上 下
531 / 558
第十四章 大地母神マーテル

14-7 料理とは日々研究なのです

しおりを挟む
 

 まだ、貧血でフラフラしている私に無理はさせられないという判断から、朝食作りは却下されてしまった。
 その代わりといっては何だが、メロウヘザー様の対応をリュート様と共に任された。
 主にリュート様が会話をしていたのだが、私はある事を思いついてウズウズしていることに気づいた二人は、くれぐれも無理をしないように言い含めたあと、私の好きにさせてくれたのである。
 
「むむむむぅ……」

 ――ということがあり、現在、私は実験中だ。

 時間があれば試してみたかったこと……それは、以前から何度か使っている白丸石と月晶石の粉末の配合実験である。
 此方の世界には、重曹と同じ成分を持つ白丸石とクエン酸と同じ効果を持つ月晶石があるのだが、実は、少しばかり違う部分もあるように感じていたのだ。
 白丸石は重曹に比べると塩味やえぐみが少ないし、月晶石は酸味が少ない上に、白丸石の粉末と混ぜると完全に無味無臭となる。
 重曹とクエン酸にも見られる効果だが、それが顕著なのだ。
 
 そんな二つを利用して、片栗粉――いや、ジャガ粉というデンプン粉を混ぜたら、簡易ベーキングパウダーを作ることは出来ないだろうか。
 私がその考えへ至るのに、そう時間はかからなかった。
 
 しかし、闇雲に実験するわけでは無い。
 そこは、私の持つスキル【神々の晩餐】が大いに役立ってくれた。
 いくつかの配合バランスが頭に浮かんでくるのは、さすがである。
 だが、その中でホットケーキに良いバランスはどれだろうと考えてもわからないので、ここは実際に作って試してみるしか無い。

 ベーキングパウダーが完成すれば、料理の幅が広がるのは間違いない。
 それに、ふわっふわなホットケーキが出来上がるはず。
 メレンゲで作る、ぷるんぷるんでふわっふわなホットケーキも良いが、オーソドックスな物も食べたい。
 なにより、これが成功したら『ホットケーキミックス』を作ることも可能なのだ。
 俄然やる気が出てくる。

 小豆の事もあるので、本当は甘く煮て皆に出してあげたかったのだが、あちらの世界の小豆なので回復は見込めない。
 出せるとしても、聖都に近い明日の朝食。
 もしくは、早めの昼食が良い頃合いだ。
 ユグドラシルの神託の事もあるから、聖都へ帰ればのんびりできるなんて考える方が間違いである。
 おそらく、聖都に戻ってからの方が忙しくなるだろう。
 今だから出来る事だと、私は気合いを入れた。

「んー……重曹よりマイルドだと言えど白丸石が多いと塩っぱくなるし、月晶石が少ないと膨らまない。炭酸水にして混ぜても良いけど……それでは、ベーキングパウダーにならないし……うーん」

 とりあえず、試行錯誤して作った三種を小麦粉に混ぜ、砂糖を加える。
 卵をほぐして牛乳を加えた卵液の中へふるい入れ、サックリと混ぜて焼いていく。
 やはり、白丸石の粉が多い方は生地が黄色っぽくなり、焼き色もしっかりとついてしまう。
 焼き上がった生地は、しっとりもったりとした感じで、食べてみるとわずかな塩味を感じた。

「むぅ……これでは、どら焼きの皮ですね」
「えっ!?」

 コーヒーを淹れてメロウヘザー様と談笑していたリュート様が、私の『どら焼き』という言葉に反応して、此方へやってくる。
 
「あ……本当だ……店で焼いた皮みたいに綺麗だな」

 あまりにもキラキラした目で見てくるので、私は生地を少しちぎって彼の口元へ運んだ。
 何の警戒も無くパクりと食べた彼は、目を見開いてコクコク頷く。

「うまい! うわぁ……これ……あんこが欲しい」
「あーん」
「あーんなのー」

 リュート様の横に並ぶ真白とチェリシュにも、焼いたばかりの生地を食べさせてあげると、喜んで飛び跳ねる。
 蛍と六花りっかもおねだりするので、分け与えたのだが、とても美味しそうに全身で表現してくれた。
 お子様組と従魔たちが跳ねて喜ぶ姿に興味を覚えたのか、メロウヘザー様も、私の作業工程を眺めはじめた。

「あ、メロウヘザー様も、お一ついかがですか?」
「良いのかしら」
「はい。素直な感想がいただけたら嬉しいです」
「そういうことなら……」

 皮をパクりと食べたメロウヘザー様は目を丸くして瞬きを繰り返す。

「とてもしっとりしていて口溶けも良い。甘さがシッカリ感じられるのに口へ残るほどでもなく、緑茶があいそうね……」
「小豆があったら、もっとあう……マジで、良い感じにあう」
「このしっとりとした感じ。好きだわ」
「焼き色もいいよなぁ。この生地ならいくらでも食えそう」
「……全く、そういうところがあるから『食の大魔神』と言われるのですよ」
「別に何と言われてもいいよ。ルナのうまい料理を食べられない方が大ダメージだ」

 キッパリと言い切るリュート様に、メロウヘザー様はおかしな話を聞いたというように目尻を下げて微笑む。
 リュート様の屈託なく笑う姿が嬉しいのだろうか。
 少し厳しい面はあるけれども、纏う空気は優しい。

「他にも焼いてるのか?」
「はい。粉の配合を変えて生地の変化を見ております」
「まるで……研究しているようね」

 リュート様の問いに返答していると、メロウヘザー様は目を丸くする。
 
「料理は日々研究です。様々な食材と調味料を合わせ、最適な配合を導き出す。素材の下処理、下味の付け方、調理方法や、火の入れ方。沢山の項目があって、それぞれに意味がありますし、組み合わせで味が変わりますから」
「そんなに料理とは奥が深い物なのですか……」
 
 料理に限ったことではないが、何かを作る時に長年積み重ねた経験、知恵、知識。それ全てが無駄になることはない。
 沢山の失敗と成功を積み重ねて、自分にあった物を見つけていく。
 それが大事なのだと、前世の兄に教わった。
 最初から上手にできる人などいないのだから……。

「何でもそうだと思います。全ては積み重ねですから」
「……そうですね。私の失言でした」
「い、いいえ! そこまで大事に捉えないでください! 今やっていることも、実は単なる趣味というか……。みんなが料理に興味を持つような……簡単に出来るような補助する物を作ろうと考えて挑戦していることなので……」
「ん? 補助? ルナは何を作ろうとしているんだ?」
「ホットケーキミックスです」
「……え? アレって……作れるのか?」
「まあ、内容を知っていたら、そこまで難しくもありません。ただ、ベーキングパウダーがこの世界には無いので、そこが難しくて……。しかも、この白丸石と月晶石って、微妙に私の知る重曹とクエン酸とは違うんです。だから、最適な配合を知ろうと生地を焼いているのです」
「へぇ……違うのか」
「今食べていただいたのが、白丸石2、月晶石1、ジャガ粉3で配合した生地なんです。今焼いているのが、1:1:2ですね。次が1:0.8:2」

 私はそう言いながら、次々に生地を焼いていく。
 焼き上がった生地に、バターを乗せてシロップをかけて味見をして貰う。
 どうやら、最後の配合がリュート様好みらしいということがわかり、私は早速メモを取る。
 
「何だか甘い匂いがあちらまで届くんだけど……」
「ズルイっすよ、リュート様!」

 ロン兄様とモンドさんが様子を見に来たのだが、すぐに他の人たちもやってくる。
 メロウヘザー様がいらっしゃるので、全員遠慮がちではあるが、マリアベルはお構いなしだ。

「お祖母様! ズルイです!」
「味見ですよ」
「私も味見がしたいですーっ! お師匠様ーっ!」
「あ、はいはい」

 残りの生地を焼きながら、次々に皿へ乗せて振る舞うと、瞬く間に消えていく。
 うん……これは、大成功……かな?

「ホットケーキっていいよなぁ。こう……素朴な感じが好きだ」
「そう言っていただけると嬉しいです。配合は決まったので、今度は三段重ねか四段重ねにして出しますね」
「そりゃスゲーな。子供の夢が詰まっている感じだ」

 カラカラ笑うリュート様に、私も微笑み返す。

「ベーキングパウダーもどきができたので、お料理の幅も広がりますね」
「そんなに?」
「そうですね、色々できますが……白丸石と月晶石の配合変化も理解したので、応用が利きますからね」
「あー……時空神……なんで、このタイミングでいねーんだよ。語り合いてーっ!」

 リュート様の叫びを苦笑交じりに聞きながら、私はホットケーキを焼いたものを冷まし、そこへ生クリームでトッピングをしてベリリを可愛らしく散らしていく。
 それを見たリュート様は「おっ」と声を上げてチラリとチェリシュの方を見る。
 チェリシュはロン兄様の膝上で、大人しくホットケーキを頬張っているところだった。
 
「驚くだろうな」
「そう思われますか?」
「勿論。大喜びだろ」
「リュート様はチョコバナナにしましょうか?」
「嬉しいな。俺、クレープもチョコバナナが好きなんだよ。クッキーもチョコチップが……」
「リュート様はチョコが好きなのですね……って、リュート様? どうかされましたか?」
「あ、いや。何でも無い。いやー、チョコバナナ……いや、チョコナナトも楽しみだなぁ」

 一瞬だけ何か暗い表情を見せたような気がしたのだが、彼はすぐに笑顔になって私の手元をキラキラした眼差しで見つめている。
 朝食を作ってくれた人たち全員に味見と称してホットケーキを少しだけご馳走したが、とても好評だった。
 そして……何よりも――

「ちぇ、チェリシュはいま……とーっても感動しているのー!」

 きゃーっ! と可愛らしい悲鳴を上げたチェリシュは、目の前のホットケーキを様々な角度から見て堪能中だ。
 二段のホットケーキの中央に生クリームを絞り、その周囲をベリリとブルーベリリが彩る。
 迫力のあるソレに、全員が「おぉ……」と声を上げた。
 リュート様が持つチョコナナトも見栄えはバッチリだ。
 
「温かいうちに食べても美味しいですし、冷ましてもこんな感じでトッピングができます」
「同じ材料でこれほどの変化が……恐れ入りました」

 さすがのメロウヘザー様も驚きを隠せないように、リュート様とチェリシュの前に置かれているホットケーキを見つめる。
 最高の配合で作ったホットケーキは厚みがあるけれども、私が求める厚みを出そうとするとベーキングパウダーでは難しい。

「このトッピングをするなら、先程作ったベーキングパウダーもどきよりも、メレンゲのほうが良いのですが……」
「卵黄だけ、大量に余るな」
「リュート様、卵黄だけ余っても問題ないのですよ? 濃厚なプリンを作れますし、カルボナーラのトッピングや、他の料理のトッピングにも使えますから」
「すぐに料理名が出てくるな……本当に、ルナはスゲーよ」
 
 皆でデコレーションされたホットケーキを堪能し、リュート様のコーヒーを味わったあと、準備が整ったらしい朝食へと向かう。
 私は味見だけでお腹いっぱいな感覚なのだが……一応、席に着く。
 味見という名目で出しただけなので、量はそれほど多くなかったが……私の胃にはキツかったようである。
 しかし、彼らは平然と朝食を平らげていく。
 私だけが半分も食べられずにギブアップしてしまった。
 わかっていましたが、みんな……よく食べますね。

「だ、ダメです……多い……」
「よし、後は任せろ」

 リュート様がそう言うと、私が残してしまった分もシッカリと食べてくれた。
 頼もしい限りです!

「しかし、ハーブソルト、マヨネーズ、ケチャップ、ソース、カレー粉、カレールウときて、今度はベーキングパウダーか。これを全部工房で作ろうとしたら大変だな」
「作るのですか?」
「ああ、一応、その予定。アイスを売ってくれって言う声もあるし……」
「あー……」
「おかしいな……何で遠征しているのに料理のレシピがこんなに増えているんだ? ルナって……万能過ぎないか?」
「パンのレシピだけでも、かなり増えたと思いますよ」

 ダイナスさんの言葉に、リュート様は頭を抱える。

「そうだった。一旦、レシピをキュステに持って帰って貰ってレシピギルドに登録してもらったが、また増えてんだよな……」
「店長、あの多さに眩暈起こしてたっすよ」
「ナナトは満面の笑みでしたけど……」

 モンドさんとジーニアスさんの言葉に、彼らの帰り際の姿を思い出して苦笑する。
 跳びはねて喜ぶナナトと唖然としているキュステさんの対比は凄かった。

「ふむ……料理も堪能したから力が湧き上がってくるようだ。今なら、タイミング的にも良いか……」

 そうボソリと呟いたのはメロウヘザー様であった。

「食後すぐとか、大丈夫かよ。食べているヤツもいるけど……」
「問題ありません。それにすぐ終わります」

 もともと、これが目的でやってきたのだと言った彼女は、一気に力を高めて解放する。
 銀色の光が波紋のように広がっていく。
 それは、私やチェリシュや真白。六花りっかや蛍を避けて浸透していった。

「やはり、貴女には弾かれてしまいましたね」
「え、えっと……?」
「体の内側にある【魔素】の浄化が必要かどうかを確認したのです。エキドナの【魔素】となれば、私以外には無理だと判断したのですが……貴女の料理で、内側から浄化されているのか、大した被害も無かったようですね」

 今の一瞬で全員の【魔素】と体調などの調査を行ったというのなら、この方は相当凄い。
 今まで出会った中でも、その手のことにかけてスペシャリストなのだと感じさせる力の波動――。

「まあ、カーラー家当主のお墨付きがあれば、みんな文句を言われる事無く聖都へ入れるだろうさ」
「そうだと良いのですが……」
「えー? 文句言うヤツなんていたら、オーディナルが怒るだけじゃない?」

 リュート様の側で大人しく大きくなったお腹をさすっていた真白が、さも不思議だというように首を傾げる。
 
「さすがに、それはないですよ。オーディナル様もその点は考えてくださる……はず……です……よね?」

 何故か段々不安になってきた私は、助けを求めるようにリュート様を見た。
 彼は少しだけ唸り、乾いた笑みを浮かべながら呟く。

「まあ……おそらく……何とかなる……だろ?」

 どちらも歯切れが悪い。
 オーディナル様の事を知っているからこその歯切れの悪さだ。
 どうか、もめ事だけは起こりませんように……。
 そう願いながら、私たちは同時に溜め息をつく。
 チラリとリュート様を見た私は、メロウヘザー様の出現でタイミングを逃してしまった『ユグドラシルの神託』も伝えないといけないな……と考え、更に深い溜め息を漏らすのであった。
 

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

三年目の離縁、「白い結婚」を申し立てます! 幼な妻のたった一度の反撃

紫月 由良
恋愛
【書籍化】5月30日発行されました。イラストは天城望先生です。 【本編】十三歳で政略のために婚姻を結んだエミリアは、夫に顧みられない日々を過ごす。夫の好みは肉感的で色香漂う大人の女性。子供のエミリアはお呼びではなかった。ある日、参加した夜会で、夫が愛人に対して、妻を襲わせた上でそれを浮気とし家から追い出すと、楽しそうに言ってるのを聞いてしまう。エミリアは孤児院への慰問や教会への寄付で培った人脈を味方に、婚姻無効を申し立て、夫の非を詳らかにする。従順(見かけだけ)妻の、夫への最初で最後の反撃に出る。

今さら後悔しても知りません 婚約者は浮気相手に夢中なようなので消えてさしあげます

神崎 ルナ
恋愛
旧題:長年の婚約者は政略結婚の私より、恋愛結婚をしたい相手がいるようなので、消えてあげようと思います。 【奨励賞頂きましたっ( ゚Д゚) ありがとうございます(人''▽`)】 コッペリア・マドルーク公爵令嬢は、王太子アレンの婚約者として良好な関係を維持してきたと思っていた。  だが、ある時アレンとマリアの会話を聞いてしまう。 「あんな堅苦しい女性は苦手だ。もし許されるのであれば、君を王太子妃にしたかった」  マリア・ダグラス男爵令嬢は下級貴族であり、王太子と婚約などできるはずもない。 (そう。そんなに彼女が良かったの)  長年に渡る王太子妃教育を耐えてきた彼女がそう決意を固めるのも早かった。  何故なら、彼らは将来自分達の子を王に据え、更にはコッペリアに公務を押し付け、自分達だけ遊び惚けていようとしているようだったから。 (私は都合のいい道具なの?)  絶望したコッペリアは毒薬を入手しようと、お忍びでとある店を探す。  侍女達が話していたのはここだろうか?  店に入ると老婆が迎えてくれ、コッペリアに何が入用か、と尋ねてきた。  コッペリアが正直に全て話すと、 「今のあんたにぴったりの物がある」  渡されたのは、小瓶に入った液状の薬。 「体を休める薬だよ。ん? 毒じゃないのかって? まあ、似たようなものだね。これを飲んだらあんたは眠る。ただし」  そこで老婆は言葉を切った。 「目覚めるには条件がある。それを満たすのは並大抵のことじゃ出来ないよ。下手をすれば永遠に眠ることになる。それでもいいのかい?」  コッペリアは深く頷いた。  薬を飲んだコッペリアは眠りについた。  そして――。  アレン王子と向かい合うコッペリア(?)がいた。 「は? 書類の整理を手伝え? お断り致しますわ」 ※お読み頂きありがとうございます(人''▽`) hotランキング、全ての小説、恋愛小説ランキングにて1位をいただきました( ゚Д゚)  (2023.2.3)  ありがとうございますっm(__)m ジャンピング土下座×1000000 ※お読みくださり有難うございました(人''▽`) 完結しました(^▽^)

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

婚約者の浮気相手が子を授かったので

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。 ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。 アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。 ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。 自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。 しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。 彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。 ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。 まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。 ※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。 ※完結しました

【完結】公女が死んだ、その後のこと

杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】 「お母様……」 冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。 古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。 「言いつけを、守ります」 最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。 こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。 そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。 「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」 「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」 「くっ……、な、ならば蘇生させ」 「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」 「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」 「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」 「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」 「まっ、待て!話を」 「嫌ぁ〜!」 「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」 「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」 「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」 「くっ……!」 「なっ、譲位せよだと!?」 「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」 「おのれ、謀りおったか!」 「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」 ◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。 ◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。 ◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった? ◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。 ◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。 ◆この作品は小説家になろうでも公開します。 ◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。