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第二章 外堀はこうして埋められる
お説教です
しおりを挟む愛の女神様は私の方を暫く見ていましたが、一度目を閉じて微笑むと一歩前に踏み出してリュート様の後ろにいる方々を見渡しました。
「この度は、妾の娘が皆に多大な迷惑をかけてしもうた。謝って許されることではないと重々承知してはいるが、まずは心からの謝罪を……本当に申し訳ない」
とても綺麗なお辞儀を見て、私は目をパチクリさせてしまう。
えっと……神様が……しかも、十神と呼ばれる神様が謝罪しちゃいました……よ?
「母さま!人間などに謝罪など!」
「お黙り。神であろうと人であろうと関係ない。悪いことをしたと思うならば謝罪するのは当然じゃ。それが、たとえ我が母、創世神ルミナスラであろうともじゃ。妾は母にそう教わった。お主にもそう教えたはずじゃが、どこで間違えたのやら……。それに、盗み聞きもしておったようであるしな」
「ち、違うのじゃ!それは、教育係のテレージュが教えてくれたのじゃ!」
「ほう?」
すぅっと目を細める愛の女神様……どうやら、神々の世界にも色々あるのでしょう。
何やら重要なことであったようで、愛の女神様の後方にいつの間にか控えていた従者らしき者の1人が姿を消します。
「それについては、あとでじっくり聞くとしよう。しかし、この件……見過ごすわけにはいかん。なにゆえこのような騒動を起こしたのじゃ」
「その女が悪いのじゃ!妾が折角リュートに謝ろうとしたのに邪魔をするから!」
「邪魔?」
「そうじゃ!のほほんとなんの悩みも無さそうな顔をして、弱くて何も出来ぬくせにリュートに大事に守られて、妾に偉そうなことを言うのじゃ!」
全く反省の色がありませんね……と、呆れの溜息を付いた私の背後に来ていたリュート様から怒りの気配を色濃く感じました。
ダメですよ、リュート様。
今は、愛の女神様がお話中です。
隣まで来て動きを止めたリュート様の血に濡れた手に指を添えた。
いままさに口を開いて言葉を発しようとしていたリュート様は、弾かれたように顔をこちらに向ける。
暫くの間、もの言いたげな目つきでジッと私を見ていたが、何かを悟ったかのように小さく嘆息したあと肩を落とした。
そして、「しょうがないな」というように私の手を優しく包み込んで、静かに親子の会話を見守る。
「ほう、弱い……か。そして、何も悩みが無さそうに見えるのか」
意外にもその言葉を放ったのは、愛の女神様であった。
感情の伺えない表情と声……何を考え、何を思い言ったのでしょう。
「そうか。ならば、そなたの罰は決まった。人よけの魔法をかけてやろう」
え?
その言葉に、私とリュート様が固まる。
どういう……ことでしょう。
私にかけられていた『人よけの呪い』のことをご存知だということですか?
「誰に話しかけても反応せず、誰もそばに近寄ろうともせず、居ないものとして扱われ、たった独りで生きてゆく……そんな術じゃな」
「そ、そんなの嫌じゃ!独りなんて何も出来ぬのじゃ!怖いのじゃ!嫌じゃ嫌じゃ!」
小さく体を震わせて嫌だと駄々をこねる恋の女神様を見下ろし、愛の女神様は厳しい声で言い放つ。
「そなたが弱く悩みの無さそうだと言うた娘は、その術に人の身でありながら10年という歳月耐え抜いたのじゃぞ」
「え……」
「声を出しても、願っても、そなたのように泣き喚いても、誰も助けはせぬ。決して救いのない、孤独という暗闇とたった独りで戦い抜いた強き娘を、聞いただけで震え上がるような者が弱いと嘲るか……」
静かなのに怒りの籠もった声は、私の心に深く響いた。
この方は……ご存知なのだ。
私の感じてきた、あの暗闇を───
ズシリと心に重いものがのしかかり、色んな感情が入り乱れる。
「違います……私は……強くなんてありません。臆病で弱くて……自分を守るために全てを諦めたんです」
強かったら変えられたかもしれない。
諦めなければ、もっと違う未来があったかもしれないという思いが拭えないのに、その私が強かっただなんて思えません。
「そなたが諦めたのは、助けを求めることであろう?本当に諦めておったら、そなたはここに居らぬ」
その言葉にリュート様の体が大きく揺れ、握られている手に力がこもる。
『ここに居らぬ』という言葉の意味がわからないなんて言わない……でも、私はその死を望む勇気すらなく、怖くて震えていただけなのですよ?
「孤独というものはな、その者の本質を狂わせる。魂を歪め、心を蝕み、どんどん無機質になっていき、終いには絶望の中で己の死を望む」
いつの間にか地面を睨みつけていたのに気づき顔を上げると、愛の女神様がまっすぐ私の瞳を見つめてきた。
その瞳から逃げてはいけないと感じ、ジッと目をそらさず、宝石のように輝く瞳を見つめ返す。
「良い魂じゃ。真っ直ぐで眩しいくらいに光り輝き、純粋であたたかい。リュートと同じじゃな。よく似ておるわ」
ゆっくりと近づいてきた愛の女神様は、白魚のような手でソッと私の頭を撫でた。
「辛かったのぅ……独りでよく耐え抜いた。よく我慢した。よく諦めずに生きたな。傷だらけになっても、苦しくとも、辛くとも……頑張ったのぅ、偉かったのぅ」
何度も何度も頭を優しく撫でる手の感触に、何かが溶かされていく気がして、なにか言いたいのに言えない。
リュート様が握っていてくれた手がソッと絡むように動き、指と指を絡ませあって握った。
そこからじんわりと伝わる熱が、心を優しく包み込んでくれる。
二人の優しさを感じていた私の頬に、一粒だけ涙がこぼれ落ちた。
何に対しての涙であったのかわからなかったけど……
ただ、やっと、あの孤独な闇が終わったのだと感じていたのである。
「ザネンダよ。女神としてこの娘をちゃんと見ておれば、弱いなどと口が裂けても言えなかったはずじゃ。そなたより幼い春の女神でさえ理解しておることがわからぬとは……」
恋の女神様は私を見て、それから悔しそうに視線をそらしてしまいました。
反省の色が足りませんよ?
私には別にいいのですが、この騒動に巻き込まれた方々に、ちゃんと謝罪してくださいね。
「リュートがこの者を求める理由も簡単じゃ。逃れられぬしがらみや弱い部分を知っても、丸抱えにして笑える強さを持ち、心から望むものを惜しむこと無く与え注いでくれるからであろうな」
「リュートに弱いところなんてないのじゃ!」
「愚かなことを言うでないわ。弱い部分のない者など、どこにも存在せぬ。神でさえも、弱い部分を持ち、日々それに抗い生きておる。それから目をそむけているそなたにはわからぬかもしれんがな……」
母として……いえ、きっとこれは上位神としてのお言葉なのでしょうね。
厳しいとは思いますが、彼女が今まで目を背けてきたものを、まずは理解させないといけません。
「弱さと強さは誰の中にでもある。リュートが強いと思うのならば、それは大切な者たちを守りたいと願う心とたゆまぬ努力の賜物じゃ。その娘に、アレ程の過去があろうとも悩みが無さそうに見えるのは、その者の持つ強さと優しさゆえじゃ」
もう、それくらいわかるであろうと愛の女神様は恋の女神様に語りかける。
「忘れてはならぬ。強大な力を持つ我々神が偉いのではない。他者を見下すこと無く思いやり、己の力に呑まれず制御し、常に冷静な判断力を持ち、間違いを間違いと認める勇気を持ち、どんなに辛くとも前へ突き進んでいく強さを持った者が偉いのじゃ」
その言葉は、とても深く心に響いた。
そうありたいと願い望む姿で、とても難しいことであると知っている。
ですから、私も忘れないように、この言葉を心に刻みましょう。
それがいつか、リュート様の助けになると信じて……
「それを踏まえた上で、ザネンダよ……改めて周囲を見よ」
逆らうことを許さない厳しい声に促されるように、恋の女神様が周囲を見渡す。
顔をしかめて視線をそらそうとすることすら許さないというように、愛の女神様が名を呼ぶ。
「ザネンダ。ここにいる者たちは、そなたの気まぐれで発案したイベントを成功させようと尽力した者たちと、参加してくれた者たちばかりじゃ。その者たちに、そなたは何をした」
「……っ!」
傷だらけのリュート様だけではない、ロン兄様も春の女神様もボロボロですし、テオ兄様にも疲労の色が見えます。
もちろん、黒の騎士団の方の中には怪我をした方もいらっしゃるでしょう。
一般人だって、みんな無傷だとは言えないのではないかと考えておりますが、リュート様と春の女神様と黒の騎士団の方々の努力の結果、深刻な事態になっていないようです。
「感情のままに力を使った結果がコレじゃ。このままであれば、人よけの魔法など使わずとも、そなたはいずれ独りになるであろうな」
確かに、いくらこの聖都の方々が陽気でノリの良い方々が多いとしても、こんなことが毎回起これば、誰も恋の女神様の言うことに耳を傾けなくなるでしょう。
魔法なんてかけなくてもおとずれる孤独……自業自得とは言え、それは辛いでしょうね。
「今までは、妾のそばで癇癪を起こしておったから事なきを得ていた。その度に注意だけで済ませてしまった妾にも責任がある。親として、それだけではいけなかったと反省した。そなたは、神界に籍を置く女神として、己の力で傷ついた者たちを前にして何も感じぬというか」
周囲をゆっくり見渡した恋の女神様の大きな瞳に涙が溜まっていくけど、今度は泣かずに唇を噛み締めて堪える。
そして、拳をぐっと握りしめた。
「傷つけて……ごめんなさい。迷惑かけてごめんなさい。無理言ったのに……聞いてくれて、ありがとうなのじゃ」
ペコリと頭を下げる恋の女神様に『ようやく反省してくれたのか』と、みんなの心が一致した瞬間でもあった……かもしれませんね。
現に、リュート様はホッと息をついていますし、テオ兄様やロン兄様も口元に笑みを浮かべています。
「リュー!ルー!」
話が終わったと判断したのか、グレンタールの背に乗った春の女神様がこちらにやってきたかと思ったら、迷わず私めがけてダイブです!
危ないですよっ!?
こうなるとわかっていて発動したのだろうリュート様の小さな魔法陣が、春の女神様の体の重力を操作しているのか、私の腕の中にゆるやかな弧を描き落ちてきます。
「危ないですよ?」
「リューいるから、だいじょうぶー」
「全くもー」
「リュー……血……いっぱい……」
「あー?これくらい大丈夫だ」
リュート様の腕から流れる血を見て、春の女神様が目を潤ませます。
私も潤んでしまいますよ?
皆を守るために、リュート様がこんなにたくさん傷ついている。
それなのに、やっぱり私は何も出来ないのですね。
「私に少しでも力があったら、リュート様の傷を癒やしましたのに……こんないっぱい傷ついて……」
「俺はいいよ。それより、ルナは大丈夫か?……あー!手の甲に傷!右拳が真っ赤じゃねーか!慣れね―ゲンコツなんてするからだよ」
あーあ、と言いながら私の右手を包み込んでヨシヨシしますけど、リュート様の傷のほうが酷いですよっ!?
「私の拳なんてどうでもいいのです!リュート様の傷のほうが大問題なのです!」
「俺の傷は放っておいても治るからいいの」
「何を言ってるのですか、治りませんよねっ!?」
「舐めときゃ……」
「嘘です!そんな嘘はダメなのですよ!」
「だ、だからって泣くな、大丈夫だから、な?大丈夫、痛くない痛くないっ」
私と春の女神様の瞳がうるうるしてきているのがわかったのか、リュート様が大いに焦って助けを求めるようにお兄様方に視線を送りますが、二人は苦笑している様子です。
「そなたが祈れば、何か起こるやもしれぬ。神石に触れながら祈ってみると良い」
愛の女神様の言葉に従い、私は春の女神様を片腕に抱き、スカートのポケットにしまっておいた神石を取り出し契約紋の上辺りまで持ってくると心を鎮めて祈り始める。
すると、すぐにじんわりと契約紋が熱くなるのを感じ、意識が全く違うところに引きずられるような感覚がした。
周囲で聞こえていた音が聞こえなくなり、耳が痛いほどの静けさに包み込まれる。
『お疲れ様。ようやく……だね。色々あったが、今はあまり気にせずそちらにいるといい』
声が聞こえた。
その声に導かれ意識をそちらへ向けると、まず見えたのは漆黒の髪……
前髪が少し長めで両サイドは短くスッキリしている感じ……だけど、後ろ髪を一部だけのばしてゆるく結っているようで、細く長い尻尾のように揺れる。
ジッと見つめてくる葡萄色の瞳は、私に親しみを持っていることがわかるほど好意的であった。
この声と姿……先程私にアドバイスくださった方に違いありません。
ということは、オーディナル様……ですよね?
『ボクの加護もここまでだ。これからは、君がそのスキルをうまく扱っていくんだよ?ボクの世界の愛し子よ』
そういって、私の頭を何度か撫でて「またね」と言い、彼は踵を返して去っていく。
あ、あれ?愛し子って……漆黒の髪では?
色々聞きたくて引き止めたいのだけど、体が動かない上に声すら出せない。
せめてなにかないかと目を凝らしていたら、遠くに私が元いた世界が見えた。
オーディナル様が帰ろうとする先に見えた世界は、相変わらず私の瞳に暗くうつるのに、様々な光景が映し出された中の1つに色彩を感じて慌てて目を凝らす。
あれは……ベオルフ様?
いったい彼に何かあるというのでしょうか。
ジッと見つめる先の彼は、頭痛でも患っているのか頭を押さえて眉間に深いシワを刻んでいた。
大丈夫なのだろうかと心配になってきたところで、歓声が聞こえる。
今度は何?
「すごいのー!」
「本当にすげーな……」
一瞬にして意識が現実に引き戻され、私が腕に抱いていたはずの春の女神様は、いつの間にかリュート様に肩車されてきゃっきゃ声を上げてはしゃいでいる。
「あ、だ、ダメですよ!リュート様は怪我をされているのですから!」
慌てて春の女神様を肩からおろそうとしたのですが、リュート様は微笑んでそれを制します。
ダメですって!
「心配ない。ほら……見て?」
改めてリュート様を見てみると、血で真っ赤に染まっていたあとはどこにも無く、所々切り裂かれていたはずの衣類さえ綺麗に修繕されていた。
え?どういう……ことでしょう?
呆然とする私の目の前を、ひらりと何かが横切る。
それは、一枚ではなく……
ひらひらと舞い散る桜のような花びら……ルナフィルラの花びらですか?
白、空色、桜色の花びらが空から舞い散る光景は、とても神秘的で美しい。
「まさか、母上を一瞬でも呼び覚ますとはな……」
愛の女神様の声を聞きながら、許容量オーバーになりそうなほど一気に流れ込んできた情報量に、私は考えることを一旦放棄することにした。
だって、この景色があまりにも綺麗ですから……うだうだ考えているのが勿体無いのですもの。
天から舞い降りるルナフィルラの花びらが全てを癒やしていく、この幻想的な光景を忘れないように、リュート様に肩を抱かれ、どこまでも澄み渡る空を見上げていた。
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