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オタクの読書感想文
アレクサンドル・デュマ・ペール先生の『黒いチューリップ』 オランダの狂気のチューリップビジネス
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アレクサンドル・デュマ・ペール先生の『黒いチューリップ』 オランダの狂気のチューリップビジネス『黒いチューリップ』は『三銃士』や『モンテ・クリスト伯』などの名作で知られる大デュマの1850年に発表された作品。
……であるが、私が初めて読んだ『黒いチューリップ』は大デュマのものではなく、東条和実先生の漫画だった(内容はデュマの作品と全く関係ないですm(__)m)
学生時代、吉原理恵子先生の『幼馴染み』や桑原水菜先生の『炎の蜃気楼』といったBL小説にハマっていた私は、その小説のイラストを描いている東条和実先生の漫画が気になり、買ってみたのだ。
それから『黒いチューリップ』というタイトルの大デュマの作品があると知る……(BLオタよ……)
この本、表紙が馬に乗っている青年の絵なんだが、主人公ほぼ牢屋にいる花狂いの男で、なんか表紙の絵と作品の内容のイメージ違うなぁと思っているのは私だけだろうか(文句ではありませんm(__)m)
17世紀のオランダは空前のチューリップ・バブル。
新種のチューリップが開発されると、とても高値がつく時代。
その新種チューリップ開発と、1672年のデ・ウィット兄弟の惨殺事件を題材にした物語。
ざっくり言うと、多額の賞金が懸かった黒いチューリップを巡る陰謀に巻き込まれ、無実の罪で投獄された青年と牢番の娘の愛を描いた物語。
主人公のコルネリウス・ファン・ベルルは遺産で暮らす裕福な青年で、C・デ・ウィットが名づけ親。
彼の隣家には、チューリップ園芸家のアイザック・ボクステルがいた。
コルネリウスはお金持ちのお坊ちゃま君。
金儲けというよりは、純粋な花への熱い情熱でチューリップ栽培を始め、後発にもかかわらず財力を生かして、たちまちボクステルをも凌駕するチューリップ園芸家となる。
そして、ハーレム園芸協会が10万ギルダーという多額の賞金を懸ける黒いチューリップの品種開発に思いを注ぐ。
隣の家のボクステルは、嫉妬のあまり望遠鏡でコルネリウスの生活を観察するのが日課になってしまう。
コルネリウスが黒いチューリップの球根3個の開発に成功したことを密かに知ったボクステルは、黒いチューリップの最初の開発者である栄誉と多額の懸賞金を自分のものにしようと、悪巧みを始める。
1672年8月20日に、オランダのハーグでは、前宰相のJ・デ・ウィットとその兄のC・デ・ウィットに対する虐殺事件が起きた。
これに先立ち、コルネリウスは、C・デ・ウィットからオランダ侵略戦争の敵国フランスと交わした密約書を預る。
その様子も望遠鏡で見ていたボクステルは、球根を手に入れるため、コルネリウスを反逆加担のかどで告発する。
民衆の憎悪の対象となったデ・ウィット兄弟は、密約書を預けたコルネリウスにも危険が迫るため、密約書を中を見ずに焼却するよう召使に手紙を託した。
しかし、コルネリウスは手紙を読む暇もなく連行されてしまう。
そのとき、とっさにその手紙に球根3個を包んで持ち出した。
コルネリウスは死刑を宣告され、収監先のハーグの監獄で牢番の娘ローザに球根を渡す。
黒いチューリップの3つの球根のうち、ひとつはコルネリウスが獄中で、もうひとつはローザが、それぞれ花を咲かせようとする。
そこから、ローザとコルネリウスは獄中で愛を深める。
ローザの働きのおかげで、コルネリウスは無実の罪をはらしただけでなく、黒いチューリップの花を咲かせることに成功する。
一応、主人公は青年コルネリウスなんだけど、牢獄にいるので、ローザのほうが主人公感満載。
『三銃士』や『モンテ・クリスト伯』みたいな他の大デュマの有名作と比べると、この『黒いチューリップ』は恋愛描写が繊細で(スケールの大きな話が好きな男性には物足りないかもしれないが)個人的には好みである。
コルネリウスと牢番の娘ローザの身分違いの恋。
牢獄の扉を隔てた出会いの中で、二人は髪の匂いを嗅いだり、手を触れたり、頬に触れたり、キスしようとしたり、(牢屋の中と外にいるので、当たり前だけど、体の関係は一切ないんだけど)めっちゃキュンキュンする。
しかし、コルネリウスはローザ以上に黒いチューリップが好きなのでは?と思うくらい、花狂いの男である。
読み終えて思ったのは、隣人の嫉妬って怖い……
ご近所さんとは仲良くしようと思った(感想そこかよ!ってツッコミきそう……)
ここまでチューリップ愛がすごいとはっ! とオランダ人のチューリップビジネスへの情熱に驚かされる。
最後はコルネリウス、美少女ローザという嫁と大金を手にしてハッピーエンド!
大デュマ先生、オランダのチューリップブームを題材にした開発と陰謀と恋の物語をありがとうございましたm(__)m
【追記】
この記事を書いたあと、オタ友から電話が。
お金持ちのコルネリウスが栽培のために高い建物を立て、その隣に住んでいたボクステルの家の日当たりが悪くなり、栽培に適さない環境になり、無駄に恨みをかったとする意見もあるよ、と。
普通だったら、隣に同業者がいたら、配慮はそれなりにするよね……
このあたり、コルネリウスの花に夢中すぎて周囲が見えていない世間知らずさが招いた災いなんじゃないかなぁ、と友。
確かにm(__)m
友から連絡もらって、自分の視野の狭さを痛感するのと、同じ作品でも、人によって印象に残る部分って全然違うなぁと。
だからこそ面白い!
……であるが、私が初めて読んだ『黒いチューリップ』は大デュマのものではなく、東条和実先生の漫画だった(内容はデュマの作品と全く関係ないですm(__)m)
学生時代、吉原理恵子先生の『幼馴染み』や桑原水菜先生の『炎の蜃気楼』といったBL小説にハマっていた私は、その小説のイラストを描いている東条和実先生の漫画が気になり、買ってみたのだ。
それから『黒いチューリップ』というタイトルの大デュマの作品があると知る……(BLオタよ……)
この本、表紙が馬に乗っている青年の絵なんだが、主人公ほぼ牢屋にいる花狂いの男で、なんか表紙の絵と作品の内容のイメージ違うなぁと思っているのは私だけだろうか(文句ではありませんm(__)m)
17世紀のオランダは空前のチューリップ・バブル。
新種のチューリップが開発されると、とても高値がつく時代。
その新種チューリップ開発と、1672年のデ・ウィット兄弟の惨殺事件を題材にした物語。
ざっくり言うと、多額の賞金が懸かった黒いチューリップを巡る陰謀に巻き込まれ、無実の罪で投獄された青年と牢番の娘の愛を描いた物語。
主人公のコルネリウス・ファン・ベルルは遺産で暮らす裕福な青年で、C・デ・ウィットが名づけ親。
彼の隣家には、チューリップ園芸家のアイザック・ボクステルがいた。
コルネリウスはお金持ちのお坊ちゃま君。
金儲けというよりは、純粋な花への熱い情熱でチューリップ栽培を始め、後発にもかかわらず財力を生かして、たちまちボクステルをも凌駕するチューリップ園芸家となる。
そして、ハーレム園芸協会が10万ギルダーという多額の賞金を懸ける黒いチューリップの品種開発に思いを注ぐ。
隣の家のボクステルは、嫉妬のあまり望遠鏡でコルネリウスの生活を観察するのが日課になってしまう。
コルネリウスが黒いチューリップの球根3個の開発に成功したことを密かに知ったボクステルは、黒いチューリップの最初の開発者である栄誉と多額の懸賞金を自分のものにしようと、悪巧みを始める。
1672年8月20日に、オランダのハーグでは、前宰相のJ・デ・ウィットとその兄のC・デ・ウィットに対する虐殺事件が起きた。
これに先立ち、コルネリウスは、C・デ・ウィットからオランダ侵略戦争の敵国フランスと交わした密約書を預る。
その様子も望遠鏡で見ていたボクステルは、球根を手に入れるため、コルネリウスを反逆加担のかどで告発する。
民衆の憎悪の対象となったデ・ウィット兄弟は、密約書を預けたコルネリウスにも危険が迫るため、密約書を中を見ずに焼却するよう召使に手紙を託した。
しかし、コルネリウスは手紙を読む暇もなく連行されてしまう。
そのとき、とっさにその手紙に球根3個を包んで持ち出した。
コルネリウスは死刑を宣告され、収監先のハーグの監獄で牢番の娘ローザに球根を渡す。
黒いチューリップの3つの球根のうち、ひとつはコルネリウスが獄中で、もうひとつはローザが、それぞれ花を咲かせようとする。
そこから、ローザとコルネリウスは獄中で愛を深める。
ローザの働きのおかげで、コルネリウスは無実の罪をはらしただけでなく、黒いチューリップの花を咲かせることに成功する。
一応、主人公は青年コルネリウスなんだけど、牢獄にいるので、ローザのほうが主人公感満載。
『三銃士』や『モンテ・クリスト伯』みたいな他の大デュマの有名作と比べると、この『黒いチューリップ』は恋愛描写が繊細で(スケールの大きな話が好きな男性には物足りないかもしれないが)個人的には好みである。
コルネリウスと牢番の娘ローザの身分違いの恋。
牢獄の扉を隔てた出会いの中で、二人は髪の匂いを嗅いだり、手を触れたり、頬に触れたり、キスしようとしたり、(牢屋の中と外にいるので、当たり前だけど、体の関係は一切ないんだけど)めっちゃキュンキュンする。
しかし、コルネリウスはローザ以上に黒いチューリップが好きなのでは?と思うくらい、花狂いの男である。
読み終えて思ったのは、隣人の嫉妬って怖い……
ご近所さんとは仲良くしようと思った(感想そこかよ!ってツッコミきそう……)
ここまでチューリップ愛がすごいとはっ! とオランダ人のチューリップビジネスへの情熱に驚かされる。
最後はコルネリウス、美少女ローザという嫁と大金を手にしてハッピーエンド!
大デュマ先生、オランダのチューリップブームを題材にした開発と陰謀と恋の物語をありがとうございましたm(__)m
【追記】
この記事を書いたあと、オタ友から電話が。
お金持ちのコルネリウスが栽培のために高い建物を立て、その隣に住んでいたボクステルの家の日当たりが悪くなり、栽培に適さない環境になり、無駄に恨みをかったとする意見もあるよ、と。
普通だったら、隣に同業者がいたら、配慮はそれなりにするよね……
このあたり、コルネリウスの花に夢中すぎて周囲が見えていない世間知らずさが招いた災いなんじゃないかなぁ、と友。
確かにm(__)m
友から連絡もらって、自分の視野の狭さを痛感するのと、同じ作品でも、人によって印象に残る部分って全然違うなぁと。
だからこそ面白い!
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