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第11章 新領地経営編
第119話 シュテリオンベルグ伯爵領経営会議(前編)
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セントレーニア総督ブリストールは、緊張した面持ちで勅書が読み上げられるのを待っていた。
3週間ほど前に、エレーゼ伯爵を護送し、王都へ帰った筈のカイトと言う男が、また戻ってきたのだ。
しかも、今度は婚約者の第3王女を連れて…
以前もそうだったが、この男にはいつも驚かされる。
今度はいったい何事かと思っていると、国王の勅書を携えてきたと言う。
勅書にはいったい何が書かれているのだろう。
ジェスティーナ王女は、国璽の入った封蝋を剥がし、国王の勅書を広げ一同の前で読み上げた。
その内容を要約すると、下記のようなものだった。
◎王国法違反の重罪を犯した罪でエレーゼ元伯爵を絞首刑にしたこと。
◎この度の褒章としてカイトを伯爵位に叙爵し、シュテリオンベルグ伯爵となったこと。
◎旧サンドベリア領をシュテリオンベルグ伯爵の所領とすること。
◎王室直轄領のセントレーニアをシュテリオンベルグ伯爵領に編入すること。
◎現総督のブリストール子爵を領主代行兼執政長官に任命すること。
◎現副総督のハベル・バランタインを執政官に任命すること。
その内容を聞いた関係者たちは、一様にどよめき、驚きを隠せなかった。
青天の霹靂とは正にこのことだろう。
目を見開き、あんぐりと口を開けたブリストール子爵の表情が、今しがたジェスティーナが告げた勅書の内容が如何に衝撃的であったかを如実に物語っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
翌日、旧総督府で新領地のこれからの領政や統治を検討する「シュテリオンベルク伯爵領経営会議」が開かれた。
出席者は下記のメンバーである。
◎シュテリオンベルグ伯爵(領主)
◎ジェスティーナ王女(ソランスター王国第3王女、カイトの婚約者)
◎ブリストール子爵(領主代行兼執政長官)
◎バランタイン執政官
◎アーロン・リセット補佐官
◎セレスティーナ・レイシス内政担当補佐官
◎ヴァレンス連絡担当官
◎レガート部隊長(領軍司令官)
◎サクラ(書記、カイトの秘書)
まず最初にオレが新伯爵領の概要を発表した。
シュテリオンベルグ伯爵領は、旧サンドベリア領に王室直轄領であったセントレーニアを加えた新領である。
セントレーニアには旧総督府があり、セントレーニア大聖堂がある聖地でもある。
一方サンドベリアは古い港街であり、海産資源に恵まれ、手付かずの豊かな島々とビーチリゾートがあり、エレーゼ伯爵時代は領都でもあったのだ。
2つの領地が合併した今、セントレーニアかサンドベリアの何れかを新領都に選定しなければならないが、熟慮の結果、サンドベリアを新領都とすることに決めた。
セントレーニアの人口は25万人、一方サンドベリアは12万人とセントレーニアの方が倍以上も人口が多いのだが、将来的な発展性を考えるとサンドベリアの方が有望で、古くから聖地であるセントレーニアの地名を変えるのは難しいと思ったからだ。
サンドベリアの名称はエレーゼ伯爵領時代の負のイメージを払拭させるため「シュテリオンベルグ」と変更することとした。
次に統治体制であるが、オレは2つの都市のどちらにも常駐できないので、両方の都市に執政官を置くこととした。
セントレーニアとシュテリオンベルグ(旧サンドベリア)は80km離れており、2つの都市を一人の執政官が統治することは難しいと考えたからだ。
国王の助言もあり、新領都シュテリオンベルグはセントレーニア元総督のブリストール子爵を領主代行兼執政長官にした。
また元セントレーニア副総督であるバランタインをセントレーニアの執政官に任命することを通達した。
本来であれば、伯爵領の領主代行に子爵であるブリストールが就任するのは、おかしな話であるが、体制が整うまで1~2年の暫定措置としてブリストール子爵には納得してもらった。
新領都であるシュテリオンベルグは都市の規模としては小さいが、旧エレーゼ伯爵領時代の様々な悪しき膿を出しきらなければならず、領主代行を兼ねるブリストール執政長官の手腕に期待しているのだ。
オレの補佐官の一人アーロン・リセットは、ブリストール執政長官の懐刀としてシュテリオンベルグに常駐させることにした。
また、ブリストールの元副官であったヴァレンス・バンダムには連絡担当官としてオレの居るアクアスターリゾート(或いは王都)とシュテリオンベルグを行き来して、情報を伝える役目を担ってもらうこととした。
元セントレーニア精鋭部隊長であるレガート・コランダムは、シュテリオンベルグ地区駐留軍司令官に任命し、当面の間、領軍と警察両方のトップとして役目を果たして貰こととした。
特にエレーゼ伯爵領時代の私兵が盗賊化していると言う情報もあり、彼には領軍の再編や兵の新規採用など難しい仕事も待っているのだ。
会議の結果、治安維持のためセントレーニアの領軍と警察から、それぞれ3分の1をシュテリオンベルグへ移管することが決定した。
悪の温床であった旧エレーゼ伯爵邸は、既に取り壊すことが決定していた。
負の遺産を抹消し、更地として新たな場所に市庁舎と領主の城を建てる予定にしているが、完成するまでブリストールにはホテル住まいしてもらうことにした。
その後、新領地の財政の話になった。
セントレーニアは、これまで王国直轄領であり、セントレーニア大聖堂がある聖地巡礼の地であることもあり、観光産業が発展しており、ブリストールの堅実な直轄領経営のお陰もあって、税率も比較的低めで財政的には全く問題ない状態であった。
一方、シュテリオンベルグ(旧サンドベリア)は、エレーゼ伯爵時代の悪政が祟り、税率は最終的にセントレーニアの5倍にも達し、領民は高い税負担に喘ぎ、越境して他領へ夜逃げする人が後を絶たないと言う話だ。
「まず、税負担を何とかしないと…」
オレは唸るように言った。
「全くその通りです」
ブリストール他一同は頷いた。
ある程度は予想していたが、ここまで酷い状態になっているとは思わなかった。
「よし、領都シュテリオンベルグの税金は1年間ゼロにしよう」
3週間ほど前に、エレーゼ伯爵を護送し、王都へ帰った筈のカイトと言う男が、また戻ってきたのだ。
しかも、今度は婚約者の第3王女を連れて…
以前もそうだったが、この男にはいつも驚かされる。
今度はいったい何事かと思っていると、国王の勅書を携えてきたと言う。
勅書にはいったい何が書かれているのだろう。
ジェスティーナ王女は、国璽の入った封蝋を剥がし、国王の勅書を広げ一同の前で読み上げた。
その内容を要約すると、下記のようなものだった。
◎王国法違反の重罪を犯した罪でエレーゼ元伯爵を絞首刑にしたこと。
◎この度の褒章としてカイトを伯爵位に叙爵し、シュテリオンベルグ伯爵となったこと。
◎旧サンドベリア領をシュテリオンベルグ伯爵の所領とすること。
◎王室直轄領のセントレーニアをシュテリオンベルグ伯爵領に編入すること。
◎現総督のブリストール子爵を領主代行兼執政長官に任命すること。
◎現副総督のハベル・バランタインを執政官に任命すること。
その内容を聞いた関係者たちは、一様にどよめき、驚きを隠せなかった。
青天の霹靂とは正にこのことだろう。
目を見開き、あんぐりと口を開けたブリストール子爵の表情が、今しがたジェスティーナが告げた勅書の内容が如何に衝撃的であったかを如実に物語っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
翌日、旧総督府で新領地のこれからの領政や統治を検討する「シュテリオンベルク伯爵領経営会議」が開かれた。
出席者は下記のメンバーである。
◎シュテリオンベルグ伯爵(領主)
◎ジェスティーナ王女(ソランスター王国第3王女、カイトの婚約者)
◎ブリストール子爵(領主代行兼執政長官)
◎バランタイン執政官
◎アーロン・リセット補佐官
◎セレスティーナ・レイシス内政担当補佐官
◎ヴァレンス連絡担当官
◎レガート部隊長(領軍司令官)
◎サクラ(書記、カイトの秘書)
まず最初にオレが新伯爵領の概要を発表した。
シュテリオンベルグ伯爵領は、旧サンドベリア領に王室直轄領であったセントレーニアを加えた新領である。
セントレーニアには旧総督府があり、セントレーニア大聖堂がある聖地でもある。
一方サンドベリアは古い港街であり、海産資源に恵まれ、手付かずの豊かな島々とビーチリゾートがあり、エレーゼ伯爵時代は領都でもあったのだ。
2つの領地が合併した今、セントレーニアかサンドベリアの何れかを新領都に選定しなければならないが、熟慮の結果、サンドベリアを新領都とすることに決めた。
セントレーニアの人口は25万人、一方サンドベリアは12万人とセントレーニアの方が倍以上も人口が多いのだが、将来的な発展性を考えるとサンドベリアの方が有望で、古くから聖地であるセントレーニアの地名を変えるのは難しいと思ったからだ。
サンドベリアの名称はエレーゼ伯爵領時代の負のイメージを払拭させるため「シュテリオンベルグ」と変更することとした。
次に統治体制であるが、オレは2つの都市のどちらにも常駐できないので、両方の都市に執政官を置くこととした。
セントレーニアとシュテリオンベルグ(旧サンドベリア)は80km離れており、2つの都市を一人の執政官が統治することは難しいと考えたからだ。
国王の助言もあり、新領都シュテリオンベルグはセントレーニア元総督のブリストール子爵を領主代行兼執政長官にした。
また元セントレーニア副総督であるバランタインをセントレーニアの執政官に任命することを通達した。
本来であれば、伯爵領の領主代行に子爵であるブリストールが就任するのは、おかしな話であるが、体制が整うまで1~2年の暫定措置としてブリストール子爵には納得してもらった。
新領都であるシュテリオンベルグは都市の規模としては小さいが、旧エレーゼ伯爵領時代の様々な悪しき膿を出しきらなければならず、領主代行を兼ねるブリストール執政長官の手腕に期待しているのだ。
オレの補佐官の一人アーロン・リセットは、ブリストール執政長官の懐刀としてシュテリオンベルグに常駐させることにした。
また、ブリストールの元副官であったヴァレンス・バンダムには連絡担当官としてオレの居るアクアスターリゾート(或いは王都)とシュテリオンベルグを行き来して、情報を伝える役目を担ってもらうこととした。
元セントレーニア精鋭部隊長であるレガート・コランダムは、シュテリオンベルグ地区駐留軍司令官に任命し、当面の間、領軍と警察両方のトップとして役目を果たして貰こととした。
特にエレーゼ伯爵領時代の私兵が盗賊化していると言う情報もあり、彼には領軍の再編や兵の新規採用など難しい仕事も待っているのだ。
会議の結果、治安維持のためセントレーニアの領軍と警察から、それぞれ3分の1をシュテリオンベルグへ移管することが決定した。
悪の温床であった旧エレーゼ伯爵邸は、既に取り壊すことが決定していた。
負の遺産を抹消し、更地として新たな場所に市庁舎と領主の城を建てる予定にしているが、完成するまでブリストールにはホテル住まいしてもらうことにした。
その後、新領地の財政の話になった。
セントレーニアは、これまで王国直轄領であり、セントレーニア大聖堂がある聖地巡礼の地であることもあり、観光産業が発展しており、ブリストールの堅実な直轄領経営のお陰もあって、税率も比較的低めで財政的には全く問題ない状態であった。
一方、シュテリオンベルグ(旧サンドベリア)は、エレーゼ伯爵時代の悪政が祟り、税率は最終的にセントレーニアの5倍にも達し、領民は高い税負担に喘ぎ、越境して他領へ夜逃げする人が後を絶たないと言う話だ。
「まず、税負担を何とかしないと…」
オレは唸るように言った。
「全くその通りです」
ブリストール他一同は頷いた。
ある程度は予想していたが、ここまで酷い状態になっているとは思わなかった。
「よし、領都シュテリオンベルグの税金は1年間ゼロにしよう」
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