俺とシロ

マネキネコ

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24 教会にて     

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 女神であるユカリーナさまは創世神そうせいしんであるらしい。

 まぁ、いろいろと権限も持ってるみたいだしそんな感じだよね。

 「あの、すいません」

 俺たちを案内するために下がって道をゆずろうとしているシスターを呼び止める。

 「はい、如何いかが致しましたか?」

 「あの、俺はゲンといいます。そしてこっちが従魔じゅうまのシロです。一緒に中へ入っても大丈夫ですか?」

 「失礼いたしました。私はこの教会のシスターでマヤと申します」

 そう言って頭を下げてきた。

 やっぱりシスターだった。修道服しゅうどうふくみたいなものはないのであろう。

 「従魔を連れている方でも特に問題はありません。どうぞ、中へお進みください」

 そのようにうながされ俺はシロと一緒に教会の中へ入っていった。

 ここは礼拝堂れいはいどうかな?

 正面の立像りつぞうはユカリーナさんのようだ……が。

 あぁー、何だろうなこのモヤモヤ感。まったく似ていないのだ!

 本物はもっと綺麗で品があって……こんなにふくよか・・・・ではないのに。

 あ~もう、これを作ったヤツは全然分かってない! ここ1時間ほど説教してやりたいぐらいだ。

 「もし、ゲン様、もし……」

 「すっ、すいません。ちょっと腹の立つことが……って、いえ気にしないでください」

 「お祈りはこちらでなさってください。ごゆっくり、どうぞ」

 そう言うとシスターマヤは3歩程下がって見守っている。





 俺はシロを隣に呼び、ひざを突いて手を組んで祈りの姿勢をとった。

 すると、あたりが白くなっていき以前に訪れたかすみただよう空間に来ていた。

 今回はシロも隣にいる。

 すると目の前にまぶしい光と共に女神のユカリーナさまが顕現けんげんなされた。

 「ユカリーナさま、お久しぶりです。おかげでシロに会えましたよ。ありがとうございます」

 「シロさんも玄様もつつがなくお過ごしのようで嬉しく思います」

 「いろいろ想定外そうていがいな事もありましたが何とかやってます」

 『いっしょ、ねがい、うれしい、だいすき、ありがと、あそぶ』

 「シロさんも良かったですね。選択したのは玄様ですよ。いつも一緒に居られて楽しそうですね」

 「さて、せっかくですのでアドバイスを。時空間じくうかん魔法(U)はインベントリーだけではありませんよ。瞬間移動や長距離移転ちょうきょりてんい亜空間操作あくうかんそうさなどまだまだ可能性を秘めています。魔法はなによりもイメージです。シロさんが持っている感覚共有かんかくきょうゆう(超)はシロさん自身の想いでもあります。無限の可能性を秘めているのです。シロさんの力は玄様の力でもあるのです」

 「わかりました。精進しょうじんしていきます。ホントにありがとうございました」

 「そろそろ時間のようですね。最後に1つだけ、”トラベル!” です。それでは、また いつの日か……」

 真っ白だった周りの景色が元に戻る。しっかりとお礼が言えて本当に良かった。

 シロが思ってくれている俺への気持ちも嬉しい。すごく嬉しかった。





 祈りの姿勢を解きその場で立ちあがる。

 ふと、シスターの方に目を向けると何故なぜか号泣ごうきゅうしていた。

 どったの?

 首をかしげているとシスターは号泣しながら縋り付すがりついてきた。そして一言、

 「貴方が神か!」 

 ああ~、……なんかなぁ、台無しだよ!

 どーすんのよ、この気持ちを。

 いや、分かっているんだ。シスターも悪くなければ、誰が悪いわけでもない。

 この異世界における翻訳機能・・・・が……。

 いや、止めておこう悲しくなるだけだ。

 しかしだなぁ……。

 今もまだシスターを引きずったまま歩いている訳だが。

 他から見ると凄い絵ずらになっているよね、『間男まおとこ』的な。

 今でも腰に縋り付すがりついてるこやつと鼻水をどうしてくれよう。

 そうは言ってもいろいろさわがれても面倒なんだよなぁ。

 ここは、やはりコレだろ。

 俺はイベントリーより出した3枚の金貨をシスターマヤに握らせて、

 「この事は内密ないみつに頼む!」

 そう、言い残しひざまずいて両手で金貨を握りしめているシスターマヤを教会に残し、俺はその場を立ち去った。





 ふぅー、やれやれ。何かどっと疲れたよ。

 もう、昼時になっていたのか。この辺で旨い飯屋でも探してみようかな?

 中央広場近くにある飲食店街を俺はシロを連れあちらこちらと回ってみた。

 すると、行列が出来ている とある食堂に行き当たった。

 近寄って、表に出ていたスタンド看板見てみると、

 『ドラゴンステーキ限定50食』と書いた文字が。

 ドラゴンステーキ1皿500バース。パン、スープ付き。

 なるほど、高! でも、並んじゃうもんね~。

 そして、待つこと15分。ようやく店内へ案内された。

 「すいませーん! ドラゴンステーキを2つ、1つはこのフライパンに入れてください」

 「お客さん、お一人では?」

 「従魔じゅうまも一緒なんです。ダメですか?」

 俺はテーブルの下に居るシロを指差し聞いてみたのだがお店のウェイターは渋い顔をしている。

 ……仕方がない。

 ドラゴンステーキ2人前の代金は大銀貨1枚である。

 俺はその場で代金を支払う。それと同時に銀貨1枚をウェイターに握らせた。





 ほどなくして、

 「お待たせ致しました。こちらがドラゴンステーキでございまーす」

 さっきのウェイターが笑顔でステーキを運んできてくれた。

 おお、きたきた。 

 『それでは、いただきまーす!』

 食べ始めたのだが……。

 う~ん、美味しいことは美味しいのだが、この前食べたトカゲの方が旨かったよな。絶対! 

 そう思い、肉を鑑定してみた。

 ”レッサーワイバーンの肉:D”

 何だよこれ? レッサーワイバーンって。 ドラゴンですらない!

 「すいませーん、すいませーん、店長さんはいますか?」

 ニコやかな顔して呼んでみた。

 「はーい、何でしょうか? ちょっと忙しいのですがねぇ」

 と言って登場したのはここで店長をやっているというせぎす男。

 俺は店長が近くに来たところでおもむろに肉を指差し、

 「これって、レッサーワイバーンだよね」

 小声でつぶやくように指摘した。

 すると、それを聞いた痩せぎす男は顔が真っ青になり、

 「よ、よろしければ、こちらへ」 

 そう言って俺とシロをスタッフルームに連れていった。

 そして、痩せぎす男は俺たちの目の前で土下座をしている。

 おぉ、こっちの世界にも土下座があるんだなぁ~。などと思っていると、

 「申し訳ございません。ここのところ、ずっと赤字続きでして……」

 いろいろ言葉を並べて言い訳をしているのだが、はなはだ自分よがりで身勝手なおこないだ。

 全くもって話しにならない。

 しまいには刃物まで持ち出してきたので、その場で取り押さえて衛兵えいへいに突き出すことにした。

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