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第12章 領都シュテリオンベルグ復興編
第146話 王宮での御前会議(前編)
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翌日の早朝、『空飛ぶイルカ号Ⅱ』で王都へ飛んだ。
今回同行するのはジェスティーナ、アスナ、サクラと護衛3名の合計6名だ。
王都までの距離は陸路だと約600kmだが、空路では530kmほどで、約1時間10分の旅である。
離陸時に地上は、小雨模様であったが、高度3000mを過ぎると雲の上に出た。
飛行船は、巡航高度6000mまで上昇すると水平飛行に移り、眼下に雲海を見ながら一路王都を目指した。
女性6人は、朝日を反射して輝く雲と青空の美しさに感動していた。
「雲の上って、晴れてるのね~」
「うわ~、何この景色、神秘的~」
「なんか、この雲って絨毯みたいよ」
などと口々に非日常の光景に感想を述べていた。
女3人寄れば、姦しいと言うが、その倍の人数がいるのだから、騒々しさは想像以上である。
普段、この6人には上下関係があり、身分や立場の差もある。
ある者は王女であり、ある者は商家の副当主であり、ある者は専属の秘書や護衛であるのだが、今だけは気心の知れた友人なのである。
もし、他に乗客がいれば、それぞれの置かれた立場を演じていただろうが、今日はオレの他に乗客は居ない。
つまり、自分たちの立場を演じる必要がないのだ。
十代後半の美少女たちが、気張らない同性との会話で見せる素顔に、オレは何故か穏やかな気持になっていた。
1時間余りの空の旅は、あっといる間で、飛行船が王宮に到着する頃には晴れ間が広がっていた。
「なんか、ここに来るの、随分久しぶりな気がするわ」
ジェスティーナは自分の生まれ育った王宮の風景を懐かしんでいた。
ここを離れてから時間的には、それほど経っていないが、その間に色々な事がありすぎたのだ。
オレとジェスティーナは、そのまま謁見の間に向かった。
午前10時から国王陛下の御前で重臣を交えて会議の予定なのだ。
早めに謁見の間に着いて、王弟のアルテオン公爵、内務大臣のロカレ・ブース子爵、軍務大臣のジョエル・リーン伯爵と世間話をしていた。
話題はジェスティーナ王女襲撃事件のことであった。
ジェスティーナは事件の生々しい状況を重臣たちに話して聞かせた。
「自分の我儘を優先して単独行動を取り、襲撃を許してしまったのは王族として恥ずべき事と反省しています」と改めて反省の言葉を口にした。
そこへ国王陛下が御出座しとなった。
「カイトどの、ティーナ、久しいのう」
「国王陛下に置かれましては、ご機嫌麗しく恐悦至極に存じます」
「堅苦しい挨拶は不要だと申しておろう」
そう言いながらも国王の機嫌は悪くなかった。
「早速、会議を始めるとするか」
徐に国王が言った。
内務大臣のロカレ・ブースが議事進行を担当し、議題を説明した。
◎王国主要都市間の飛行船定期航路開設について
◎領都シュテリオンベルグ(旧サンドベリア)の現状報告と復興の見通しについて
◎ジェスティーナ王女誘拐を図ったルハーゲ子爵の処分について
◎エメラルド諸島におけるリゾート開発構想について
「飛行船による定期航路開設の件は、シュテリオンベルグ伯爵から報告願います」
オレは定期航路の進捗状況を説明した。
◎定員100名のクジラ型飛行船4隻は既に到着済であること
◎飛行船の代金は60ヶ月リース(分割払)にしたので、資金的な余裕ができたこと。
◎離発着場である飛行船ステーションも到着済みで設置待ちであること。
◎就航予定地は18都市で王都内に4隻分の飛行船ステーションを用意したこと。
◎航路は下記の4航路であること。
①南東航路(5都市)
王都→アストラ→ルミナ→セントレーニア→シュテリオンベルグ→レジーナ→王都
②南西航路(5都市)
王都→テンカリョーナ→アドミラ→レイゼン→エッセン→マユーラ→王都
③中西部航路(4都市)
王都→ブラボレーン→ラピス→ヴァンフリード→ルンヴィット→王都
④北西航路(4都市)
王都→レンドルフ→コンカリーナ→シュピーゲル→エレスカーブ→王都
「就航都市の土地の確保と公社職員の採用はどうなっておる」
国王が内務大臣に質問した。
「18都市全て就航先の場所確保が完了しております。
カイト殿には、順次発着場の設置準備をお願いしたい」
「乗務員は12名採用し、飛行船は1勤務2名体制で、週6便を運行予定です。
各都市では3名の現地職員を採用し、予約と荷物の保管・受渡しが主な業務となります。
内務省から航空公社へ実務管理者3名を出向させて、明日からカイト殿の指揮下に入ります。
真面目で優秀な若い職員を出向させたので、カイト殿ビシビシ鍛えてやって欲しい」と内務大臣は笑顔で言った。
明後日、飛行訓練を兼ねて、実務管理者3名と乗務員12名を乗せフライング・ホエールで、南東航路へ訓練飛行することとなった。
そして各地で飛行船ステーションを設置する。
実際に設置方法を見せて、他の各都市で職員に飛行船ステーションを設置してもらうのだ。
面倒だが、最初だけは手本を見せなければならないと、オレは諦めていた。
定期航路の就航日は、1週間後と決まった。
料金は搭乗区間の距離に応じ、20km単位で小銀貨1枚(1千円)と決まった。
例えば、王都とシュテリオンベルグの距離は、1200kmあるので、小銀貨60枚(=金貨0.6枚、円換算で6万円)となる。
1200kmの距離を馬車で移動すると、1日120km進むとして10日間の大旅行となる。
馬車代、宿泊費、食事代などを考えると、恐らく金貨0.6枚では済まないだろう。
それが2時間40分に短縮できて、この料金なのだから安いものだ。
貨物運賃は大きさと重さに応じて、12段階に分け、それに100km毎の基準料金を掛ける方式を採用し、旅客運賃のおよそ6分の1に設定した。
【ソランスター航空公社収支計画(概算)】
年間売上 金貨10万枚(円換算100億円)
年間経費 金貨 4万枚(円換算 40億円)
年間収益 金貨 6万枚(円換算 60億円)
※経費内訳(単位:金貨)
リース料 8640枚(円換算 8億万円)
人件費 5000枚(円換算 5億円)
維持費 15000枚(円換算15億円)
賃借料 3060枚(円換算 3億600万円)
管理費 5000枚(円換算 5億円)
雑費 3300枚(円換算 3億3000万円)
経費はかなり多めに見たが、思ったよりも儲かりそうだ。
今回同行するのはジェスティーナ、アスナ、サクラと護衛3名の合計6名だ。
王都までの距離は陸路だと約600kmだが、空路では530kmほどで、約1時間10分の旅である。
離陸時に地上は、小雨模様であったが、高度3000mを過ぎると雲の上に出た。
飛行船は、巡航高度6000mまで上昇すると水平飛行に移り、眼下に雲海を見ながら一路王都を目指した。
女性6人は、朝日を反射して輝く雲と青空の美しさに感動していた。
「雲の上って、晴れてるのね~」
「うわ~、何この景色、神秘的~」
「なんか、この雲って絨毯みたいよ」
などと口々に非日常の光景に感想を述べていた。
女3人寄れば、姦しいと言うが、その倍の人数がいるのだから、騒々しさは想像以上である。
普段、この6人には上下関係があり、身分や立場の差もある。
ある者は王女であり、ある者は商家の副当主であり、ある者は専属の秘書や護衛であるのだが、今だけは気心の知れた友人なのである。
もし、他に乗客がいれば、それぞれの置かれた立場を演じていただろうが、今日はオレの他に乗客は居ない。
つまり、自分たちの立場を演じる必要がないのだ。
十代後半の美少女たちが、気張らない同性との会話で見せる素顔に、オレは何故か穏やかな気持になっていた。
1時間余りの空の旅は、あっといる間で、飛行船が王宮に到着する頃には晴れ間が広がっていた。
「なんか、ここに来るの、随分久しぶりな気がするわ」
ジェスティーナは自分の生まれ育った王宮の風景を懐かしんでいた。
ここを離れてから時間的には、それほど経っていないが、その間に色々な事がありすぎたのだ。
オレとジェスティーナは、そのまま謁見の間に向かった。
午前10時から国王陛下の御前で重臣を交えて会議の予定なのだ。
早めに謁見の間に着いて、王弟のアルテオン公爵、内務大臣のロカレ・ブース子爵、軍務大臣のジョエル・リーン伯爵と世間話をしていた。
話題はジェスティーナ王女襲撃事件のことであった。
ジェスティーナは事件の生々しい状況を重臣たちに話して聞かせた。
「自分の我儘を優先して単独行動を取り、襲撃を許してしまったのは王族として恥ずべき事と反省しています」と改めて反省の言葉を口にした。
そこへ国王陛下が御出座しとなった。
「カイトどの、ティーナ、久しいのう」
「国王陛下に置かれましては、ご機嫌麗しく恐悦至極に存じます」
「堅苦しい挨拶は不要だと申しておろう」
そう言いながらも国王の機嫌は悪くなかった。
「早速、会議を始めるとするか」
徐に国王が言った。
内務大臣のロカレ・ブースが議事進行を担当し、議題を説明した。
◎王国主要都市間の飛行船定期航路開設について
◎領都シュテリオンベルグ(旧サンドベリア)の現状報告と復興の見通しについて
◎ジェスティーナ王女誘拐を図ったルハーゲ子爵の処分について
◎エメラルド諸島におけるリゾート開発構想について
「飛行船による定期航路開設の件は、シュテリオンベルグ伯爵から報告願います」
オレは定期航路の進捗状況を説明した。
◎定員100名のクジラ型飛行船4隻は既に到着済であること
◎飛行船の代金は60ヶ月リース(分割払)にしたので、資金的な余裕ができたこと。
◎離発着場である飛行船ステーションも到着済みで設置待ちであること。
◎就航予定地は18都市で王都内に4隻分の飛行船ステーションを用意したこと。
◎航路は下記の4航路であること。
①南東航路(5都市)
王都→アストラ→ルミナ→セントレーニア→シュテリオンベルグ→レジーナ→王都
②南西航路(5都市)
王都→テンカリョーナ→アドミラ→レイゼン→エッセン→マユーラ→王都
③中西部航路(4都市)
王都→ブラボレーン→ラピス→ヴァンフリード→ルンヴィット→王都
④北西航路(4都市)
王都→レンドルフ→コンカリーナ→シュピーゲル→エレスカーブ→王都
「就航都市の土地の確保と公社職員の採用はどうなっておる」
国王が内務大臣に質問した。
「18都市全て就航先の場所確保が完了しております。
カイト殿には、順次発着場の設置準備をお願いしたい」
「乗務員は12名採用し、飛行船は1勤務2名体制で、週6便を運行予定です。
各都市では3名の現地職員を採用し、予約と荷物の保管・受渡しが主な業務となります。
内務省から航空公社へ実務管理者3名を出向させて、明日からカイト殿の指揮下に入ります。
真面目で優秀な若い職員を出向させたので、カイト殿ビシビシ鍛えてやって欲しい」と内務大臣は笑顔で言った。
明後日、飛行訓練を兼ねて、実務管理者3名と乗務員12名を乗せフライング・ホエールで、南東航路へ訓練飛行することとなった。
そして各地で飛行船ステーションを設置する。
実際に設置方法を見せて、他の各都市で職員に飛行船ステーションを設置してもらうのだ。
面倒だが、最初だけは手本を見せなければならないと、オレは諦めていた。
定期航路の就航日は、1週間後と決まった。
料金は搭乗区間の距離に応じ、20km単位で小銀貨1枚(1千円)と決まった。
例えば、王都とシュテリオンベルグの距離は、1200kmあるので、小銀貨60枚(=金貨0.6枚、円換算で6万円)となる。
1200kmの距離を馬車で移動すると、1日120km進むとして10日間の大旅行となる。
馬車代、宿泊費、食事代などを考えると、恐らく金貨0.6枚では済まないだろう。
それが2時間40分に短縮できて、この料金なのだから安いものだ。
貨物運賃は大きさと重さに応じて、12段階に分け、それに100km毎の基準料金を掛ける方式を採用し、旅客運賃のおよそ6分の1に設定した。
【ソランスター航空公社収支計画(概算)】
年間売上 金貨10万枚(円換算100億円)
年間経費 金貨 4万枚(円換算 40億円)
年間収益 金貨 6万枚(円換算 60億円)
※経費内訳(単位:金貨)
リース料 8640枚(円換算 8億万円)
人件費 5000枚(円換算 5億円)
維持費 15000枚(円換算15億円)
賃借料 3060枚(円換算 3億600万円)
管理費 5000枚(円換算 5億円)
雑費 3300枚(円換算 3億3000万円)
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