101 / 558
第二章 外堀はこうして埋められる
お父様到着……?
しおりを挟む「ん?ロン兄から通信だ……すまねーが、チェリシュを頼む」
リュート様は抱っこしていたチェリシュをキュステさんに託すと、厨房の外へ出て行ってしまいました。
途端に、何だか寂しさというか落ち着かない気持ちが心の片隅に現れはじめます。
なんでしょう、落ち着きません。
いけない、いまはリュート様のお父様たちをおもてなしする料理に集中しなくては……と、考えているのに中々難しい。
リュート様に見守られて料理をすることに慣れてしまったということなのでしょうか、それともただ単に離れるのが寂しいだけとか?
食料庫であれだけくっついていたのに、まだ足りないとかどういうことでしょう。
「奥様?どないしはったん?」
「ルー?マール?」
「え……そんなに青いですか?」
ここまで青いとなると問題ですよっ!?
慌てて顔をあげると、心配そうなみんなの視線……き、緊張しているだけですから!
「そんなに構えんでも大丈夫やて。だんさんのお父はんは、女の子に甘いんやから。特に奥様みたいなタイプ好きやで。問題なんは、好きすぎてだんさんから引き離そうとせんかどうか……ってところやな」
え……ひ、引き離されちゃうんですかっ!?
予想外の言葉に固まりますが、それは私も困ります!
「せやから、今のだんさんと喧嘩にならんか心配なんや。だんさんの立場が微妙やからか、だんさんもお父はんも、どう接してええかわかっとらんのちゃうかな……それがこじれてもうて、ややこしいんよ」
「仲が悪いという話では……ないのですね?」
「仲悪いんやのうて、お互い守りたい気持ちが先走ってこじれとる感じやな」
それはそれで問題ですね……お互いを守りたい気持ちがあるのに、どうしてこじれてしまうのでしょう。
リュート様にとって家族は守るものですが、お父様にとってもそうなのであれば、リュート様を守りたいのに守らせてもらえないことに苛立ちを覚えている……ということでしょうか。
でも、リュート様は素直にテオ兄様とロン兄様に甘えていましたから、その違いにショックを受けている?とか?
あ……有り得そうです。
とにかく、私が頑張るのはお料理です!
美味しい物を食べていたら、少しは打ち解ける……話題の切っ掛けにでもならないでしょうか。
そのためにも、美味しいものを作らなくては!
アサリのワイン蒸しは、前もってアサリの砂抜きをカフェとラテに、リュート様がお願いしていてくださったので、簡単に作ることができました。
ていうか……アサリが割と肉厚で心持ち大きめ。
これは、口いっぱいに頬張ったら幸せになれそうです。
バターと白ワインの風味と、アサリから出る出汁がとても美味しい逸品ですが、作り方は簡単ですよね。
ガラスの蓋越しにフライパンの中の様子を見ていて、アサリの口が開いた時にチェリシュが「かぱー!」といっていたのが印象的でした。
可愛い!
天ぷらも、衣を準備し、リュート様が抹茶を準備して置いていてくださったので、抹茶塩を作っておきます。
マールとイカだけではなく、玉ねぎとナスと人参とアスパラの天ぷらも作っていきましょう。
個人的には、ししとうや大葉やカボチャも好きなのですが見当たりませんでした……残念です。
あ、あとは、きのこ類で椎茸も追加しました。
マール以外の全ての材料を食べやすい大きさに切り、水分をペーパーで拭って粉をまぶします。
それから衣をつけて油の中に!
パチパチ音を立てていますが可愛らしいものです。
あとのマールやイカは要注意ですものね。
マールは爪があまりにも大きかったので、半分に割って揚げていきますが、水分が残っていたのかパチパチ油のはね具合がハンパ無いです。
慌ててチェリシュを抱っこしているキュステさんが離れますが……リュート様はこういう時、前もって離れて位置取りしてますよね。
そう考えると、私の手順をシッカリ観察していて、ただ見ているだけではないのだと実感しました。
「次にイカを揚げますから、離れていてくださいね、これは一番危ないですから」
イカを揚げるための準備は一番気を使います。
下手をすると爆発しちゃいますからね……
兄が仲良くなった店の人に教えてもらってましたが、イカの皮は薄皮も含めると4層もあるそうで、加熱することにより水分が抜けて身が縮む一方、空気は皮の内側にたまり続けて膨らんでいく……膨張した空気が皮を突き破って爆発する……これが、イカの油ハネの原因になるみたいですね。
だからといって、皮を全部むけばいいという話では無いそうで、とてもむずかしい上に食感がすごく悪くなってしまうのだとか……
なので、油ハネを抑えて美味しく揚げる方法を教わって実践してみることにしたのですが、その後うちの家では油ハネが随分と減りました。
まずは、表面の水分をシッカリとること、これは普通にどの食材でもやりますよね。
次に切れ目を入れること、熱を入れることで皮と身の間にたまる空気を逃す場所をつくってあげると良いというお話で、飾りのために入れていたのだと思っていましたが、どうやら違ったみたいで驚きです。
そして、最後は、高温で揚げないこと。
これは、急激な温度変化を起こさないことが重要で、目安の温度は170℃~175℃くらい。
2分ほど揚げて、あとは予熱で火を通すのが良いんだとか……イカの温度が高まりすぎる前に取り出すのも重要だと教えて貰いました。
やっぱり、お店の人の知恵は凄いですよね。
とても助かります。
その注意点を守りイカを揚げていきますが、いつも緊張してしまいますね。
集中して全てのイカを揚げ終え、ホッと一息です。
リュート様が居なくなって気もそぞろでしたが、ココだけは集中できた気がしますね。
「へぇ、すげー上手に揚げるもんだ……衣も普通に作ってたけど、結構難しいのにな」
間近に聞こえた声に驚き振り向くと、リュート様が笑みをたたえて私の背後に立っていらっしゃいました。
も、もう!
びっくりするじゃないですか……でも、ちょっぴり嬉しい距離です。
もっと近くてもいいですよ?
「リュート様……ロン兄様はなんと?」
「ああ、ちょっとあって、開店前だが念のために準備しておいた部屋に通しておいた。シロ、飲み物の注文はこれだから頼む」
「はいです!」
え、も、もう来ているということですかっ!?
早くない……ですか?
「ルナ、料理は全部俺のボックスに収納するけどいいか?」
「は、はい、急いで盛り付けます!」
慌てて見栄えするように皿にペーパーを敷き、彩りよく配置して、抹茶塩も添えつけます。
アサリのワイン蒸しとジャガイモのニョッキのビスク和えも大丈夫。
あ、あとはカルパッチョ!
冷蔵庫から慌てて取り出したカルパッチョは、とても冷えていて美味しそうです。
下味をつけておいたトマトを散らし、ちぎったレタスを上に乗せ、合わせておいたドレッシングを回しかけて完成!
これで大丈夫!
「またたくさん作ったね。ごめんね、なんだか急がせちゃって」
そう言ってリュート様の後ろから姿を見せたのはロン兄様でした。
色々と雑務があって大変でしたでしょうに、柔らかく微笑む姿を見て安心してしまいます。
鎧姿ではなくて、白を基調としたラフなスタイルということは……お仕事が終わったのでしょうか。
お料理を手早くアイテムボックスに収納しているリュート様もそうですが、ロン兄様も白が似合いますね。
テオ兄様も似合いそうですが、黒のイメージのほうが強いです。
「いえ、ロン兄様も色々とお疲れでしょうに……すみません」
「気にしなくていいよ。可愛い弟と妹のためだからね」
それに、美味しい料理が食べられるし……「ねー?」とチェリシュと二人で「ねー」している姿が可愛らしいですよ!
ヤダこの兄弟、本当にこういうところがソックリで可愛いんですから!
「キュステ、お前も来い」
「へ?なんで?……なんかあったん?」
「お前にも客だ」
「……は?僕に?」
ポカンとしているキュステさんから、チェリシュが「ルー」と呼ぶので抱き上げると、それを合図にリュート様が問答無用で彼を引っ張っていきます。
リュート様……やけに緊張してますね。
大丈夫でしょうか……
「ルー、大丈夫?」
「ええ、大丈夫ですよ。チェリシュも一緒にいって大丈夫でしょうか」
「問題ないよ。引き離すほうが可哀想だものね」
先頭にリュート様、続いて引きずられているキュステさん、そして、私とチェリシュ、後方にロン兄様という順番で、一番奥の部屋へ通されます。
扉を開いた先にいたのは、漆黒の鎧を身にまとったテオ兄様と同じ紺碧色の髪とロン兄様そっくりの空色の瞳……間違いない、この色気を漂わせる優しげな表情の男性が、リュート様のお父様ですね。
本日のメインであるはずのお父様は、椅子に座る白髪の初老の男性の付添だというような位置取りで、後方に控えていらっしゃいました。
中央に座る、長い白髪を後ろで1つにまとめた、こちらを面白がるような表情で見る男性……アイスブルーの瞳は綺麗に煌めき、深い色を宿しています。
体躯はテオ兄様を凌駕するほど大きく、部屋の片隅に置いてある身の丈ほどの大剣を振り回せるだけの腕力を持つとわかる太い腕や肩や首周りが勇ましく、初老なんて年齢を感じさせない。
「じ、爺様っ!?なんでこんなところにいはるん!国はええんかいな!」
え、キュステさんのお祖父様ですか?
似て……ないですね。
あちらは一言でいえば、歴戦の猛者。
方や、残念臭が漂う不憫枠……比べるのが可哀想になってくるほどの差ですよ?
「問題ない。それよりも久しぶりに会ってもお前は変わらんな。番を貰ったというから、少しは落ち着いたかと思ったが、まだまだひよっこか」
「うぐっ」
ヤレヤレと大仰にため息をつく姿に、キュステさんは言葉を詰まらせ、泣きつくようにリュート様の方を見ています。
どちらが年上かわかりませんね。
「アレンの爺さん。いじめてやんなよ。会いたかったんだろ?」
「そうじゃな。うむ、息災で何よりじゃ。国は……アレだ、世代交代じゃな」
「はあっ!?じゃ……じゃあ、爺様……暫く国に帰れへんの?」
「そうなる」
「急やわ……そんなん……誰も聞いとらへんよ?」
「タイミング的に悪くない。儂が国のトップにずっとおっては後続が育たん。これ以上は、国のために良くないからな」
そう言ってカラカラ笑いますけど……国の……トップ?
キュステさんと同じ種族と考えると竜族……ですよね?
その竜族の国のトップって……
私が困惑しているのがわかったのか、リュート様がこちらを見て苦笑します。
「あの爺さんは、竜帝だ。厳密には、前竜帝というところだな。そして、キュステは皇位継承権を持つ爺さんの孫の1人なんだよ」
「え……キュステさんって、そんなにエライ人だったのですか?」
「や、やめてや!僕は皇位継承権を放棄した身やし!お父はんが引き継いでも、僕はならへんから!」
「次はお前が引き継ぐのが順当……じゃがな」
「お兄はんがおりますやん。それに、番の子やから言うて、祭り上げられても困るんよ。前妻の子をないがしろにするんはちゃうやろ……」
番の子……前妻の子……キュステさんは意外と複雑な家庭環境の中で育ってきたのだと、今の言葉だけで理解できました。
皇位継承権を放棄したのは、その兄を守るためなのですね。
キュステさんは人が良いですから、皇帝という役職をこなすには難しいでしょう。
だから、目の前の前竜帝陛下は無理やり連れ戻さなかった……そう考えれば、キュステさんが国の外にいてリュート様のお店で仕事をしているのも自然です。
「頭の固い連中ばかりで困るわい。お前は皇帝には向かん。優しぎてダメじゃ。そう言うても聞く耳持たんバカばかりで頭が痛いわい」
「番って、それだけ大事なんやね」
「そりゃそうじゃ。お前だってわかっておるじゃろ。マナの相性が良すぎて、己の力を底上げする相手……無条件で信頼しあえ、相手が裏切るなんぞ考えることもない。好ましく安心できて、己を託せる安心感は何者にも代えがたい」
「うん、わかるわ」
前竜帝陛下の言葉を聞いて、まるでリュート様と私のことのようだと感じた。
マナの相性、お互いを支え合う感覚、無条件で信頼できて裏切るなんて考えられないし、とても好ましく……底なしに覚える安心感。
他の方と比べられるものではなく、とても───
「せやけど……お兄はんが可哀想やん!お兄はんのお母はんは、番や無かったかもしれんけど、優しゅうて凄いお人やったって聞いた。せやから……それをなかったことにせんといて欲しい」
悔しそうに唇を噛みしめるキュステさんは、本当に優しいのだと思う。
確かに、皇帝という立場に立つには難しいかもしれませんが、いずれそのお兄さんが皇帝の座に就く時に、そばに居て欲しい人かもしれません。
元気づけるためにポンッと背中を叩くリュート様に、ハッとしてキュステさんは下がっていた顔をあげる。
「僕はここにおる。ここで、非日常的なことを目の当たりにして、これからいっぱい驚いてワタワタして……常識を片っ端からぶち壊されていくねん」
「……え、なんですかソレ、私を見て言わないでください」
その最たる人が何言うん……という視線で見られましたけど、解せません。
隣でリュート様が笑っていますが、リュート様も同罪ですよっ!?
「まあ、ルナちゃんの料理見てたらそう思っても仕方ないよね」
「えっ!ロン兄様までそんなことおっしゃるんですかっ!?」
そ、そこまで常識はずれなことしていたのでしょうか。
情けない表情になっていたのか、私を見てプッと吹き出したリュート様を見上げますけど、視線をシッカリそらして肩を震わせ笑っていらっしゃいました。
もうっ!リュート様まで!
「ルーのお料理、ふしぎなの!いっぱいいっぱいすごーくキラキラなの!」
「チェリシュ!」
ぎゅーっとしがみついて来るチェリシュを抱き締め返し、ありがとうと頬ずりすると強い視線を感じます。
あ……し、失礼いたしました。
リュート様のお父様が顔を真っ赤にし、プルプルしています。
前竜帝陛下の前で騒いだので、怒っていらっしゃるのでしょうか。
そんなリュート様のお父様を一瞥した前竜帝陛下が、ボソリと呟きます。
「仕事中なのを忘れるでないぞ」
「はっ!申し訳ございません」
キリッと居住まいを正したお父様は、直立不動に戻りました。
よく考えてみれば、この顔ぶれって凄い……ですよね。
黒の騎士団長であるリュート様のお父様は、家族ですから来てもおかしくないでしょうが、前竜帝陛下が私達の目の前にいらっしゃるのですもの。
国賓といっても間違いない方が、店にいる……前代未聞のことではないでしょうか。
それにしては、リュート様のお父様だけというのは護衛が少なすぎるような……?
とはいえ、リュート様がいるだけで、この場に踏み込んでくるような人はいなくなる予感しかしませんし、目の前の方も随分強そうです。
感じる魔力というか、漂う気配が違うと何かが訴えてきますもの。
リュート様のお父様も強い気配を感じますが、比べ物になりません。
「さて、まずは自己紹介といこうか。儂はいまの話にもあったように、前竜帝であるアレンハイドという。家名は、帝位を譲渡する時に捨てるという我が国のしきたり故に無くなった。今は、ただ単なるアレンハイドじゃ」
「それだけやのうて、皇帝が帝位を譲渡すると、その国に500年は特別な用事でもない限り戻ったらアカンのよ」
「え……そう……なんですか?」
「んむ。まあ、儂がおるとみんな儂を頼るからな。それは必要なことなんじゃよ」
竜族と獣人族は強い者に従う。
だから、どうしてもそうなるのだとリュート様が補足説明してくださいました。
しかし……それは寂しいですね……
生まれ故郷に戻れないのは、とても辛いですもの。
「今まで国からほとんど出ることが出来んかったから、好き勝手できると愉しめば良い。それくらい許されるじゃろ」
「まあ、アレンの爺さんなら一人でも平気だろうが……あー!だから、イーダの婆様が城に呼ばれたのか!」
「ああ、それもあるが……別件もあったようじゃ」
あ、原因の1つではあるわけですね?
でも別件って……
「シルフィードが来ておったじゃろ」
「ああ……この時期に珍しいなって思ったが……」
「どうやら、浄化を頼みに来たようじゃ」
「前回から一年も経ってねーが?」
「ソレじゃ。儂も気になって、いま調べさせておる」
リュート様の表情が険しくなり、それに伴い前竜帝陛下も眼光を鋭くされます。
二人共同じことを危惧している……そう物語っているように見えました。
だけど、あの……リュート様?
神々も呼び捨てを許されているから今更感もありますが、竜帝陛下に「爺さん」はないような気がしますよっ!?
とはいえ、キュステさんより祖父と孫というような雰囲気があって、色々と納得してしまいそうです。
そして、エルフの国の浄化の話を聞いたとき、頭の片隅にティエラ・ナタールの黒いモヤを思い出し、なんとも言えない不吉なものが裏でうごめいている気配に、身震いしてしまいました。
346
お気に入りに追加
12,205
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
三年目の離縁、「白い結婚」を申し立てます! 幼な妻のたった一度の反撃
紫月 由良
恋愛
【書籍化】5月30日発行されました。イラストは天城望先生です。
【本編】十三歳で政略のために婚姻を結んだエミリアは、夫に顧みられない日々を過ごす。夫の好みは肉感的で色香漂う大人の女性。子供のエミリアはお呼びではなかった。ある日、参加した夜会で、夫が愛人に対して、妻を襲わせた上でそれを浮気とし家から追い出すと、楽しそうに言ってるのを聞いてしまう。エミリアは孤児院への慰問や教会への寄付で培った人脈を味方に、婚姻無効を申し立て、夫の非を詳らかにする。従順(見かけだけ)妻の、夫への最初で最後の反撃に出る。
今さら後悔しても知りません 婚約者は浮気相手に夢中なようなので消えてさしあげます
神崎 ルナ
恋愛
旧題:長年の婚約者は政略結婚の私より、恋愛結婚をしたい相手がいるようなので、消えてあげようと思います。
【奨励賞頂きましたっ( ゚Д゚) ありがとうございます(人''▽`)】 コッペリア・マドルーク公爵令嬢は、王太子アレンの婚約者として良好な関係を維持してきたと思っていた。
だが、ある時アレンとマリアの会話を聞いてしまう。
「あんな堅苦しい女性は苦手だ。もし許されるのであれば、君を王太子妃にしたかった」
マリア・ダグラス男爵令嬢は下級貴族であり、王太子と婚約などできるはずもない。
(そう。そんなに彼女が良かったの)
長年に渡る王太子妃教育を耐えてきた彼女がそう決意を固めるのも早かった。
何故なら、彼らは将来自分達の子を王に据え、更にはコッペリアに公務を押し付け、自分達だけ遊び惚けていようとしているようだったから。
(私は都合のいい道具なの?)
絶望したコッペリアは毒薬を入手しようと、お忍びでとある店を探す。
侍女達が話していたのはここだろうか?
店に入ると老婆が迎えてくれ、コッペリアに何が入用か、と尋ねてきた。
コッペリアが正直に全て話すと、
「今のあんたにぴったりの物がある」
渡されたのは、小瓶に入った液状の薬。
「体を休める薬だよ。ん? 毒じゃないのかって? まあ、似たようなものだね。これを飲んだらあんたは眠る。ただし」
そこで老婆は言葉を切った。
「目覚めるには条件がある。それを満たすのは並大抵のことじゃ出来ないよ。下手をすれば永遠に眠ることになる。それでもいいのかい?」
コッペリアは深く頷いた。
薬を飲んだコッペリアは眠りについた。
そして――。
アレン王子と向かい合うコッペリア(?)がいた。
「は? 書類の整理を手伝え? お断り致しますわ」
※お読み頂きありがとうございます(人''▽`) hotランキング、全ての小説、恋愛小説ランキングにて1位をいただきました( ゚Д゚)
(2023.2.3)
ありがとうございますっm(__)m ジャンピング土下座×1000000
※お読みくださり有難うございました(人''▽`) 完結しました(^▽^)
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。