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第8章 南国リゾートへの旅

第90話 無人島の渚にて

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 オレたちの飛行船はエメラルド諸島アイランドの無人島、エルメ島に着陸し、砂浜で1泊することとなった。

 エルメ島の海はラグーンで護られ、外洋からの荒波を消波し、熱帯の水中生物にとってはまさ天国パラダイスとなっていた。
 ちなみにラグーンとは、サンゴ礁により外洋から隔てられた水深の浅い海域を指す。
 元々は海底から隆起した岩礁帯に過ぎなかったエルメ島や周辺の島々は、気の遠くなるほどの長い年月を掛けてサンゴの死骸が堆積し形成された島である。
 それによりラグーンの外縁までは浅い海が続き、様々な種類のサンゴが棲息し、そのサンゴの死骸が波に洗われて砕かれ、風化して堆積したのがエルメ島の白い砂浜ビーチであり、島そのものなのだ。

 そんなサンゴ礁の島で、オレたち4人は日中はシュノーケリングで熱帯魚を観察したり、カヌーに乗ったりして無人島のビーチを満喫した。
 カヌーは湖で釣り用に使っていたものを異空間収納に入れて持ってきていたのだ。
 オレのスキル『キューブ』がレベルアップしたことにより、異空間収納の収納力が8倍になった恩恵だ。

 夕方になって日が傾き始めた頃、夕食の準備を始めた。
 竹集成材で出来たキャンピングテーブルをタープの中央に広げ、その廻りに赤いキャンピングチェアを4脚並べ、即席の砂浜のレストランをオープンさせた。
 ここは景色だけならサエマレスタ・リゾートの砂上のレストラン『LaLuna(ラ・ルーナ)』に負けていないだろう。

 あとはランタンを2つウィングタープの両端に吊り下げ、テーブルにキャンドルランタンを置いた。
 そして砂浜側には、折りたたみ式のバーベキューグリルと焚き火台を設置する。

 ステラとクラリスには焚き火台で燃やす薪代わりになる物を探してもらうと、漂着した流木や倒壊したヤシの木など十分な量が集まった。

 エミリアにはオレの調理補助をお願いした。
 今日のメインディッシュは厚切りの高級牛肉だ。
 それとサンドベリアのシーフードレストランで分けてもらった魚介類をバーベキューグリルで豪快に炭火焼きにした。
 米も持参したのでアルミ鍋で白飯を炊き、炊きたてのご飯にサシの入った分厚い牛肉を乗せた。
 粗挽き胡椒と塩だけのシンプルな味付けだが、素材の持つ味が一番引き立つのだ。

 今日は生ビールは無いので、赤ワインで乾杯した。
 大自然の中、野趣あふれるアウトドア料理にステラもクラリスもエミリアも感激した。

「カイトさま、味付けって塩と胡椒だけですよね。
 それでこんなに美味しくなるなんて驚きです」とエミリアが驚いている。

「今日は食材が良かったから、味付けもシンプルにしてみたんだよ。
 シンプルイズベストって言う言葉あるだろ」
 それを聞いて、口いっぱいに肉を頬張りながらステラとクラリスも頷いている。

 やがて水平線に夕陽が落ちて、空はオレンジ色に染まり、そのあとは天上から群青色ぐんじょういろの夜のとばりが降りてきて、素晴らしいマジックアワーの時を迎えた。
 刻々と変わる空の色を眺めながら、美味しい食材に舌鼓を打つことが出来るとは何とも幸せなことだ。

 食事が終わると焚火台に火を入れ、みんなで焚き火の周りに集まった。
 空には満天の星が広がっているが、月が明るいので小さな星までは見えない。

「もし、月が出てなかったら、凄い星空なんだけどね」とオレが言う。

「ホントですね、もう一度ここに来れるなら月の無い夜に来てみたいですね」とエミリアが言う。

 オレたち以外には、誰もいない夜の砂浜で焚き火の炎を見ながら、4人で夜遅くまで2次会を楽しんだ。

 オレは途中で席を離れ『空飛ぶイルカ号』の中で電話を掛けた。
 旅に出て、1週間になるが一度も電話してないし、そろそろ電話しないと流石さすがにまずそうだからだ。

 最初に電話を掛けたのはアスナだ。
「あ、アスナ、元気?」

 するとアスナは不機嫌そうな声で電話に出た。
「カイト~?、人に従業員の教育丸投げしておいて、1週間も連絡ナシってどういうこと!!」とお怒りの様子だ。

「ごめんごめん、こっちも色々あってね」と一応謝っておく。
「ん~、ホテルスタッフの経験者1名をスカウトしたり、あとはリゾートの候補地探しとか色々と忙しくて、電話するの忘れてたんだよ」とオレは適当な言い訳をして誤魔化した。
 現状は仕事3割、遊び7割だが、一応旅の目的は見失っていないから、問題ないだろう。

「え、スタッフ?、スカウトですって?、どこで?」

「セントレーニアの旅亭アルカディアって言う高級ホテルがあるんだけど、そこの専属客室係バトラーをスカウトしたんだ」
 オレはエミリアをスカウトするまでの経緯を掻い摘んで話した。

「ふ~ん、まあ戦力になりそうな人なら歓迎だけど、その人今どこにいるの?」

「うん、行くところが無いから、一緒に旅してるよ」

「あらまぁ、そうなんだ、それじゃこっちに帰ってきたら、会える訳ね。
 ホテルスタッフ、それも優秀な経験者なら大歓迎だわ」

「ありがとう、エミリアは頭の回転が良い娘だから、アスナとも気が合うと思うよ。
 ところで、教育訓練の進捗しんちょくはどう?」

「う~ん、細かい問題は色々あるけど、全体の進捗は予定通り進んでるわ。
 でも、カイトに決めてもらわないと、進まないこともあってね、メールしておくから後で読んで返事もらえるかな?」

「分かった、メール見とくよ」

「カイト、今回の件は貸しだからね」

「了解、お土産たくさん買ったから、それで勘弁してよ」

「分かった~、期待してるからね~、それじゃバイバ~イ」
 そう言ってアスナは電話を切った。

 次はサクラに電話した。

「もしも~し、サクラ?」

 するとサクラの柔らかい声が聞こえた。
「あっ、カイトさま、お疲れさまです」

「お疲れさま~、電話できなくてゴメンね~」

「いえいえ、カイトさまもお忙しいでしょうから。
 ところで、今どちらにいらっしゃるのですか?」

「え~っと、今は無人島かな」

「え、無人島?、ですか?」

「そうだよ、サンドベリアって言う街から飛行船で70kmくらい飛んだところにある無人島なんだ。
 島の名前はエルメ島だったかな」

「へ~、いいですね、私も行ってみたいです」

「うん、リゾートが開業して落ち着いたら、一度みんなで来ようと思ってるよ」

「そうですか、それは楽しみです」

「え~っと、サクラに2つほど報告があるんだ」

「なんでしょう」

「1つ目はホテルスタッフを1名現地採用した件」
 そう言ってオレはエミリアをスカウトした経緯を詳しく話した。

「なるほど、カイトさま、それは良い人材を採用されましたね。
 今、こちらで問題になっているのが、接客経験者が圧倒的に少ないということです。
 特にホテルで働いた経験がある人は、マリンさんが実家の宿屋でアルバイトで働いたくらいで、ほとんど皆無に近い状態なので、優秀なホテルスタッフをスカウト出来たのは大きいと思いますよ」
 流石さすがはサクラ、素晴らしい理解力だ。

「それで、お願いなんだけど、エミリアの宿舎を確保して欲しいんだ」

「分かりました、ご用意致します」

「2つ目なんだけど、ステラをオレの専属護衛として契約することになったんだ」

「そうですか、ステラさんにはお会いしたことはありませんが、剣の達人だとアスナさんから聞いてますので、宜しいのではないでしょうか」

「ああ、それでステラを専属護衛に採用した件をアスナに伝え忘れたんで、明日でもいいからサクラから伝えて置いて欲しいんだ」

「承知致しました」

「あと1週間位でそちらに帰る予定だけど、申し訳ないが、それまで宜しく頼むよ」
「その分、お土産たくさん買って帰るから」

かしこまりました、カイトさま、こちらの事はお任せ下さい」

「それじゃあ、おやすみ~」
 そう言ってオレは電話を切った。

 次はジェスティーナに電話した。

「もしもし、王女殿下でいらっしゃいますか?」
 オレがそう言って電話すると

「え、なんですか?、その他人行儀な言葉は」

「ごめんごめん、いやジェスティーナ、怒ってるだろうなって思って」

「なんで私が怒るんですか?」

「え、じゃあ怒ってないの?」

「いいえ、怒ってます」

「ほら、やっぱり怒ってるじゃないか」

「当たり前です、毎日電話するって言ってたのに、カイトさま1度も電話くれないし…」
 電話の向こうでジェスティーナが涙を拭う仕草を見せた。

「ほんっとにごめん、電話しようと思ってたんだけど、色々あって電話できなかったんだ、この埋め合わせはするから許して、お願い」と苦しい言い訳をする。

「しょうがないですね~。
 カイトさま、その埋め合わせの約束、必ず果たしてもらいますからね」とジェスティーナは何事もなかったように言った。

 どうやら、今のはジェスティーナの嘘泣きだったようだ。
 危うくだまされるところだった。

「承知致しました、王女様」
 オレは、ジェスティーナに、エアルフトの古代遺跡寺院を見に行った話や、セントレーニアでの話、エミリアをスカウトしたこと、ステラを専属の護衛にしたこと、サンドベリアの砂上のレストランで素晴らしい景色の中、食事したこと、今は無人島の砂浜でテントを張って滞在していることなど30分くらい話した。

「いいな~、わたしもカイト様と一緒に旅してみたい」とポツリと言う。

「そうだね、そのうち一緒に旅に出られる日も来ると思うから」とオレはジェスティーナをさとすように言った。
「あと一週間くらいで帰れると思う、お土産たくさん買って帰るから待っててね」

「お土産なんかいらない。
 それよりも、カイトさまに早く会いたい…」と嬉しいことを言ってくれる。

「わたし、カイトさまに抱かれたいの……」
 ジェスティーナから、まさかそんな一言が聞けるなんて男冥利おとこみょうりに尽きるというものだ。
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