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第12章 領都シュテリオンベルグ復興編

第152話 サクラとアフターパーティ

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 翌日朝9時に、王都の飛行船中央ステーションの会議室でソランスター航空公社の社員と顔合わせを行った。
 内務省から出向となった管理者3名と飛行船の乗務員として新規に採用した12名の合計15名の職員が集まった。
 みんなが待つ会議室に入って行くと黄色い歓声が上がった。
 あれ、場所を間違ったかと思ったが、どうやら間違いないらしい。

「ソランスター航空公社の理事長と運行管理者を兼務するカイト・シュテリオンベルグです」
「今日から都市間定期航路の飛行訓練を兼ねて、数日間みなさんと一緒に行動しますので宜しくお願いします」
 そう言うと『ステキ~』とか『きゃ~』などと黄色い歓声が上がった。
 改めて室内を見渡して見ると実に、3分の2が女性であった。

 名簿を見ると内務省から出向した実務管理者3名の内訳は、男性1名、女性2名。
 乗務員12名の内訳は、男性4名、女性8名。
 オレの頭の中では、船乗りは男の仕事と言うイメージがあった。
 しかし、飛行船の乗務員は操船はボタン操作で簡単だし、接客対応が主な業務なので女性の方が向いている仕事なのだ。

 今日から4日間、4つの都市間航路を飛行し、就航都市全てに飛行船ステーションを設置し、現地スタッフとも会って、就航に向けた最終確認を行うのだ。

 初日は、北西航路の4都市に飛んだ。
 王都→レンドルフ→コンカリーナ→シュピーゲル→エレスカーブ→王都のルート。
 各都市では、オレたちの到着を待っていた内務省の職員と現地職員が合流し、飛行船ステーションの設置作業を行った。

 オレが異空間収納から飛行船ステーションキットを取り出す。
 意外とコンパクトに纏まっており、スイッチを押すと自動的に展開する仕組みである。
 解除コードを入力すれば誰でも簡単に作業できるのだ。

 最期に予約システムの使い方や荷物の受け渡し、保管方法を確認した。
 ソランスター航空公社の予約システムはスーが製作したものだ。
 各拠点とリアルタイムに予約状況の確認が行なえ、現時点での予約者数や販売可能数、貨物の予約状況やチケットの発券、入出金管理が行える優れたシステムなのだ。

 2日目は中西部航路の4都市を巡った。
 王都→ブラボレーン→ラピス→ヴァンフリード→ルンヴィット→王都と巡った。
 どの街も初めていく街だが、飛行船が到着すると、一目見ようと住民が集まり、人だかりが出来て、交通整理が必要なほどであった。

 3日目は南西航路の5都市を巡った。
 王都→テンカリョーナ→アドミラ→レイゼン→エッセン→マユーラ王都の順だ。
 南西航路の街はどこも活気があり、街々に特徴的な特産品があって、飛行船就航により交易が活発化するのは間違いなさそうだ。

 最終日の4日目は南東航路の5都市を巡る予定だ。
 王都→アストラ→ルミナ→セントレーニア→シュテリオンベルグ→レジーナ→王都。
 この日は、サクラとフェリンを同行させ、経由地のシュテリオンベルグで一泊し、イシュトリア・シーフードでソランスター航空公社の懇親会を行う予定である。

 ホテルと懇親会の手配はサクラに任せたから安心だ。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 イシュトリア・シーフードの2階で開催されたソランスター航空公社の懇親会は予想以上に盛り上がった。
 その日は立食パーティ形式で懇親を深めたのだが、オレはメンバーの3分の2を占める女性たちに取り囲まれて質問攻めに遭っていた。

 目移りするくらい若くて可愛い娘が多く、王都の美女率の高さが伺えた。
 美人が多い国と言うのは確かに存在するが、ソランスター王国は正にそれなのだ。

 質問の内容は「恋人は?」「独身ですか?」「好みのタイプは?」等々、矢継ぎ早に質問してくるのだ。
 あわよくば、玉の輿に乗りたいとでも思っているのだろうか?

 オレが閉口していると、サクラが『カイト様には2人の婚約者がおられます』と助け舟を出してくれた。
 それを聞いた女性たちは、失望の声を上げたが、それにもメゲず「愛人にして」とか「3人目の婚約者に」などと言うしたたかな女もいた。

 男性職員の中には、サクラやフェリンをナンパしようとたくらやからもいたが、『タイプじゃない』と一刀両断にされ、女性職員にも相手にされず、男たちは淋しく酒を飲むしかなかった。

 懇親会は定刻にお開きとなった。
『バーで一緒に飲みましょう』とか『お部屋に行ってもいいですか』など、言い寄ってくる女性たちを振り切り、オレはホテルの自室に戻った。

 今日は女性たちの攻勢が予想以上に激しくて疲れたが、彼女たちと顔を合わせるのも明日の飛行訓練までの辛抱だ。
 定期航路が開設すれば仕事も忙しくなり、滅多に顔を合わせることもないだろう。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 オレが自室でくつろいでいると、ドアをノックする音がした。
 ストーカーまがいの女がオレの部屋を嗅ぎつけて、夜這いにでも来たかと思い、ドアスコープから外を覗いてみると、そこに居たのはサクラだった。

 オレがドアを開けるとサクラはこう言った。
「カイト様、冷えたワインは如何ですか?
 おつまみもありますよ」

「いいねぇ、少し飲み足りなかったんだ」

「分かりました…
 では、すぐにご用意しますね」

 しばらくするとサクラは、ワインクーラーに入ったスパークリングワインのボトルとグラス2つ、チーズと生ハム、クラッカーの皿が乗ったワゴンを押して部屋に入ってきた。

「こんな格好で申し訳ありません」
 サクラはピンクベージュのガウン姿であった。

「いや、いいんだ。
 今日の秘書業務は終わりだろ」

「そうですね、もうリラックスタイムに入りました。
 カイト様、申し訳ありませんが、栓を抜いていただけますか?」
 オレはサクラから渡されたスパークリングワインの栓を抜き、サクラと自分のグラスに注いだ。

「それじゃ、乾杯しようか」
 お互いのグラスを持ち、軽くグラスを合わせると『キン』っと言う甲高い音が響いた。

「サクラ、今日も一日、お疲れ様」

「カイト様も、お疲れ様でした」

 オレとサクラは黄金色の液体を喉に流し込んだ。
「このスパークリングワイン、美味いな~!」
 銘柄を見ると『バッカス・スパークリングGOLD』と書いてあった。
 醸造所は、あのアルカディア・ワイナリーだ。

「このワインもアルカディア・ワイナリーか…。
 あの親父、良いワイン造ってるなぁ」

「そうですね、とても美味しいワインだと思います」

「何か、美味すぎて逆に悔しいな…
 ねえ、サクラ、うちでもワイン作れないかなぁ」

「えっ、カイト様は既にワイナリーお持ちじゃないですか」

「あれ、オレってワイナリー持ってたっけ?」

「執事長のローレン様が造られたワインがあるじゃないですか」
 サクラがそう教えてくれた。

 確かにそうだ、最近忙しすぎて、そんな事も忘れていたのだ。

「ローレン様のワインも十分に美味しいと思いますよ」
「今年は、葡萄の品質も良く豊作で、生産量が増えたってローレン様が仰ってましたよ」

「そうか、すっかり忘れてたよ。
 ところで、あのワイナリーって何ていう名前なの?」

「外販は想定してませんから『名無しのワイナリー』だと思いますが…」

「そっかー、じゃあ何か名前付けるか。
 サクラ、何かいい名前はないかな?」

 オレとサクラは、悔しい位に美味いワインを飲みながら『名無しのワイナリー』の名前を考えた。
 おつまみのクリームチーズと、生ハムを乗せたクラッカーも、予想以上に美味しくてワインが捗った。

 候補として次の5つが残った。
 ◎ローレン・ワイナリー
 ◎シュテリオンベルグ・ワイナリー
 ◎アクアスター・ワイナリー
 ◎ミラバスレイク・ワイナリー
 ◎女神のワイナリー

「ん~、サクラはどれがいい?」

「そうですね、どれもいい名前だと思いますが、シュテリオンベルグは領都の名前と被りますし、ローレンワイナリーはローレン様が恐縮すると思うんですよ」

 相談の結果、一番オーソドックスな『アクアスター・ワイナリー』に落ち着いた。

「早速、ラベル作らなきゃ」

「そうですね、ワイナリーに名前がついてローレン様も喜ぶと思います」

「それはそうと、懇親会でサクラが助け舟出してくれて助かったよ」

「いいえ、カイトさまの個人情報を勝手に公表してしまい申し訳ありません」

「いや、いいんだ、いずれ分かることだし」

「そう言っていただけて、安心しました。
 実は、カイト様に怒られるかと、ドキドキしてたんです」

「そんなことしないよ。
 逆にサクラには、いつも助けてもらって感謝してるんだ。
 何か、ご褒美あげたいくらいだよ」

「ありがとうございます。
 そのお言葉を聞いて、日頃の疲れも吹き飛びました。
 出来ましたら、えっと……何でもありません」
 そこまで言いかけて口を濁した。

「サクラ、オレに何か言いたいことがあれば言ってごらん」

「はい、実はひとつお願いがございまして…
 今晩、カイト様の隣に寝せていただけないでしょうか?」

 その言葉の意味をオレは即座に理解した。
 前世で背後から刺され絶命すると言う壮絶な最期を遂げたサクラは、この世界に転生した当初は悪夢に悩まされ、一人で寝られないトラウマを抱えており、その頃はオレのベッドで(Hなしで)毎日のように一緒に寝たものだ。
 しかし、今回の『隣に寝る』は、間違いなく男女の営みを期待してのことだろう。

 そうか、今夜はジェスティーナもアスナもいないし、サクラはオレを独占したかったのだ。
「分かった、今夜はサクラと一緒に寝よう」

「ありがとうございます。
 では、早速ですが、シャワーをお借りしても宜しいでしょうか?」
 オレが頷くと、身を清めて来ますと言って、サクラはシャワーを浴びに行った。

 その間にオレはベッドへ移動し、間接照明のあかりだけを残して部屋を暗くした。
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