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第3章 王女ジェスティーナの救出
第38話 星あかりの秘密
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ジェスティーナ王女が、なぜこんな時間にと思いながらもオレが答える。
「はい、私が、ハヤミが入ってます」
「一緒に入っても宜しいですか?」
オレは動揺を隠しながら答えた。
「はい、宜しければ、どうぞ」
「ありがとうございます」
そう言うと、ジェスティーナは一度引き返し、タオルを巻いて入ってきた。
そして浴槽の脇でタオルを外し、掛け湯をしている。
「お邪魔します」
そう言うと、ゆっくりと露天風呂に入ってきた。
「気持ちいいですね」
辺りは薄暗く、露天風呂の直径は約10mあり、彼女は対面にいるので湯気でボンヤリとしか見えないが、ジェスティーナ王女は確かにそこにいる。
「お1人で温泉をお楽しみのところ、お邪魔して申し訳ありません」
ジェスティーナ王女がオレに謝る。
「いえいえ、この露天風呂は元々混浴ですから、謝る必要はないです」
「そうなんですね。
こんな立派な温泉、王国でも見たことありませんわ」
ジェスティーナの話では夕食会の後、女性3人で露天風呂に入りに来たそうだ。
そして深夜にもう一度、1人で入りに来たということらしい。
「そちらへ行ってもいいですか?」
「え?」
今、そちらに行ってもいいですか?、って言わなかったか?
いや、間違いなくそう言った。
こんな超絶美少女の申し出を断る男など、どの世界に居ようか。
「は、はい、もちろん、いいですよ」
オレは上ずった声で答えた。
すると王女は立ち上がり、ゆっくりとこちらに近づいてきた。
王女が歩を進める度に、お湯をかき分ける水音がする。
星あかりの中、美の女神も敵わないほどの超絶美少女が近づいてきた。
「ハヤミ様の横、失礼致します」
そう言うとオレのすぐ左隣りに腰を下ろした。
オレは心臓が飛び出るのでは無いかと思うほど、動悸が激しくなり、「はい」と言うのが精一杯だった。
金色に輝く長い髪をアップにして微笑む『ソランスターの女神』と呼ばれる超絶美少女が、オレのすぐ横にいる。
星あかりで、微かに見える程度の明るさだが、ジェスティーナ王女の完璧なまでの美しい顔立ちは、手に取るように分かった。
王女からは頭がクラクラするほど甘いフローラルブーケを思わせる良い匂いがした。
オレの目は彼女の美しい横顔に釘付けになった。
「今夜は素晴らしい星空ですね…
それに三日月も出ていて、こんな素敵な夜空は見たことありません」
ジェスティーナ王女は星空を見上げながら、オレに話しかけてきた。
王女はオレと露天風呂に入っていても、さほど緊張していない様子であった。
「ここは森の中なので、星を見るのには最適な場所なんだと思います。
しかも温泉に入りながら、こんな素晴らしい星空を眺められるなんて、他に無いと思います」
王女は星空を見上げ、そう呟いた。
「そうですね、こんなに素晴らしい星空を独り占めできるなんて、ホントに贅沢です。
アスナ嬢が言ってましたが、条件付きでここを開放する話、具体的に検討して見ようと思います」
「こんな素晴らしい場所、独り占めはズルいですよ」
王女は悪戯っ子のような顔をした。
「私も、また来たいのでお招きいただけますか?」
「はい、もちろん」
「ありがとうございます、お言葉に甘えて、近い内にまた必ず来ますね」
「わたし、実は温泉が大好きなんです」
王女は王都には温泉が無いこと、国王が年に1度、王室の保養地にある温泉に王室全員を連れて行くこと、それを毎年楽しみにしてること、もっと色々な温泉に入ってみたいことなどをキラキラした眼差しで語った。
「できれば、わたし毎日でも温泉に入りたいんです」
王女が、そこまでの温泉マニアだとは思わなかった。
「王女様が、そこまで温泉がお好きだとは思いませんでした」
オレは思わず苦笑してしまった。
「あ、今笑いましたね」
王女はオレに非難の目を向ける。
「そう言えば、ハヤミ様は夕食会の後、すぐ部屋に戻られたのですね」
「はい、ちょっと飲みすぎたようで、部屋に戻ったら、すぐ寝てしまいました」
「そうなんですか、あの後、助けていただいたお礼をしたくて、ハヤミ様を探したんですよ」
と王女は残念そうな顔で言った。
「それは、たいへん申し訳ありませんでした」
「でも、偶然ここでお会いできて良かったです。
改めて、お礼を言わせて下さい。
ハヤミ様、盗賊に襲われていた私を、命掛けで助けていただき、ありがとうございます。
あの時、助けていただかなければ、私は今頃どうなっていたか分かりません。
これは、そのお礼です」
そう言うと王女はオレの首に手を回し、オレの唇に自分の唇を押し当ててきた。
ジェスティーナ王女の甘い匂いと柔らかく弾力のある肌が密着して、天にも昇るような心地であった。
30秒くらい唇を重ねていただろうか。
とても長かったようにも一瞬だったようにも感じる。
オレが呆気に取られていると王女が耳元で囁いた。
「これはハヤミ様と私だけの秘密ですよ。
わたし、先に上がりますね」
そう言うとジェスティーナは立ち上がり、お湯をかき分けて静かに露天風呂から出ていった。
オレは彼女の美しい後ろ姿を呆然と見送った。
完璧なまでに美しいプロポーションの『ソランスターの女神』はオレを残して去って行った。
彼女が去ってもオレのドキドキは暫く止まらなかった。
今の出来事は本当だったのか、思わず自分の唇に手を当てた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
翌朝、ジェスティーナ王女は、まるで何事もなかったかのように朝食に現れ、人を魅了する笑顔を振りまきながらオレたちと談笑した。
その後は、捕虜として捉えられていた女性用に設置された休憩所を廻り、労いの言葉を掛けた。
作戦の主力として活躍した国境守備隊の大半は、捕虜である盗賊たちを連行し、既にソランスター国境へ向かっていた。
残り120人の国境守備隊は、ジェスティーナ王女を王都まで護衛し、送り届けるべく、ミラバスの森と街道の中間地点にテントを張り待機している。
王女が帰国する日がやって来た。
オレとアスナとステラ、それにローレンとソニア、メイドたち全員が門まで王女を見送りに出た。
「アスナさんは、いつまで滞在される予定ですか?」
王女がアスナに声をかける。
「カイト様の領地と取引できそうな特産品を拝見して、あと1週間ほど滞在しようかと思っておりますが、もう少し長くなるかも知れません」
「そうですか、それは羨ましいです。
私も出来ることなら、ゆっくりしたかったのですが、陛下がすぐに帰国するようにと煩いのです」
「王女殿下も、さすがに国王陛下のご命令とあらば、従わざるを得ないですね」
「ハヤミ様、この度は本当にお世話になりました。
今回、私は貴方から言葉では言い尽くせないくらいの恩を受けました」
ジェスティーナ王女が畏まって、オレに頭を下げた。
「いえ、今回は周りの皆が協力してくれて、たまたま良い結果になっただけのことです。
私のしたことなど大したことではありません」
「いいえ、謙遜なさらなくても宜しいのです。
ハヤミ様とは、またお会いしたいと思います」
王女は嬉しい言葉をオレに掛けてくれた。
「そのようなお言葉を頂戴し、とても光栄です。
この館で王女殿下をいつでもお迎えできるよう、準備を整えておきます」
「そう言っていただけると、私も嬉しいです。
これは私の感ですが、ハヤミ様とは、またすぐにお会いできると思います。
私の感って良く当たるんですよ」
そう言って王女はオレにウィンクして見せた。
王女は迎えの馬車に乗り、国境守備隊の厳重な警護の元、ソランスター王国へと帰って行った。
「はい、私が、ハヤミが入ってます」
「一緒に入っても宜しいですか?」
オレは動揺を隠しながら答えた。
「はい、宜しければ、どうぞ」
「ありがとうございます」
そう言うと、ジェスティーナは一度引き返し、タオルを巻いて入ってきた。
そして浴槽の脇でタオルを外し、掛け湯をしている。
「お邪魔します」
そう言うと、ゆっくりと露天風呂に入ってきた。
「気持ちいいですね」
辺りは薄暗く、露天風呂の直径は約10mあり、彼女は対面にいるので湯気でボンヤリとしか見えないが、ジェスティーナ王女は確かにそこにいる。
「お1人で温泉をお楽しみのところ、お邪魔して申し訳ありません」
ジェスティーナ王女がオレに謝る。
「いえいえ、この露天風呂は元々混浴ですから、謝る必要はないです」
「そうなんですね。
こんな立派な温泉、王国でも見たことありませんわ」
ジェスティーナの話では夕食会の後、女性3人で露天風呂に入りに来たそうだ。
そして深夜にもう一度、1人で入りに来たということらしい。
「そちらへ行ってもいいですか?」
「え?」
今、そちらに行ってもいいですか?、って言わなかったか?
いや、間違いなくそう言った。
こんな超絶美少女の申し出を断る男など、どの世界に居ようか。
「は、はい、もちろん、いいですよ」
オレは上ずった声で答えた。
すると王女は立ち上がり、ゆっくりとこちらに近づいてきた。
王女が歩を進める度に、お湯をかき分ける水音がする。
星あかりの中、美の女神も敵わないほどの超絶美少女が近づいてきた。
「ハヤミ様の横、失礼致します」
そう言うとオレのすぐ左隣りに腰を下ろした。
オレは心臓が飛び出るのでは無いかと思うほど、動悸が激しくなり、「はい」と言うのが精一杯だった。
金色に輝く長い髪をアップにして微笑む『ソランスターの女神』と呼ばれる超絶美少女が、オレのすぐ横にいる。
星あかりで、微かに見える程度の明るさだが、ジェスティーナ王女の完璧なまでの美しい顔立ちは、手に取るように分かった。
王女からは頭がクラクラするほど甘いフローラルブーケを思わせる良い匂いがした。
オレの目は彼女の美しい横顔に釘付けになった。
「今夜は素晴らしい星空ですね…
それに三日月も出ていて、こんな素敵な夜空は見たことありません」
ジェスティーナ王女は星空を見上げながら、オレに話しかけてきた。
王女はオレと露天風呂に入っていても、さほど緊張していない様子であった。
「ここは森の中なので、星を見るのには最適な場所なんだと思います。
しかも温泉に入りながら、こんな素晴らしい星空を眺められるなんて、他に無いと思います」
王女は星空を見上げ、そう呟いた。
「そうですね、こんなに素晴らしい星空を独り占めできるなんて、ホントに贅沢です。
アスナ嬢が言ってましたが、条件付きでここを開放する話、具体的に検討して見ようと思います」
「こんな素晴らしい場所、独り占めはズルいですよ」
王女は悪戯っ子のような顔をした。
「私も、また来たいのでお招きいただけますか?」
「はい、もちろん」
「ありがとうございます、お言葉に甘えて、近い内にまた必ず来ますね」
「わたし、実は温泉が大好きなんです」
王女は王都には温泉が無いこと、国王が年に1度、王室の保養地にある温泉に王室全員を連れて行くこと、それを毎年楽しみにしてること、もっと色々な温泉に入ってみたいことなどをキラキラした眼差しで語った。
「できれば、わたし毎日でも温泉に入りたいんです」
王女が、そこまでの温泉マニアだとは思わなかった。
「王女様が、そこまで温泉がお好きだとは思いませんでした」
オレは思わず苦笑してしまった。
「あ、今笑いましたね」
王女はオレに非難の目を向ける。
「そう言えば、ハヤミ様は夕食会の後、すぐ部屋に戻られたのですね」
「はい、ちょっと飲みすぎたようで、部屋に戻ったら、すぐ寝てしまいました」
「そうなんですか、あの後、助けていただいたお礼をしたくて、ハヤミ様を探したんですよ」
と王女は残念そうな顔で言った。
「それは、たいへん申し訳ありませんでした」
「でも、偶然ここでお会いできて良かったです。
改めて、お礼を言わせて下さい。
ハヤミ様、盗賊に襲われていた私を、命掛けで助けていただき、ありがとうございます。
あの時、助けていただかなければ、私は今頃どうなっていたか分かりません。
これは、そのお礼です」
そう言うと王女はオレの首に手を回し、オレの唇に自分の唇を押し当ててきた。
ジェスティーナ王女の甘い匂いと柔らかく弾力のある肌が密着して、天にも昇るような心地であった。
30秒くらい唇を重ねていただろうか。
とても長かったようにも一瞬だったようにも感じる。
オレが呆気に取られていると王女が耳元で囁いた。
「これはハヤミ様と私だけの秘密ですよ。
わたし、先に上がりますね」
そう言うとジェスティーナは立ち上がり、お湯をかき分けて静かに露天風呂から出ていった。
オレは彼女の美しい後ろ姿を呆然と見送った。
完璧なまでに美しいプロポーションの『ソランスターの女神』はオレを残して去って行った。
彼女が去ってもオレのドキドキは暫く止まらなかった。
今の出来事は本当だったのか、思わず自分の唇に手を当てた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
翌朝、ジェスティーナ王女は、まるで何事もなかったかのように朝食に現れ、人を魅了する笑顔を振りまきながらオレたちと談笑した。
その後は、捕虜として捉えられていた女性用に設置された休憩所を廻り、労いの言葉を掛けた。
作戦の主力として活躍した国境守備隊の大半は、捕虜である盗賊たちを連行し、既にソランスター国境へ向かっていた。
残り120人の国境守備隊は、ジェスティーナ王女を王都まで護衛し、送り届けるべく、ミラバスの森と街道の中間地点にテントを張り待機している。
王女が帰国する日がやって来た。
オレとアスナとステラ、それにローレンとソニア、メイドたち全員が門まで王女を見送りに出た。
「アスナさんは、いつまで滞在される予定ですか?」
王女がアスナに声をかける。
「カイト様の領地と取引できそうな特産品を拝見して、あと1週間ほど滞在しようかと思っておりますが、もう少し長くなるかも知れません」
「そうですか、それは羨ましいです。
私も出来ることなら、ゆっくりしたかったのですが、陛下がすぐに帰国するようにと煩いのです」
「王女殿下も、さすがに国王陛下のご命令とあらば、従わざるを得ないですね」
「ハヤミ様、この度は本当にお世話になりました。
今回、私は貴方から言葉では言い尽くせないくらいの恩を受けました」
ジェスティーナ王女が畏まって、オレに頭を下げた。
「いえ、今回は周りの皆が協力してくれて、たまたま良い結果になっただけのことです。
私のしたことなど大したことではありません」
「いいえ、謙遜なさらなくても宜しいのです。
ハヤミ様とは、またお会いしたいと思います」
王女は嬉しい言葉をオレに掛けてくれた。
「そのようなお言葉を頂戴し、とても光栄です。
この館で王女殿下をいつでもお迎えできるよう、準備を整えておきます」
「そう言っていただけると、私も嬉しいです。
これは私の感ですが、ハヤミ様とは、またすぐにお会いできると思います。
私の感って良く当たるんですよ」
そう言って王女はオレにウィンクして見せた。
王女は迎えの馬車に乗り、国境守備隊の厳重な警護の元、ソランスター王国へと帰って行った。
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