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19 スタンピード3
しおりを挟むラーラはジェラルとスクラドの遺体にすがるように泣いていた。ジェラルとスクラドの顔は、スッキリと何かをやり遂げたような顔をしている。
そんなラーラに幸也は
「大丈夫ですよ。ラーラさん」
と言った後、上空を旋回するワイバーンを指差す。
ワイバーンは十分に旋回した後にキラキラした何かを振りまいた。
そのキラキラした何かはジェラルらの遺体に吸い込まれるように消えた。
次の瞬間、ジェラルが寝起きのような顔をして起き上がった。
ジェラルは隣のスクラドを見たあとラーラを見て
「ラーラも死んでしまったか。これで幼馴染み組は全滅だな」
「死んでないわよ!バカ!」
「えっ!?」
ジェラルは一体なにが起きたのか分からなかった・・。
【スタンピード前】
幸也はギルドから出た後にリカルドに呼び止められた。
それは幸也にしかできない仕事。
それを引き受けた幸也はワイバーンに乗りスタンピードとは逆方向に飛んでいく。
「私は町長のリカルドだ。君に1つ頼みがある」
「すみませんが・・俺は今から前衛に行かなければならないので・・」
「君にしかできないことだ」
「俺にしか?」
「そうだ。ここから南の山岳地帯にある【天使の帰還者】という花を採ってきてもらいた」
「それなら他の人でも・・?」
「君にしかできないと言ったろう。天使の帰還者は抜いて5分で枯れる」
「5分!?」
「そう。アイテムボックスのスキルがある君にしかできないことだ」
「でも何の為にその花を?」
「スタンピードによる犠牲者を出さない為だ」
「犠牲者を?それなら最初から俺も前衛で戦います」
「それじゃ君も死んで犠牲者も出ると思うが?」
「その花があれば犠牲者が出ない理由が分かりません」
「それは私のスキルと関係がある」
【リカルドスキル】
・槍術LV8
・鑑定眼LV4
・魂の固定
リカルドさんのスキルを鑑定眼で見た時に驚いた。スキル3つ持ちなのだ。
そして3つ目の訳のわからないスキル【魂の固定】
「私のスキルが何か分かっているだろう?」
「えっ!?どうして?」
「気をつけた方がいい。鑑定眼を使う時わずかに目が光る」
「え?!」
「そして訳のわからないスキルが1つあったろう?」
「はい」
「【魂の固定】は死者の魂を肉体に固定する。しかもたった半日の間だけだ。このままでは役に立たないゴミスキル」
「ゴミスキル・・」
「そして天使の帰還者は、魂を肉体に戻す効果がある」
「それって・・・」
「そうだ。2つ合わさって初めて役に立つ」
「でも犠牲者を出さないように戦った方が・・・」
「私も犠牲者は出したくない」
犠牲者の出ない方法なんて思いつかなかった・・。
それができたのは元【SS】ランク冒険者にして、現敏腕政治家、リカルド・バレンティヌスだけかもしれない。
「でもその花は本当に効果が・・?」
「過去に一度使ったことがある。まぁ昔の話だがね」
「分かりました俺が採ってきます」
「よろしく頼むよ。それまでは、なんとかしとく」
リカルドと別れた後に幸也はワイバーンを飛ばし山岳地帯に向かう。
山岳地帯は複雑で探すのに時間がかかってしまったのだ。
ジェラルは混乱していた。スクラドも目を覚まし混乱する。しかし助かったことを理解する。
ジェラルとスクラドはお互いを見つめ合うと、何かを思い出したがのごとく急に恥ずかしがり
「「このまま逝かせてくれ」」
と叫んだがラーラさんに
「テメーら、ふざけんじゃねー!!」
とボコボコにされていた。2人の顔面が血まみれだったことを付け加えておく。
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