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2 スライム×龍×勇者もどき
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前回のあらすじだ。
気前よく異世界入りしたものの、定番の王様から外れ龍に勇者召喚……しかも巻き込まれただけという長年寝床に伏せる婆ちゃんでも驚愕で飛び起きる体験をした俺だったのだが、いわゆる定番に巻き込まれたらしい。
バトル展開だ。
さては運命、まだどっち方面いくか定まってねーなと、神様くらいにしか届かないツッコミを挟んでいた。
そんなことはどうでもいい、大事なのは相手であるのだけれども、スライムだとどうも調子が乗らないなと馬鹿な俺は思っていた(今は後悔してる)。
一発目の攻撃は俺をロックオンして放った剣があらぬ方向へ飛んでいったのはいい、問題はその威力だ。
ここは洞窟の中心部(らしい)なのだが、たったの一振りで異世界の地上が見れるくらいズラしたのだ。
崖崩れなんて安っぽいものではない、山が真っ二つに切れて、そのまま切れ口がきれいにズレていた……まるで切断されたのをまだ山自身が気づいてないように。
「なん……だと……!?」
その時ばかりは一生驚かず、自由に、楽しげに生きると決めていた俺でさえ寒気がした(鳥肌ってやつだ)。
「どうだ!! しかも投じた剣はブーメランのように持ち主に戻る。スライム自身、歴史的な遺品の宝物庫の役割も果たしているわけだ。少し乱暴だが、面白いだろ」
なんで自慢げに話すんだよ、命の危機だ。
「ああ、今のままでは確実に息絶える。ワッハハハ!! 心配するな、今のお主にはスキルがあるのだ」
おうおう、それでそれでどうする? 話してくれ
「契約するのだよ、我と。勝利のあと、喜びを分かち合う友のようにこぶしをあわせて契りを結ぶのだ」
桁外れに大きいサイズのこぶしが近づく。
俺は迷わず手を振りかざした。
ファンタジー的わくわくドキドキが俺を呼んでいるとでも言い換えようか、心が即決していたのだった。
「ワッハハハ!! 良い人材を引き抜いたようだな。まさかの即決とは、長年生き抜いた我でも驚きを隠せぬぞ」
Download……Download……Download……
うおっ、頭に直接入り込んできやがるのか。
No.96 龍神データのDownloadを完了
またもや効果音とともに白いページ、いや、龍神のデータが刻まれた俺のスキルが発動したようだ。
感覚的の召喚ボタンを押した(手が勝手に動いた)。
「ふぅぅ、やれやれ。やっと倍返しの機会がやってきたのか。本気はだせないが、我は腹の虫が立っている。少々オーバーだが五分の一の力、出させてもらうぞ」
背筋を大きな舌で舐められたほどのとてつもない悪寒。
たった一つの存在が洞窟全体の空間を支配している。
目の前の龍だ。
このままだと、世界すべてを焼き尽くすのではないか、という不安までもが俺の頭をよぎった。
「大丈夫だ、俺がやる。俺にやらしてくれ」
スライムが放つ第二撃。
なぜだろう、今ならすぐ心に余裕が持てる。
「頭龍」
燃え盛る龍の骸骨が剣を溶かし尽くしてしまった。
ほんの数秒、だが止まったように俺は見えた。
興奮がなりやまない、スリルが俺を呼んでいる。
「飲み込め、頭龍」
マグマのように洞窟がドロドロと液状化し、スライムがだんだん消えていく(俺の勝利ってことだ)。
こうして、一戦目は圧倒的勝利を収めたのだった。
気前よく異世界入りしたものの、定番の王様から外れ龍に勇者召喚……しかも巻き込まれただけという長年寝床に伏せる婆ちゃんでも驚愕で飛び起きる体験をした俺だったのだが、いわゆる定番に巻き込まれたらしい。
バトル展開だ。
さては運命、まだどっち方面いくか定まってねーなと、神様くらいにしか届かないツッコミを挟んでいた。
そんなことはどうでもいい、大事なのは相手であるのだけれども、スライムだとどうも調子が乗らないなと馬鹿な俺は思っていた(今は後悔してる)。
一発目の攻撃は俺をロックオンして放った剣があらぬ方向へ飛んでいったのはいい、問題はその威力だ。
ここは洞窟の中心部(らしい)なのだが、たったの一振りで異世界の地上が見れるくらいズラしたのだ。
崖崩れなんて安っぽいものではない、山が真っ二つに切れて、そのまま切れ口がきれいにズレていた……まるで切断されたのをまだ山自身が気づいてないように。
「なん……だと……!?」
その時ばかりは一生驚かず、自由に、楽しげに生きると決めていた俺でさえ寒気がした(鳥肌ってやつだ)。
「どうだ!! しかも投じた剣はブーメランのように持ち主に戻る。スライム自身、歴史的な遺品の宝物庫の役割も果たしているわけだ。少し乱暴だが、面白いだろ」
なんで自慢げに話すんだよ、命の危機だ。
「ああ、今のままでは確実に息絶える。ワッハハハ!! 心配するな、今のお主にはスキルがあるのだ」
おうおう、それでそれでどうする? 話してくれ
「契約するのだよ、我と。勝利のあと、喜びを分かち合う友のようにこぶしをあわせて契りを結ぶのだ」
桁外れに大きいサイズのこぶしが近づく。
俺は迷わず手を振りかざした。
ファンタジー的わくわくドキドキが俺を呼んでいるとでも言い換えようか、心が即決していたのだった。
「ワッハハハ!! 良い人材を引き抜いたようだな。まさかの即決とは、長年生き抜いた我でも驚きを隠せぬぞ」
Download……Download……Download……
うおっ、頭に直接入り込んできやがるのか。
No.96 龍神データのDownloadを完了
またもや効果音とともに白いページ、いや、龍神のデータが刻まれた俺のスキルが発動したようだ。
感覚的の召喚ボタンを押した(手が勝手に動いた)。
「ふぅぅ、やれやれ。やっと倍返しの機会がやってきたのか。本気はだせないが、我は腹の虫が立っている。少々オーバーだが五分の一の力、出させてもらうぞ」
背筋を大きな舌で舐められたほどのとてつもない悪寒。
たった一つの存在が洞窟全体の空間を支配している。
目の前の龍だ。
このままだと、世界すべてを焼き尽くすのではないか、という不安までもが俺の頭をよぎった。
「大丈夫だ、俺がやる。俺にやらしてくれ」
スライムが放つ第二撃。
なぜだろう、今ならすぐ心に余裕が持てる。
「頭龍」
燃え盛る龍の骸骨が剣を溶かし尽くしてしまった。
ほんの数秒、だが止まったように俺は見えた。
興奮がなりやまない、スリルが俺を呼んでいる。
「飲み込め、頭龍」
マグマのように洞窟がドロドロと液状化し、スライムがだんだん消えていく(俺の勝利ってことだ)。
こうして、一戦目は圧倒的勝利を収めたのだった。
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