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第八章 海の覇者

ひな鳥では居られない

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「いつか、俺がいまいる世界のようニ、みんなが多少のことならスキルがなくても出来るようになれば良いのダケド、世界の理が違うカラ……その辺りを詰めないといけないんだよネ」
「既に登録されているレシピに引っかかる物も出てくるからのぅ……」
「そこは、俺たちが買い上げるという形を取る方が良いかもネ。権利を買い取るのだから、ランクに応じた金銭を準備したらどうカナ。人の社会は、お金が必要だからネ」
「ふむ……金銭か……そこは、今度の会議で話し合いじゃな」
「まあ、一気に変えていくよりモ、ドリンク系だけ急ぎ解放するという形を取っていけば良いんじゃないカナ。もしくは、毎年決められた日にスキル内容変更通知をしていくのもアリだネ」

 時空神様の言葉に、アーゼンラーナ様は難しい顔をして「ふむ」……と頷きます。
 やっぱり、時空神様は地球の知識をベースにしているところが多いからか、この世界の神々に比べて柔軟な思考を持っているのかもしれません。
 意外な言葉と提案だったのか、アーゼンラーナ様は考え込んでいるようでした。

「やっぱり、レシピの扱いがネックだよネ」
「そうじゃな……難しいのぅ」

 生産系レシピは、扱いがとても難しく、この世界での位置づけは微妙───というか、なかなか難しい物があります。
 私の作ったレシピをレシピギルドに登録して、それを購入した人が全く同じ物を作ることができるのではなく、対応スキルを持つ者でも1つランクが下、スキルを持たない者は2つランクが下の出来映えになる。
 同じ材料を使っても味や出来映えに違いが出てくるのです。
 つまり、失敗が無い代わりに、大成功も起こらない。
 レシピを作った者以上の品物を、他の者は作ることが出来ないシステムになっておりました。
 そのレシピをベースに、スキルを持つ者はアレンジをして作成することは可能です。
 料理で言うなら、そのベースの味が落ちてしまうので、そこを補うには、途方もない知識と技術が必要になる。

 スキル制度で保証されていることは、失敗しないこと……それだけなのだと、改めて感じました。

 最低品質でも失敗しない物が完成することを保証されていることが、レシピ制度の限界───

 しかし、私はこうも考えます。
 レシピのみで習得した料理を作ったキャットシー族より、私のそばで質問を重ね、工程を見ているマリアベルのほうが、美味しい料理を作ることが出来るのでは無いか……
 もしかしたら、その可能性を示唆するための準備を行っているのではないかと───

 私がそう考えていると、時空神様は楽しげに目を細めて此方の様子を見ているようでした。

「ルナちゃんならわかるだろうケド、レシピは便利な反面、厄介な部分もアル。魔物と戦うために必要な物資を集め、品質なんて関係なかった時代は、そろそろ終わりだっていうことダヨ」
「時代……」

 そう……なのですね。
 この世界は、新たな時代にさしかかろうとしている。
 魔物との戦いを有利に進めていくために、必要最低限の準備は整った。
 次は、品質を上げ、効率を上げ、よりよい環境や成果をもたらす物を作り出していく時代へ突入する。

 生産をする者たちの、新たな時代が来る───

 現在、この世界で一番遅れていると考えられるのは、食事事情。
 食事は人にとって重要なことです。
 そこをおろそかにしていたら、人はあっというまに体を壊して動けなくなることでしょう。
 現在、この国に足りないのは、食事と医療に関する知識です。
 私に医療の知識はありませんが、病気にかかりづらい体作りや、食生活の改善はお手伝いできるかもしれません。

「まあ、そのためにも、ルナちゃんは自分の体をまずは健康にしないとだよネ」

 ピッと指で示された私の皿には、チェリシュが作ってくれたパンが乗っていて、一口も食べていないことを指摘しているようでした。
 え、えっと……ちょっと……量が……多いかな……と……

「それでも、一人分に満たないヨネ?」
「え、あ……ま……まあ……でも……その、わ、私は……元々燃費が良いので……だ、大丈夫……ですよ?」
「燃費が良いっテ……」
「これくらいの量を、三日に一回でも、大丈夫でしたから」

 えへへと笑いながら答えると、全員がピタリと動きを止めたのがわかりました。
 そして、同時にみんなの鋭い視線が此方へ向きます。

「ルナ?」

 まず声を発したのはリュート様でした。
 ま、マズイ……です。
 この声色は、お説教モードのリュート様ですよっ!?

「だ、だ、だって……その、それくらいしか食べていないのに、わ、私は……ふ、太かったのですものっ! ふにふになんですよっ!?」
「どこがだっ! 細すぎるって言ってんだろっ!? 腰も腕も脚も背中も、全体的に肉をつけてくれってお願いしてるじゃねーかっ! 見た目でわかりづらいだけだっての!」
「だんさん……それ……触りましたって報告してるようなもんやで……」

 キュステさんの言葉に、リュート様はうぐっと言葉を詰めたあと、周囲を見渡してから真っ赤になり、慌てて首を振って弁明しておりましたけれど、完全否定はできませんよね。
 事実、触って確かめている部分もありますもの……
 いつものリュート様を知っている方々は、普段の姿と、現在目の前で羞恥心が大いに刺激されたことにより、真っ赤になって若干涙目なリュート様のギャップに驚いているみたいでした。
 しかし、次の瞬間には吹き出すように笑い出し、アレン様はからかい出す始末です。

「チェリシュは見ていたの、なでなでしてたのっ」
「ちょ、まっ……チェリシュ! まて、誤解を招く言い方を……っ」
「あらあら、まあまあ、そうなのねぇ」
「リュートも男だったか……」

 お母様とランディオ様の楽しげな声が響き、リュート様の困惑した表情を見ながら、私は笑いをこらえるのに必死でした。
 ひとしきり笑った時空神様は、コホンと咳払いをしてから、私に向き直り、静かな口調で問います。

「その件に関シテ、父上かベオルフから聞いていないノ?」
「え?」
「父上から、加護が失われた話を聞いているはずだケド……」
「え、えっと……そういう感じの言葉をおっしゃっておりましたが、説明は……聞いておりません」
「ちーちーうーえー」

 両手で顔を覆った時空神様は、低い声でそういうと、隣のアーゼンラーナ様が優しく頭を撫でてくれることによりエネルギーを貰ったのか、うぅぅ……と唸ってから顔を上げ、話が長くなるからと飲み物を口に含み、喉を潤しました。

「じゃあ、簡単な質問をしようか。もしも、リュートくんがその皿のパンだけで三日を過ごすと言っタラ、君はどうスル?」
「ありえません! 動けなくなるか病気になってしまいますっ! ちゃんと食事を取らなければ、思考も体もうまく動かせませんし、心だって不健康になりますよっ!?」
「だよネ……人のことだっタラ、そうやって理解しているんだよネ」

 時空神様の言葉を聞き、私は自分の言葉を思い出して愕然とします。
 そう……人は、食べなければならない。
 空腹が続けば、動けなくなることは勿論、思考力が低下し、心のバランスも崩しやすくなります。
 わかっているはずの事実なのに……

「他の人に置き換えればわかる。だけど、自分は違う。それが、相手の狙いだよネ。ルナちゃんは、ヘタに考えズ、動かズ、心をネガティブな方向へ向けていタラ、相手はつけいりやすくナル」

 私がずっとつけいりやすい状態を続けるように働きかけている……ということなのですね。

「まあ、常識的に考えテ、その分量で成長期のルナちゃんが無事に成長して動けたことが不思議だと思わナイ?」
「確かに……少なすぎるよな」
「チェリシュでも少なすぎる量……なの」

 リュート様だけではなく、他の方々も頷きます。
 チェリシュも心配して、私の顔を下からのぞき込んでくるのですが、そこまで心配しなくても大丈夫ですよ?
 今は、それ以上に食べておりますから。

「じゃあ、何故、その食事量で、日々の生活に支障が出なかったのカ。死ぬことは無かったのカ……理由はわかル?」
「……オーディナル様の加護……でしょうか」
「まあ、半分正解カナ。ルナちゃんが死なないようニ、必死になって我が身を削り、餌を運んできてくれていた親鳥がいるんだよネ」
「……え?」
「思い出してみテ。昨年の冬、大寒波の時、ルナちゃんは高熱を出して倒れちゃったよネ。栄養が足りない体で、あの寒波はキツかったよネ。お見舞いに来てくれたのは誰だっタ?」

 確か、大寒波が来て、王都でも大雪が降り、類を見ないほどの寒さに凍死者が沢山出たと記憶しております。
 私は寒さに耐えきれず、風邪をこじらせて熱を出し、部屋で養生していたのですが、看病に来たのは暫く言葉も交わしていなかったセルフィス殿下だった……はず?

「本当にそうだっタ?」

 席を立って私のそばにきた時空神様が額に指先で触れた瞬間、セルフィス殿下であったと思っていた相手がベオルフ様へと変化し、ショックではありましたが、どこか納得している部分もありました。

「記憶の改ざん……ですか」
「まあ、こういうやり方デ、セルフィスの評価を上げていたみたいだネ」
「本当はベオルフ様がしていたことなのに……」

 今までだって、こういう記憶と現実の違いはありました。
 塗り替えられた記憶は厄介で、何が真実か見極めることが難しい。
 それが辛くてなりません。

「言ってくださらないのですもの……」
「まあ、ベオルフは自分が何を言われようとも気にしないからネ。ルナちゃんが幸せならそれで良かったんだヨ。……あ、でも、今言いたいのはソレじゃなくてネ」

 正常な記憶が戻ったことで、思い出したでしょ? このあと、ルナちゃんは元気いっぱいになったけど、ベオルフはどうなった? と問われ、おぼろげに戻ってきた記憶を掘り起こします。

 確か、大寒波の影響で北の辺境は閉ざされていたはずなのに、何故か帰ってきたベオルフ様は私の見舞いに来てくれた翌日、高熱を出して倒れました。
 あの雪の中を、無理して帰ってきたからだろうといわれておりましたが……

「あのまま放っておいたら、ルナちゃんが死にそうだったんだよネ。だから、父上はそれとなくベオルフに働きかけて、王都への道を開いたんダ。ベオルフは、自分の体温すら調整できなくなるほど弱っているルナちゃんニ、自分のほとんど全てを分け与えテ……分け与えすぎてぶっ倒れちゃったんダヨ」

 君は、低燃費だなんてことはなく、ベオルフがその分をずっと補ってきたんだよ───

 そう静かに告げられた私は驚きのあまり声が出ず、ジッと時空神様を見つめることしか出来ませんでした。
 そうしないと胸の中に渦巻く感情が暴れ出し、それと同時に涙腺が崩壊しそうだと感じていたからです。

 私は、そうやって知らないところで、いつも守られていた。
 わかっていなかっただけで、いつも見守ってくれる方々がいた。

 血を分けた家族がそばに居なくても心で繋がった家族が、ずっといてくれたことに心が救われていくような……優しい太陽の輝きに満たされ、自然と口元に笑みが浮かびます。

「だから、心配させないように、ちゃんと食べようネ。そうしないと、またベオルフが親鳥をするって言い出しテ、父上も反対すること無く言うことを聞いちゃうヨ?」

 そうだったのですね……
 あの時に「加護はここまでだ」とオーディナル様がおっしゃったのは、私の体を維持するために施していた加護のことだったのですね。

 私が体調を崩した次の日に、必ずと言って良いほどベオルフ様が体調を崩していたのは、全て私のせいだった……
 健康で、どんな強行軍でもケロッとして帰ってくるベオルフ様が倒れるほど大変だったのは、私の体を維持するために沢山与えてくれていたから……
 もう、そんな真似はさせられません。
 食べなければ……ちゃんと食べて、もう大丈夫だって笑って報告できるように……心配をかけさせないほど健康にならなければっ!
 あのときとは違い、私は自分で作り食べることが出来るのですもの。
 黒狼の主と対峙しているベオルフ様に、必要の無いことで負担をかけるわけにはいきません。
 そして、このままでは、いつも心配してくれているリュート様とチェリシュにも申し訳がない……

『陽輝も、その細すぎる手足を見て心配していたよ。君の兄たちは心配性なんだから、ちゃんと食べて、元気に走り回れるようにならないとね』

 日本語で語る時空神様に「はいっ」と元気に返事をした私は、チェリシュが作ってくれたパンを手に取り、はむっとかぶりつきます。

「まあ、今は誰かのため……っていう意識で良いけどさ。そのうち、自分のために頑張れるようになろうな」

 リュート様の声に頷きながら、目を輝かせて私の食べっぷりを見ているチェリシュに「美味しいですね」と笑いかける。
 すると、にぱーっと笑ったチェリシュは、もう一つ作るのと、パンを手に取り具材を選んで挟んでいきます。

「あ、いや、チェリシュ、ボリューム考えてやって……さすがにソレは、今のルナには無理だから……チェリシュ? 聞いてるか? チェリシューっ!?」

 どれだけ挟み込んでいくのか……
 どんどん具材を挟もうと、ぼろぼろこぼれ落ちそうになる野菜やソーセージを皿でキャッチしながら、リュート様がテンションが上がっているチェリシュを止めますが、効果はイマイチのようです。
 上機嫌で「あれもいいの~、これもなの~」と歌いながら、パンの限界値を軽く突破して具材を乗せるチェリシュに、挟める具材は無限大ではないのだと教えてあげたい……

「ルー、チェリシュのスペシャルなパンができた……なのっ」

 パンの上に、これでもかと盛られた野菜とソーセージとスクランブルエッグを見て、これを全部食べられるようになったら、違う意味で心配されるのではないだろうかと考えながらも、お礼を言って皿を受け取り、チェリシュのスペシャルパンを3人で分け合って……というか、リュート様にほぼ完食してもらう形となりましたが、大変美味しくいただきました。


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