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俺とシロは街道沿いの野営地で美味しい夕食にありつくことができた。
カイアさんのいれてくれた紅茶をいただきながら竈を囲んで楽しく会話していた。
「仲がいいのね~。そんな懐かれて羨ましいな~」
「あ、はい。長年の相棒ですからね。いつも助けてもらってます」
この世界ではまだ1日だけれど、前世から数えるとかなり長いつき合いになるよな。
「へ~そうなの、その子は魔法が使えるんでしょう。だってトカゲの首を一撃で仕留めているし、すごいわ~」
「ええ~と、そのことは内密にお願いしますね」
「それは大丈夫よ、口止め料代わりにお肉頂いているから問題ないわね。それより、何処に行くか決めてないのなら私たちの町に来たら~。あなた達おもしろそうだし。ねっ!」
「おいおい、強引だなー。ゲンが困ってるじゃないか」
「あら、大丈夫よね~。どの道ここから一番近い町が モンソロ なんだから。ねー」
「はい、そうですね。いろいろ買う物もありますし、行ってみようかと思います」
「あっ! それとね~、良かったらトカゲの革譲って欲しいな~。ねっ、いいでしょう。ねっ!」
「そうだよ。ほとんど傷もないし『カモドオオトカゲ』でこの大きさだから……、色をつけて2000バースではどうだろう。ぜひ頼むよ」
「えっ、革? はい、もちろんいいですよ。それでお願いします。それから、明日にでも馬車に積んでる商品を見せてくださいね」
「やった――!」
カイアさんはガッツポーズをしている。――とても嬉しそうだ。
それからはいろいろな話を聞かせてもらった。
この国の名前すら知らなかったことには驚いていたが、少しお酒が入っていたこともあり特に問題になることはなかった。
迷宮都市なんかもあるそうだ。――ダンジョン!?
シロも居ることだし、一度ぐらいは行ってもいいかもしれない。
結局、マクベさんに同行して、俺たちはモンソロの町まで行くことになった。
また、町に向かう間にこの王国のことや町のことなどを教えてもらえるよう頼んでおいた。
お金の話題が出たところで、これ幸いと小さな革袋に入っていた銀色のインゴット (たまご小の大きさです) を取り出して、マクベさんに見せることにした。
どれほどの価値があるのか聞いてみようと手渡したら、マクベさんはびっくり仰天! ひっくり返っていた。
「こっ、これはいけない。おいそれと出してはダメだ」
さんざん念を押され、大切にしまっておくように言われた。
詳しく話を聞いてみると、これは『ミスリル』のインゴットだそうだ。
それも、精製された純度の高いミスリルであるらしく、10万バースは下らないだろうということだ。
ふ~ん、10万バースねぇ。
まだ、お金の価値が分っていないので、今いちピンとこないのであるが……。
これはナイフとかも見せない方が良さそうだな。――ホントに女神さまって。(汗)
また、話は変わるのだが、
この街道に人の行き来が少ないのは、ここより南に下ったところにある『ガルーダ大森林』が原因なんだそうな。
ガルーダ大森林は南北に細長い森林地帯で、その総面積はこの大陸の一国に値するほどに広大なのだ。
そのガルーダ大森林には数多くの魔獣が生息している。
そして、大森林の北端が接しているこの街道には魔獣が頻繁に出没し、人や馬が襲われているのだという。
これに対し王国の方も、大森林との間に石垣による防壁を広範囲に築いており魔獣の侵入を防いでいる。
さらに防壁の中央には砦が置かれ、王国騎士団が持ち回りで詰めているそうだ。
砦に駐屯している騎士団によって殆どの魔獣は討伐されるのだが、それでもいくらかの魔獣が街道まで出てきてしまうそうだ。
マクベさんらはそんな危険なところを通ってきたわけではなく、
かなり手前から西に折れ、少し進んだところにある『タグ村』へ行商にいった帰りだそうだ。
ここから先の北方面は割と安全に行き来することができるのだとか。
それにしてもコリノさんは喋らないよなぁ。
肩までの銀髪に碧眼で、凄い美人さんなんだけど、目が怖い。
自前の敷物の上に座っている。長弓と矢筒は手の届くところに、腰には片手剣のレイピア? を装備している。
服装は上が薄い灰色のチェニックシャツに茶色の革ジャケット、下は黒のパンツに革のショートブーツといった装いだ。
マクベさん夫婦が気を使うそぶりがないことから普段から無口なのだろう。
さて、そろそろ休みたいところだが夜警について聞いてみることにした。
「マクベさん、今日の夜警はどうします?」
「じゃあ、夜半までは私とゲンでしようか。そして夜半からはコリノさんが担当してくれるから」
とのことなので快く了承しておいた。
それからしばらくして、奥さんのカイアさんとコリノさんは共に馬車へ戻っていった。
……そして夜は深けていく。
夜は真っ暗になるのかと思いきや、そうでもなかった。
この惑星サーメクスにも月はあったのだ。――2つも。
時間差で出てくるのだが後から出てきた月の方が一回り大きいようだ。
2つの月が出ているお陰で夜中なのに結構明るいのだ。
マクベさんもあまり喋らなくなった。
確かに喋っていると結構カロリーを消費するしお腹も減るからね。
体力を温存しておかないとこれからの旅にも影響するしな。
膝の上にあるシロの頭をやさしく撫でながら、俺はぼ~と月を眺めていた。
あぁ――、コーヒーが飲みたい!
それから暫くして、寝ていたシロが俺の膝からムクッと頭を持ち上げた。
なんだ、おしっこか? ――いや違うな。
林の方を見て、そして俺の顔を見てくる。
俺も林の方を見つめて、
「何かいるのか?」
小声でそう尋ねた。
すると、シロはその場で立ち上がり前足で2回土を掻いたあと再び俺の目を見てきた。
そうか、何かいるんだな。
シロは既に林の方を向いている。
その背中を2回撫でた後、ポンッと優しく叩き、
「行け!」
小声で言うと、シロは凄い勢いで駆け出していき林の中へ消えていった。
すると、それを見ていたマクベさんが声を掛けてきた。
「何かありましたかな?」
「はい、何か見つけたのでしょう。シロに任せておけば大丈夫ですよ」
俺は笑いながら返事を返した。
マクベさんは立ち上がってしばらく林の方を見ていたが、変化がないことを確認すると元の位置に戻った。
俺も竈の方に向きなおり白湯を口に含んでいると、突然ピーン! と電子音が頭に響いてきた。
{レベルが1に上がりました。特殊スキル『時空間魔法』が解放されました}
何だ!? 何が起こった。すると続けて、
ピーン!{スキル『鑑定』を獲得しました}
ピーン!{『風魔法』を獲得しました}
えっ、えっ、えぇ――――――っ!!(汗)
カイアさんのいれてくれた紅茶をいただきながら竈を囲んで楽しく会話していた。
「仲がいいのね~。そんな懐かれて羨ましいな~」
「あ、はい。長年の相棒ですからね。いつも助けてもらってます」
この世界ではまだ1日だけれど、前世から数えるとかなり長いつき合いになるよな。
「へ~そうなの、その子は魔法が使えるんでしょう。だってトカゲの首を一撃で仕留めているし、すごいわ~」
「ええ~と、そのことは内密にお願いしますね」
「それは大丈夫よ、口止め料代わりにお肉頂いているから問題ないわね。それより、何処に行くか決めてないのなら私たちの町に来たら~。あなた達おもしろそうだし。ねっ!」
「おいおい、強引だなー。ゲンが困ってるじゃないか」
「あら、大丈夫よね~。どの道ここから一番近い町が モンソロ なんだから。ねー」
「はい、そうですね。いろいろ買う物もありますし、行ってみようかと思います」
「あっ! それとね~、良かったらトカゲの革譲って欲しいな~。ねっ、いいでしょう。ねっ!」
「そうだよ。ほとんど傷もないし『カモドオオトカゲ』でこの大きさだから……、色をつけて2000バースではどうだろう。ぜひ頼むよ」
「えっ、革? はい、もちろんいいですよ。それでお願いします。それから、明日にでも馬車に積んでる商品を見せてくださいね」
「やった――!」
カイアさんはガッツポーズをしている。――とても嬉しそうだ。
それからはいろいろな話を聞かせてもらった。
この国の名前すら知らなかったことには驚いていたが、少しお酒が入っていたこともあり特に問題になることはなかった。
迷宮都市なんかもあるそうだ。――ダンジョン!?
シロも居ることだし、一度ぐらいは行ってもいいかもしれない。
結局、マクベさんに同行して、俺たちはモンソロの町まで行くことになった。
また、町に向かう間にこの王国のことや町のことなどを教えてもらえるよう頼んでおいた。
お金の話題が出たところで、これ幸いと小さな革袋に入っていた銀色のインゴット (たまご小の大きさです) を取り出して、マクベさんに見せることにした。
どれほどの価値があるのか聞いてみようと手渡したら、マクベさんはびっくり仰天! ひっくり返っていた。
「こっ、これはいけない。おいそれと出してはダメだ」
さんざん念を押され、大切にしまっておくように言われた。
詳しく話を聞いてみると、これは『ミスリル』のインゴットだそうだ。
それも、精製された純度の高いミスリルであるらしく、10万バースは下らないだろうということだ。
ふ~ん、10万バースねぇ。
まだ、お金の価値が分っていないので、今いちピンとこないのであるが……。
これはナイフとかも見せない方が良さそうだな。――ホントに女神さまって。(汗)
また、話は変わるのだが、
この街道に人の行き来が少ないのは、ここより南に下ったところにある『ガルーダ大森林』が原因なんだそうな。
ガルーダ大森林は南北に細長い森林地帯で、その総面積はこの大陸の一国に値するほどに広大なのだ。
そのガルーダ大森林には数多くの魔獣が生息している。
そして、大森林の北端が接しているこの街道には魔獣が頻繁に出没し、人や馬が襲われているのだという。
これに対し王国の方も、大森林との間に石垣による防壁を広範囲に築いており魔獣の侵入を防いでいる。
さらに防壁の中央には砦が置かれ、王国騎士団が持ち回りで詰めているそうだ。
砦に駐屯している騎士団によって殆どの魔獣は討伐されるのだが、それでもいくらかの魔獣が街道まで出てきてしまうそうだ。
マクベさんらはそんな危険なところを通ってきたわけではなく、
かなり手前から西に折れ、少し進んだところにある『タグ村』へ行商にいった帰りだそうだ。
ここから先の北方面は割と安全に行き来することができるのだとか。
それにしてもコリノさんは喋らないよなぁ。
肩までの銀髪に碧眼で、凄い美人さんなんだけど、目が怖い。
自前の敷物の上に座っている。長弓と矢筒は手の届くところに、腰には片手剣のレイピア? を装備している。
服装は上が薄い灰色のチェニックシャツに茶色の革ジャケット、下は黒のパンツに革のショートブーツといった装いだ。
マクベさん夫婦が気を使うそぶりがないことから普段から無口なのだろう。
さて、そろそろ休みたいところだが夜警について聞いてみることにした。
「マクベさん、今日の夜警はどうします?」
「じゃあ、夜半までは私とゲンでしようか。そして夜半からはコリノさんが担当してくれるから」
とのことなので快く了承しておいた。
それからしばらくして、奥さんのカイアさんとコリノさんは共に馬車へ戻っていった。
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夜は真っ暗になるのかと思いきや、そうでもなかった。
この惑星サーメクスにも月はあったのだ。――2つも。
時間差で出てくるのだが後から出てきた月の方が一回り大きいようだ。
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マクベさんもあまり喋らなくなった。
確かに喋っていると結構カロリーを消費するしお腹も減るからね。
体力を温存しておかないとこれからの旅にも影響するしな。
膝の上にあるシロの頭をやさしく撫でながら、俺はぼ~と月を眺めていた。
あぁ――、コーヒーが飲みたい!
それから暫くして、寝ていたシロが俺の膝からムクッと頭を持ち上げた。
なんだ、おしっこか? ――いや違うな。
林の方を見て、そして俺の顔を見てくる。
俺も林の方を見つめて、
「何かいるのか?」
小声でそう尋ねた。
すると、シロはその場で立ち上がり前足で2回土を掻いたあと再び俺の目を見てきた。
そうか、何かいるんだな。
シロは既に林の方を向いている。
その背中を2回撫でた後、ポンッと優しく叩き、
「行け!」
小声で言うと、シロは凄い勢いで駆け出していき林の中へ消えていった。
すると、それを見ていたマクベさんが声を掛けてきた。
「何かありましたかな?」
「はい、何か見つけたのでしょう。シロに任せておけば大丈夫ですよ」
俺は笑いながら返事を返した。
マクベさんは立ち上がってしばらく林の方を見ていたが、変化がないことを確認すると元の位置に戻った。
俺も竈の方に向きなおり白湯を口に含んでいると、突然ピーン! と電子音が頭に響いてきた。
{レベルが1に上がりました。特殊スキル『時空間魔法』が解放されました}
何だ!? 何が起こった。すると続けて、
ピーン!{スキル『鑑定』を獲得しました}
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