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第五章 意外な真実と助っ人
内包された怒りは静かに燃ゆるもの
しおりを挟む私達がそんなやり取りをしている間に、時空神様は兄からカレーをいただいていますし、ノエルも味見をさせてもらったようで、口の周りの毛がカレー色に染まっておりました。
うわぁ……黄色いですよっ!?
ノエル用のカレーにはバナナとリンゴと蜂蜜だけではなくヨーグルトも加えたようで、「甘いのに辛くて、辛いのに甘くて美味しいーっ!」とぴょんぴょん跳ねて全身で美味しさを表現しております。
そんなノエルを捕まえたベオルフ様は、先程オーディナル様からいただいた洗浄石を使ってみたようで、魔力を流すことに四苦八苦しながらも何とか発動させたみたいですね。
ベオルフ様に綺麗にしてもらったノエルは喜び、兄や時空神様に「綺麗になったー?」と確認してから再びベオルフ様の腕の中に飛び込んでジャレつきはじめます。
あ……いけない、ほっこりする光景で和んでいる場合ではありませんでした!
「えっと……オーディナル様。私の推察が正しいとは一体……」
「僕の愛し子は『セルフィスの評価がまるでベオルフの評価をそっくりそのままもらっているようだ』と考えていたな」
確かに……そう考えておりました。
どうしてそんな考えが浮かんだのだろうというベオルフ様の問いかける視線にどう答えていいかわからず苦笑を浮かべていると、オーディナル様はある光景を映し出します。
「ミュリアのペンダントの魅了効果を知り、少し調べてみたのだ」
オーディナル様は無造作に手を上げ、ふわりと浮かんだ光がスクリーンのように広がり、学生時代のセルフィス殿下がアルバーノ様たち数名の名だたる貴族の子息を連れて歩く姿が映し出されておりました。
その映像に何の意味があるのか見ていると、セルフィス殿下の手首をズームアップしたようで、女性のような白くて細い手首に見慣れないブレスレットがあることに気づきます。
どこのデザインかわかりませんが、翼をモチーフにした金細工のブレスレットですね。
「ブレスレット……ですね」
「あんな物をつけていたか?」
私とベオルフ様は顔を見合わせて互いに問いかけたあと、知らないとばかりに首を振りました。
まあ、あまり接触しないようにしていたので、知らないことが多くても当然なのですが……
「どうやらミュリアとお揃いらしいぞ」
呆れともつかないオーディナル様の言葉に、私達は揃って溜息を零します。
もしかして……ペアリングみたいな感じで着用されていたのでしょうか。
周囲の様子から見て、まだ春も半ばという頃でしょう。
その頃には親密になっていらっしゃったということですね?
さすがというか……あまりにも展開が早すぎますっ!
王族なのですから、もう少し立場を考えて節度のあるお付き合いをしていただきたいのですが……
恋しているからと相手しか見えなくなって暴走するよりも、互いを尊重し思いやる心も大切なのではないでしょうか。
「春頃から私は忙しくなり、ルナティエラ嬢は全く接触していなかったのだな」
「はい……必要な時以外は部屋からほとんど外へ出なくなりました」
今までは心配させないように隠しておりましたが、もうバレてしまっているので正直に返答しました。
部屋にこもり、窓から見える景色を眺め、遠くから聞こえてくる笑い声が別世界のもののように感じていた……そんな日々を送っていたことを思い出します。
外へ出るのが怖いのに、憧れにも近い思いを抱いていた。
ベオルフ様が帰ってくると、少しだけ外へ出ることが出来て、心が自由に動き出す。
足かせをはめられたように部屋に縫い付けられていたことが嘘のように身軽になり、自然に笑うことが出来た。
今思えば、それが異常であったと理解できるのに、当時は全く認識すら出来ずにいたわけですね。
映像に映し出されているセルフィス殿下は遠くから歩いてくるミュリア様を見つけたようで、まさに恋する青年のような表情をして嬉しそうに頬を緩めます。
この頃の彼は、王族ではなくただの学生……1人の青年として幸せであったのでしょう。
だからこそ、その心さえも利用して自らの思いや願いを貫き通すための犠牲を厭わない、今のミュリア様に人の心があるように思えません。
リュート様を呼び出すためなら、彼女は何でもするでしょう。
人の命すら笑いながら差し出し、呼び出されたリュート様に微笑みかける。
彼に愛されて当たり前だと、当然の権利だと疑いもしないで……
例えそれがセルフィス殿下の前であったとしても、躊躇うこともなく愛を囁く。
リュート様にとっても、セルフィス殿下にとっても、それは悪夢以外の何物でもない───
自らを呼び出すために犠牲となった者たちを見て、優しいリュート様は何を思い感じるのでしょう。
愛する人のために協力してきたセルフィス殿下は、躊躇うこともなく自分を捨てて違う男性に愛を語る彼女に何を思うのでしょう。
誰も幸せになれない。
誰も幸せにしない。
己の欲望や希望や願望だけで周りの人を傷つけるだろう彼女に純粋な怒りを覚えました。
「あれ?あの腕輪って……」
映像の腕輪に見覚えがあったのか、兄はテーブルの上に置かれている攻略本を手に取りパラパラめくったかと思ったら、あるページを私達に示します。
「月と華の章にも出てくるんだけど、主人公の……つまり、装着者の好感度をUPする腕輪だったと思うよ。2では金銀ペアになっていて、2つあわせて鳳凰の腕輪だってここにも書いてある」
「……鳳凰?」
ピリッとしたなにかを感じて、私とベオルフ様が同時に視線を上げました。
そこには、セルフィス殿下と楽しそうに話をしているミュリア様の腕に光る腕輪を、今まで見たことがないほど怖い表情で睨みつけるオーディナル様がいらっしゃったのです。
声をかけることもはばかられるような、鋭く厳しい視線が何を表しているかわかりませんが、息が詰まるほどの圧力を感じました。
これは……神力が溢れ出している?
私やベオルフ様は大丈夫でも兄が……!
急ぎ兄の方を確認してみれば、時空神様が兄の隣に立ち「このイラストは本当に綺麗だね」と語りかけて気をそらしながらも守ってくださっているようです。
「主神オーディナル……」
ベオルフ様の静かな呼びかけに反応したオーディナル様は、ふぅ……と息を吐いて苦笑を浮かべました。
先程の不穏な空気は霧散しておりますが、私とベオルフ様の心にはシッカリと何かが刻まれたように感じます。
「すまない……地球にあるゲームという物では、よく使われる言葉であったな。しかし……もう少し調べてみたくなった。詳しい報告は暫く待ってくれ」
「それは構いませんが……大丈夫ですか?」
「ああ、問題ない」
オーディナル様は、確実に『鳳凰』という言葉に反応しておりましたよね。
鳳凰って中国では龍や麒麟や霊亀と同じ聖獣扱いですが、西洋のフェニックスと同一視されることも多いと記憶しております。
まあ、これは地球の知識ですから、ユグドラシルが基準となるオーディナル様の世界では違うのかもしれません。
しかし、先程の様子を見れば安易に尋ねて良い話ではない様子ですし……いつかタイミングを見てお伺いしてみましょう。
「まあ、それでも現時点でわかっていることを伝えておこうか」
オーディナル様はソファーの背もたれに体を預け、ゆっくりとした口調で語りだしました。
まるで、心の内に渦巻く何かをひた隠すかのようで心配になりますが、今はあの腕輪についての報告を聞いたほうが良さそうですね。
ベオルフ様も心配いらないというように私の肩を軽くポンッと叩くので、お任せいたしましょう。
「あの腕輪にかけられている奇妙な術は、指定した相手の評価を己の評価と入れ替えるものだ」
その言葉だけで、今まで腑に落ちなかったものが全て理解できた気がしました。
そういうことですか……結局、私がどれほど頑張ろうとも、腕輪から発動する効果のおかげで全く意味が無かったというわけですね?
しかも、彼女がバカをやればやるほど、私がバカ扱いされていた……ということですか。
ヒクリと口元が引きつったような感覚を覚え、兄が一歩下がるのが見えました。
しかし、すぐさま私の頬を大きな手が包み込み、真横に軽く引っ張ります。
「ふぇほうふふぁま?」
「何を言っているかわからんな」
それはそうでしょうとも!
人のほっぺたをムニムニして真横にむにーっと引っ張っていたら、ちゃんとした言葉が発音出来るはずもございません!
「なるほど、それで私も納得した。しかし、笑っていろ。その無念は、私が必ず晴らす」
一言一言力をこめて、宣言するようにおっしゃるベオルフ様の言葉に、怒りに震えそうな心が落ち着きを取り戻します。
タイミングが良いというか……本当に私のことを理解しているのですね。
「人の褌で相撲をとっても、意味がないだろうにね」
兄の言葉の意味が理解できず首をかしげるベオルフ様に「他人のものを利用したり、他人に便乗したりして、利益を得るという意味ですよ」と伝えれば、そういう言葉があることに驚き、全く関係のない言葉で様々な意味を持たせるとは面白い言い方だと感心しておりました。
まあ……グレンドルグ王国には、相撲も褌もありませんものね。
怒りに震えていた心は平穏を取り戻しましたが、どう考えてもベオルフ様のほうが……静かに怒っていませんか?
なんというか……噴火する前の火山と言ったら良いのでしょうか……下手に突けば爆発しそうです。
か、かなり危ない状況な気がしますよ?
なにか言葉をかけようとした私は、いきなり平衡感覚を失い一瞬にして自分がどういう状況に陥っているのか理解できず、ただ包み込まれた何かにすがりつくので精一杯でした。
「大丈夫か」
ベオルフ様の声を間近に感じて、支えてくださったのだと理解します。
「えっと……なんだか……めまいが……あと、視界がぼやけて……」
「そろそろ時間切れか。今回は合流する前に色々とあったから仕方ないな」
オーディナル様の言葉を聞き、この空間にいる時間が残り僅かなのだと知り、心が妙に焦りを覚えました。
だって……まだ色々と話し足りないことがっ!
「あ、あの、私っ」
「ルナティエラ嬢……無理は良くない。シッカリ休むんだ」
でも、こんな機会はそうそう無いとわかりますもの。
それに、兄や時空神様だけではなく、オーディナル様の様子も気になりますし、何よりも……ベオルフ様は───
「結月。ベオルフの言う通りだよ。無理は良くないから、帰っておやすみ。次に会う時には、ちゃんと情報を仕入れておくからね」
「次……」
「当たり前でしょ。これから、僕の持ってくる情報が役に立つはずだし、これが最後じゃないよ」
だから、安心しなさいと兄の柔らかな声を聞いて、焦りが少しだけ緩和されたように感じました。
そう……ですよね、最後では……ないですよね。
だからこそと言えば良いのでしょうか……兄の性格ですから、今回の件で必要以上に頑張ってしまいそうな予感がします。
一応、釘を差して置かなければなりません。
「お兄ちゃん……無茶しないでね。倒れたりしたら綾音ちゃんが泣いちゃうよ」
「僕の一番は綾ちゃんだし、ちゃんとわかっているから心配しなくても大丈夫」
よしよしと兄が私の頭を撫でてくれているようですが、それすらハッキリと見えなくなってしまって心細くなっていきます。
すがりついているベオルフ様のぬくもりだけが、私がまだここにいるのだと教えてくれているようでした。
「時空神様、兄を……よろしくお願いいたします」
「任せて。親友を見捨てるなんてことはしないから」
「え?親友だっけ?」
「ち、違うのっ!?」
「どうだろう」
あはははっと笑う兄の機嫌が良い声を聞き、時空神様の言葉が嬉しかったのだろうと察し、自然と口元が緩みます。
それはみんなにも伝わったようで、オーディナル様やノエルからも笑い声が零れ落ち、からかわれたと理解した時空神様が兄に文句を言っている。
とても仲の良さそうな光景が見られないのは残念ですが、声だけでもある程度はわかります。
「オーディナル様、ノエル……どうかベオルフ様をお願いいたします」
「わかっているよ、僕の愛し子。ベオルフなら僕が見ている」
「ボクもベオルフと一緒に頑張るからね!」
「ノエルも無茶をしないでね」
うん、大丈夫と肩に感じる重みと頬に擦りつくもふもふ感がノエルなのでしょう。
必死にそちらへ視線を動かすのですが、磨りガラスの向こうに見える景色のようにぼんやりとしておりました。
「ベオルフ様……ごめんなさい」
「何を謝る」
「私は……何もできないから……力になりたいのに、何も……」
「そんなことはない」
慰めの言葉をくださいますが、己の非力さを一番理解しております。
ベオルフ様の助けにも、兄の助けにもなれない私が悔しくて仕方有りません。
「貴女は貴女にしかできないことをするべきだ。こちらのことは我々に任せておけば良い。全てを自分一人で何とかしようなどと考えないことだ」
「でも……」
「貴女は、リュートの心身を健康に保つことを考え尽力すべきだ」
それはどういう……
問いかけるように彼の顔があると思われる場所を見上げると、頭を優しく胸板に押さえつけられ、トクリトクリと聞こえてくる心音に、波立っていた心が少しずつ落ち着きを取り戻します。
「万が一にもリュートがこちらへ召喚されても奴らの思い通りにならぬよう、ルナティエラ嬢は彼の心を守っていてくれ。健全な精神は健全な肉体に宿るのだろう?」
昔そう言って私に説教したのは誰だと苦笑を交えて言われてしまえば、返す言葉もございません。
そうですね、心も体も密接な関係にあります。
私がリュート様の心を健やかなものへと保つよう努力しましょう。
「それは、ルナティエラ嬢にしか出来ないのだ。頼んだぞ」
「はいっ」
元気に返事をした私の体が輪郭を失い出したことを感じ、また離れてしまうことに心が痛みを覚えます。
何故か離れることがつらく、心に痛みを覚える。
これは……何故なのでしょう。
半身をもがれるような……そんな感覚と言えば良いのかわかりませんが、これをお互いが感じているのだと疑いもしません。
抱きしめる腕の力が強くなった、そう感じた瞬間に全ての感覚が閉ざされる。
こうして、たくさんのことが起こったベオルフ様の夢への訪問は唐突に終わり、頭が痛くなるような事実を抱え、私はリュート様の元へと戻るのでした。
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レジーナブックス公式HPにて、
【番外編リュートの悩める夜】を掲載中!
《現在連載中の作品》
・悪役令嬢の次は、召喚獣だなんて聞いていません!【水・金曜日更新】
・黎明の守護騎士【土曜日更新】
・龍爪花の門 ー リコリスゲート ― 【月曜日更新】
・ロード・オブ・ファンタジア【不定期更新】
・ククルの大鍋 ー Cauldron of kukuru ー【切りの良いところまで書けたら更新】
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