイメージが沸かなかったから」
「何いってるのよ! 接近戦ならスコップが最強なんだから!」
「おいおい本気か~」
いや、確かにそんなフレーズを昔聞いたことがあるような……。 んんっまてよ。単純に鉱石を掘ったりもできるよなぁ。意外と便利なのかも。
「ただ、あんな武骨なものはダメよぉ。持ち手は小さく丸く、シャフトも私の手に合わせて細くしてね。先端のシャベル部は少し細くしてちょうだい。それからね……、そうそうシャベル部の先端から2/3に刃を付けてちょうだい。両刃でよ!」
さすがは慶子、注文のつけ方に容赦がない。
なんでもいいとは言ったんだけどね。
俺はそれを詳しく聞きながら、スコップのイラストを起こしていく。
「こんな感じかなぁ。ここの持ち手はこんなでいいのか? 刃を付けるのはここまででいいな。片側はノコギリみたいにギザの方が良くないか? 滑り止めなんかはどうする?」
慶子と土木スコップのデザインを検討しながら、そのまま念話でカンゾー (ダンジョン) にイメージを流していく。
すると程なく、3本の試作品が出来あがってきた。
「こんな感じになったけど、持って試してみてくれ」
さっそく慶子に見せていった。
「ちょっと何…………」
慶子はその光景をまえに絶句している。
デザインを起こした側から試作品が目のまえにポンポン出てくるのだ。
まあ、今は俺たちしか居ないんだし、多少やり過ぎたとしても問題ないだろう。
「あなたって、ホントに何でも有りになったのねぇ」
半ば呆れながらも、慶子はスコップを一本一本しっかりと吟味していく。
「あら軽いわね~。うん、コレがいいわ!」
慶子が選んだのは、先端のシャベル部分がステンレス鋼、シャフトはチタンでできている軽量タイプの土木スコップ。
これなら非力な女性でも扱いやすくていいかもなぁ。
「じゃあ、そのスコップはこの袋に仕舞っとけ。それから……、こっちのローブを羽織ってみてくれるか」
俺はインベントリーからマジックバッグとワイバーンのローブを取り出すと、それを慶子に手渡した。
ローブの背面には邸 (ツーハイム家) の紋章がデカデカと入っている。
(月をバックにシロが吠えている図柄。ゲンの家であるツーハイム伯爵家の紋章)
ローブについてはおおよその見立てで出しているので、羽織ってみて動きなどを確認してもらう。
「よし、昨日もメールで伝えていたと思うが、さっそくダンジョンに入ってみるぞ。俺もシロも一緒だから安心してついてきてくれ」
「ああ、ついにダンジョンなのね…………。シロちゃん、しっかり私を守ってね」
「ワン!」
俺たちは表に出ると玄関の引き戸に鍵をかけた。
そう、最近では玄関の鍵まで預かっているのだ。
昼間は家に二人しか居ないし、茂さんは境内をあちこち動きまわっているので状況的には仕方ないのであるが、家の鍵を他人に預けるのはどうなんだろうか……。
「ちょっと出掛けてきます。昼には一度戻ってきますね」
社務所にいた茂さんに声をかけ、参道を表に向かって進んでいく。
石階段にさしかかったら認識阻害の結界を全員に施す。
右手に広がる雑木林の中を通ってダンジョンの入口へと向かった。
「よしココだな。さっそく中に入るぞ」
「…………?」
慶子は首を傾げながら見当違いな方を向いている。
まあ、傍目に見ればただの土手だからね。
俺は慶子の手を引いて土手の中に入っていく。
「えっ、えええええ、なんで通れるの? それに真っ暗で何も見えないじゃない」
「大丈夫だ。このまま進んでいけば階段があるから」
マグライトで足元を照らしながら ”ダンジョン前広場” を奥へと進んでいく。
程なくして俺たちはダンジョン・カンゾー の1階層に到着した。
「お~し着いたぞー。ダンジョンの中は涼しくていいよなぁ」
「へ~、ここがダンジョン? 意外と明るいのね」
慶子はキョロキョロと周りを見まわしている。
明るいのは通路の壁がうっすらと発光しているためである。
「今立ってるここがダンジョンの1階層になる」
「なんだかトンネルの中にいるみたいよねぇ」
カンゾーの1階層は洞窟型ダンジョンになっている。
洞窟の横幅は4m、天井までの高さは5~6mといったところだな。
慶子がトンネルだと表現していたが、然もありなん。
ただトンネルの天井部分はごつごつとした岩があちこちから張り出しており、昔に掘られた旧道のトンネルのような雰囲気だな。
この洞窟型の通路を進んでいくと中には大小様々なルームが点在しており、そこが通路の分岐点をも兼ねている。
「じゃあ、これからモンスターを狩ってレベルを上げていくからな。シャベルは手に持ってついてくるように!」
準備が終わった俺たちはシロを先頭にダンジョンの中を進みはじめた。
1階層に出るモンスターはスライムのみ。
形は一般的な鏡餅タイプで色はスカイブルーのシースルー (透明) だな。
止まってることが多いが、ポヨンポヨンと跳ねながら移動していることもある。襲ってくることはめったにない。
攻撃はおもに体当たり。2m程は飛んでくるから注意が必要だ。
まともに喰らうと、普通の人なら動けなくなってしまうほど強力なのだ。
攻撃されることが少ないからといって油断してはいけない。
さらにスライムから取りつかれると、溶解液を出して溶かされてしまうこともあるので、初心者の単独行動はお勧めしない。
囲まれると非常に危険だ。戦う場合は周りにも十分気を配ってほしい。
それで2階層からはスライムに加え、頭でっかちのコボルトが少しずつ混じるようになる。
お馴染みゴブリンが登場するのは4階層からである。
なぜ、出現するモンスターがわかるのか?
それはカンゾーとの取り決めにより、10階層に至るまでは向う (ダンジョン・デレク) と同じ配置にしてもらっているからだな。
ダンジョン・デレクにおける階層の構造や出現モンスターの詳細については俺の頭の中に入っているので、それをカンゾーにトレースさせているのだ。
(階層の構造やモンスターの詳細などのソースについては、最初にダンジョン・サラへ潜った際に流してもらった情報からです。あまりの情報の多さに気絶したときのやつだね)
ダンジョン・カンゾーの方も、それで何ら支障は出ないということであった。
また、今回の探索についても一応はカンゾーに許可をとってのことである。
なにせ、まだ覚醒前だからね。
[モンスターの配置が終わっている階層についてはテストをおこなう上でも、どんどん探索して欲しいでござる]
そういわれているのだ。まっ、プレオープンみたいな感じだよな。
シロがモンスターを見つけ、慶子がサクっと仕留めていく。
う~ん、土木スコップの使い方が同に入っているというか素人の取りまわしではないよな。
慶子のやつ、若いころはガテン系だったのか? 昔そんな話をしたような気もするが……。
1階層でのスライム戦はまったく問題なし。
ということで俺たちは2階層へ進んだ。
慶子はというと、スライムはもとより、たまに出くわすコボルトをも次々と倒していく。
コボルトが人型ということもあり、初めこそ嫌な顔をしていた慶子だったが、
モンスターがポンポン魔石に変わっていくのが楽しくなったのか、途中から攻略のスピードがあがってきた。
休憩は一時間ごとにキッチリといれていく。
最初はどうしたって無理をしがちになるからね。
その後の探索もサクサクと進んでいき2階層も突破した。
お昼になったのでカンゾーに頼んで神社へ送ってもらう。
本殿の裏にでた俺たちは、人が居ないことを確認したのち玄関へと向かった。
これは、あれだな。
次回からは母屋の裏口の方に送ってもらおうかな。
この母屋の裏口付近は生垣で覆われているため外からは見えにくくなっているのだ。
社務所にいる茂さんに声をかけ一緒に家にあがった。
「お昼どうする? 僕が車でなにか買ってこようか?」
財布を片手に外へ出ようとしている茂さんをとめ、
「いえいえ、今日はもう有るもので済ませましょうよ」
俺はインベントリーから牛丼や串焼き肉を居間のテーブルの上に出していった。
牛丼は吉野家だけど、串焼きは向う (デレクの町) の屋台で子供たちが焼いたものだ。
――すんごく美味しい!
みんなでおしゃべりしながら、楽しく昼食をとっていく。
もちろん話題はダンジョン探索のことばかりとなった。
食後はデザートには、慶子が持ってきてくれたよもぎ餅をぱくつきながらお茶をいただいている。
ゆっくり食休みをとりながら慶子を鑑定してみた。
ケイコ・タケサカ Lv.2
年齢 70
状態 通常
HP 20/21
MP 10/10
筋力 8
防御 6
魔防 10
敏捷 6
器用 14
知力 10
【スキル】 魔法適性(回復、結界)
【称号】 変えられし者、
【加護】 ユカリーナ・サーメクス
おおっ、レベルが上がっているな。
――よっしゃ!
7月14日 (月曜日)
次の満月は7月29日
ダンジョン覚醒まで54日・114日
「おじゃましま~す。ゲンちゃんもシロちゃんもおはよう!」
「おう来たか、おはようさん」
「ワン!」
シロ共々挨拶を交わし家にあがってもらった。
「あら、今日茂さんは居ないのねぇ~」
「いや居るぞ。社務所の奥で書き物しているはずだが……、茂さんになんか用事か?」
「あ、そうだったのね。じゃあこの ”よもぎ餅” はテーブルに置いておくわね。シロちゃんにはコレよ!」
おっ、よもぎ餅か! 旨そうだな。
シロには犬用のジャーキーだな。シロは尻尾を振ってめっちゃ喜んでいる。
「それで最近、身体の調子はどうだ?」
「うん、足も腰も問題なし。絶好調よ! そこの長い階段だって苦にならないわ」
イヲンで出会ってからこっち、体が生まれ変わったみたいだと本当に感謝された。
まあ、慶子を助けるのは俺としては当然のことなんだけどね。
それから例によって、どんな得物にするのか尋ねてみた。
「ダンジョンの中で使用する武器だけど何か使ってみたいものとかあるか? 銃とかは無理だけど」
「銃以外ならいいのね?」
「おう、銃や現代兵器は使用禁止みたいだが、古代からの兵器なら大体OKだぞ」
「そうねー。じゃあ私はシャベルがいいわね」
「おう、シャベルな……。園芸とかで使うやつか? 採掘でもするのか?」
「違うわよ! あるでしょう、工事現場で使っているようなスコップよ。できたら丈夫で軽いチタン製がいいわね」
「ああっそっちか、いわゆる土木スコップね。そんなの使うようなイメージが沸かなかったから」
「何いってるのよ! 接近戦ならスコップが最強なんだから!」
「おいおい本気か~」
いや、確かにそんなフレーズを昔聞いたことがあるような……。 んんっまてよ。単純に鉱石を掘ったりもできるよなぁ。意外と便利なのかも。
「ただ、あんな武骨なものはダメよぉ。持ち手は小さく丸く、シャフトも私の手に合わせて細くしてね。先端のシャベル部は少し細くしてちょうだい。それからね……、そうそうシャベル部の先端から2/3に刃を付けてちょうだい。両刃でよ!」
さすがは慶子、注文のつけ方に容赦がない。
なんでもいいとは言ったんだけどね。
俺はそれを詳しく聞きながら、スコップのイラストを起こしていく。
「こんな感じかなぁ。ここの持ち手はこんなでいいのか? 刃を付けるのはここまででいいな。片側はノコギリみたいにギザの方が良くないか? 滑り止めなんかはどうする?」
慶子と土木スコップのデザインを検討しながら、そのまま念話でカンゾー (ダンジョン) にイメージを流していく。
すると程なく、3本の試作品が出来あがってきた。
「こんな感じになったけど、持って試してみてくれ」
さっそく慶子に見せていった。
「ちょっと何…………」
慶子はその光景をまえに絶句している。
デザインを起こした側から試作品が目のまえにポンポン出てくるのだ。
まあ、今は俺たちしか居ないんだし、多少やり過ぎたとしても問題ないだろう。
「あなたって、ホントに何でも有りになったのねぇ」
半ば呆れながらも、慶子はスコップを一本一本しっかりと吟味していく。
「あら軽いわね~。うん、コレがいいわ!」
慶子が選んだのは、先端のシャベル部分がステンレス鋼、シャフトはチタンでできている軽量タイプの土木スコップ。
これなら非力な女性でも扱いやすくていいかもなぁ。
「じゃあ、そのスコップはこの袋に仕舞っとけ。それから……、こっちのローブを羽織ってみてくれるか」
俺はインベントリーからマジックバッグとワイバーンのローブを取り出すと、それを慶子に手渡した。
ローブの背面には邸 (ツーハイム家) の紋章がデカデカと入っている。
(月をバックにシロが吠えている図柄。ゲンの家であるツーハイム伯爵家の紋章)
ローブについてはおおよその見立てで出しているので、羽織ってみて動きなどを確認してもらう。
「よし、昨日もメールで伝えていたと思うが、さっそくダンジョンに入ってみるぞ。俺もシロも一緒だから安心してついてきてくれ」
「ああ、ついにダンジョンなのね…………。シロちゃん、しっかり私を守ってね」
「ワン!」
俺たちは表に出ると玄関の引き戸に鍵をかけた。
そう、最近では玄関の鍵まで預かっているのだ。
昼間は家に二人しか居ないし、茂さんは境内をあちこち動きまわっているので状況的には仕方ないのであるが、家の鍵を他人に預けるのはどうなんだろうか……。
「ちょっと出掛けてきます。昼には一度戻ってきますね」
社務所にいた茂さんに声をかけ、参道を表に向かって進んでいく。
石階段にさしかかったら認識阻害の結界を全員に施す。
右手に広がる雑木林の中を通ってダンジョンの入口へと向かった。
「よしココだな。さっそく中に入るぞ」
「…………?」
慶子は首を傾げながら見当違いな方を向いている。
まあ、傍目に見ればただの土手だからね。
俺は慶子の手を引いて土手の中に入っていく。
「えっ、えええええ、なんで通れるの? それに真っ暗で何も見えないじゃない」
「大丈夫だ。このまま進んでいけば階段があるから」
マグライトで足元を照らしながら ”ダンジョン前広場” を奥へと進んでいく。
程なくして俺たちはダンジョン・カンゾー の1階層に到着した。
「お~し着いたぞー。ダンジョンの中は涼しくていいよなぁ」
「へ~、ここがダンジョン? 意外と明るいのね」
慶子はキョロキョロと周りを見まわしている。
明るいのは通路の壁がうっすらと発光しているためである。
「今立ってるここがダンジョンの1階層になる」
「なんだかトンネルの中にいるみたいよねぇ」
カンゾーの1階層は洞窟型ダンジョンになっている。
洞窟の横幅は4m、天井までの高さは5~6mといったところだな。
慶子がトンネルだと表現していたが、然もありなん。
ただトンネルの天井部分はごつごつとした岩があちこちから張り出しており、昔に掘られた旧道のトンネルのような雰囲気だな。
この洞窟型の通路を進んでいくと中には大小様々なルームが点在しており、そこが通路の分岐点をも兼ねている。
「じゃあ、これからモンスターを狩ってレベルを上げていくからな。シャベルは手に持ってついてくるように!」
準備が終わった俺たちはシロを先頭にダンジョンの中を進みはじめた。
1階層に出るモンスターはスライムのみ。
形は一般的な鏡餅タイプで色はスカイブルーのシースルー (透明) だな。
止まってることが多いが、ポヨンポヨンと跳ねながら移動していることもある。襲ってくることはめったにない。
攻撃はおもに体当たり。2m程は飛んでくるから注意が必要だ。
まともに喰らうと、普通の人なら動けなくなってしまうほど強力なのだ。
攻撃されることが少ないからといって油断してはいけない。
さらにスライムから取りつかれると、溶解液を出して溶かされてしまうこともあるので、初心者の単独行動はお勧めしない。
囲まれると非常に危険だ。戦う場合は周りにも十分気を配ってほしい。
それで2階層からはスライムに加え、頭でっかちのコボルトが少しずつ混じるようになる。
お馴染みゴブリンが登場するのは4階層からである。
なぜ、出現するモンスターがわかるのか?
それはカンゾーとの取り決めにより、10階層に至るまでは向う (ダンジョン・デレク) と同じ配置にしてもらっているからだな。
ダンジョン・デレクにおける階層の構造や出現モンスターの詳細については俺の頭の中に入っているので、それをカンゾーにトレースさせているのだ。
(階層の構造やモンスターの詳細などのソースについては、最初にダンジョン・サラへ潜った際に流してもらった情報からです。あまりの情報の多さに気絶したときのやつだね)
ダンジョン・カンゾーの方も、それで何ら支障は出ないということであった。
また、今回の探索についても一応はカンゾーに許可をとってのことである。
なにせ、まだ覚醒前だからね。
[モンスターの配置が終わっている階層についてはテストをおこなう上でも、どんどん探索して欲しいでござる]
そういわれているのだ。まっ、プレオープンみたいな感じだよな。
シロがモンスターを見つけ、慶子がサクっと仕留めていく。
う~ん、土木スコップの使い方が同に入っているというか素人の取りまわしではないよな。
慶子のやつ、若いころはガテン系だったのか? 昔そんな話をしたような気もするが……。
1階層でのスライム戦はまったく問題なし。
ということで俺たちは2階層へ進んだ。
慶子はというと、スライムはもとより、たまに出くわすコボルトをも次々と倒していく。
コボルトが人型ということもあり、初めこそ嫌な顔をしていた慶子だったが、
モンスターがポンポン魔石に変わっていくのが楽しくなったのか、途中から攻略のスピードがあがってきた。
休憩は一時間ごとにキッチリといれていく。
最初はどうしたって無理をしがちになるからね。
その後の探索もサクサクと進んでいき2階層も突破した。
お昼になったのでカンゾーに頼んで神社へ送ってもらう。
本殿の裏にでた俺たちは、人が居ないことを確認したのち玄関へと向かった。
これは、あれだな。
次回からは母屋の裏口の方に送ってもらおうかな。
この母屋の裏口付近は生垣で覆われているため外からは見えにくくなっているのだ。
社務所にいる茂さんに声をかけ一緒に家にあがった。
「お昼どうする? 僕が車でなにか買ってこようか?」
財布を片手に外へ出ようとしている茂さんをとめ、
「いえいえ、今日はもう有るもので済ませましょうよ」
俺はインベントリーから牛丼や串焼き肉を居間のテーブルの上に出していった。
牛丼は吉野家だけど、串焼きは向う (デレクの町) の屋台で子供たちが焼いたものだ。
――すんごく美味しい!
みんなでおしゃべりしながら、楽しく昼食をとっていく。
もちろん話題はダンジョン探索のことばかりとなった。
食後はデザートには、慶子が持ってきてくれたよもぎ餅をぱくつきながらお茶をいただいている。
ゆっくり食休みをとりながら慶子を鑑定してみた。
ケイコ・タケサカ Lv.2
年齢 70
状態 通常
HP 20/21
MP 10/10
筋力 8
防御 6
魔防 10
敏捷 6
器用 14
知力 10
【スキル】 魔法適性(回復、結界)
【称号】 変えられし者、
【加護】 ユカリーナ・サーメクス
おおっ、レベルが上がっているな。
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