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6章 女神祭に行こう

31話 コカトリスは鶏肉ですか?

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   ご無沙汰で申し訳ないです。
りんたのもう片方の作品【神様2人分…】の見直し作業に四苦八苦しております。ー
設定が頭の中でごちゃ混ぜになるので向こうにかかりきりで作業してましたがなかなか進みません。
まだ三分の一も終わってないし……
でも開き過ぎなのでちょっとこちらも頑張って見ました。
すっかり読まれていた展開ですが
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 
 

「『あ!』」

   ミニアとハモってしまった、と言っても私達以外にはミニアの声は「Wahu」と聞こえるのだけど。


   ザシュッ

   ゴロン…ブシュー




   どこからか飛んできた風の刃がコカトリスの首をチョンパし、転がった。
   どさり、と倒れるコカトリスの上にシュッタっと現れたのはグランザだった。

   グランザは武器を構えていた私達に気付くと声をかけてきた。

『おお、ミニアではないか、久しいな』

『…まだ別れてから1日も経ってないし‥』

   そんなミニアの呟きが聞こえる。ため息をついてから父親をふり仰ぐミニア。

『で、お父さんどうしたのコレ』

『ん?ああハニーが美味い鶏肉が食べたいと言うので、狩ろうとしたんだが、ちょっと油断した隙に逃げられてなあ、こんな下まで来てしまったのだ』

   私は武器を収めウィルさん達にも大丈夫だと伝える。

「どうも狩をしくじったみたいです。この駄狼はすぐ帰りますから。え、?人を襲ったりしませんよ?心配ありません」

『むう、駄狼とは失礼な。人など食わん。筋が多くて脂っぽくって美味くないからな』

「それって食ったことあるって事?」

『まあ、仕方なしにな。大昔の話だ』

   グランザの言葉にアレクス君が思わず問いかけてしまった。
   グランザはあらぬ方向を見て遠い目をする。

『お父さん、お母さんが待ってるんじゃないの?時間が経つと味が落ちるよ』

『おお、そうだった。ミニア息災でな!エル、ミニアのことくれぐれも頼むぞ、では』

   グランザはコカトリスを咥えるとタン、っと飛び上がり神殿の屋根へ、そこからさらに飛び上がり山へ帰って行った。

   血溜まりとコカトリスの頭を残して。

「コカトリスのトサカって高額で取引ちゃれる見たいでちゅ。」

   ウリュ君がコカトリスの頭を指差す。この前【世界魔物大図鑑】って本を買った。結構なお値段だがウリュ君のおこずかいで買えました。彼らのおこずかいは結構な金額になっているのだ。
   辞典のコカトリスのページを見ながら

「置いて行ったから貰ってもいいでちゅよね」

「いいんじゃね?ミニアの父ちゃんのだし」

『うん、頭は食べない』

「石化解除ポーちョンの材料になるちょうでちゅ。オネーちゃん作れまちゅか?作り方おちえてくだちゃい」

   パタンと辞典を閉じるとコカトリスの頭を拾って持ってきた。

「ええっと、エルさん?」

   ロッテ嬢が袖を引っ張る。レスさんは肩をすくめ、ウィルさんは首を振っている。
   スルーしましょう。

「申し訳ありません、ロッテ嬢。そろそろ宿に戻りましょう」

   あちこち建物の影とか窓からとか大量の視線が感じられるのでさっさとずらかろう。

「お、お待ちください!」

   ちっ、遅かったか。神殿の方から神官が僧兵を連れて走ってくる。いなくなってから来ても遅いって。







   神殿の奥、応接室のようなところに通された・・・と言うか強制連行デス。
   まあ仕方ないとは思います。
   ロッテ嬢やウィルさん達は無関係なので解放してくださいとお願いしたのですが、当のロッテ嬢がランランとした瞳で食いついて離れず、仕方なくウィルさんも一緒に私達3人と1匹と一緒に居ます。かなりしぶったがレスさんとトーナさんは先に宿に戻ってもらった。

   応接室と言うが、入口の反対側には薄いカーテンで遮られており、いかにも『高貴な方が向こうにいらっしゃいますよ』的な雰囲気を醸している。

   入口を左に見て上手からウィルさん、ロッテ嬢、ウリュ君、私、アレクス君と足元にミニアの順で座っております。
   正面には位が高そうな神官二人と後ろに神殿騎士が控えて居ます。
   当然武器とマジックバックは取り上げられました(後で返してくれる約束ですが)
   まあ、私のインベントリにまだ色々武器が入っているので意味ないですけどね。



「私はここケルムの神殿を任されている大司祭ビミルフという、こちらは祭りの為皇都から来られた次席大司祭ヒョードレード様です」

   うわーめっちゃ上の人出てきた。
   思わずウィルさんの方を見る。
   こっちも自己紹介しろってことなんだけど。
   ウィルさんはため息をひとつ。

「私はウェイシア王国、クロード辺境伯爵の寄子、カーチス子爵家嫡男ウィリアムと申します。
   こちらはクロード辺境伯爵令嬢、アンネロッテ様。此度はお忍びで祭りを見物に来た次第です」

   本当のこと言っちゃった。まあ隣国の貴族だって言った方が変なことされないだろう。
   アンネロッテ嬢は立ち上がり淑女の礼をする。

「それと、護衛を依頼した冒険者チームの【金色の翼】のエル、アレクス、ウリュの三名です」

   私達も立ち上がり礼をする。アレクス君とウリュ君はちゃんと正式な挨拶ができるのだよ。
   大司祭様がちょっと驚いている。ふふん、どーよ、うちの子達。


「早速本題に入らせてもらおう、先ほどのコカトリス…を襲っていたのは………フェ、フェンリルなのだろうか?」

   ウィルさんがこっちを見る。私に答えろと言うことですね。

「ええ、そうです。冒険者ギルドからフェンリルについての情報上がって来てませんか?」

   お偉いさんは二人頷きあう。

「ああ、昨日ダイダニアから龍峰にいま、2柱のフェンリルが座すと報告を受けている」

「その片方、オスのフェンリルが狩をしているうちにここまで来たようです」

   やはり、報告は事実だったのだ…とかフェンリルがこの龍峰にお戻りに…とか司祭様方は興奮冷めやらぬご様子で。
   まあ、フェンリルが大地母神様の使徒というのは本当のようだし。神殿側としては嬉しい出来事なのだろう。

   もう帰っていいかな。私達放置で盛り上がってるのよね。

   退屈なのかさっきから子犬化したミニミニアをもふってるアレクス君。それを見て自分もモフリたくなったのかロッテ嬢がポケットから干し肉を取り出しミニミニアにちらつかせる。
   ロッテ嬢、干し肉ポケットに直入れですか?

   ミニミニアがアレクス君の場所からロッテ嬢の方にトテトテと寄って行きその手から干し肉をぱくんと咥える。

   司祭様方はハッと我に帰りこちらを振り返る。

「ゴホン、申し訳ない、フェンリルは大地母神様の使い、長き不在であったこの地に戻られたことは我らにとって大きな意味があるのだ」

「では我々はお暇させていただいても?」

   ウィルさんが司祭様に切り出す。もう帰りたいんですよ。
   すると後ろに控えていた神殿騎士が司祭様に耳打ちをする。
   司祭様方はまたもやハッとする。
   改めて居住まいを正しこちらを向く。


「そうであった。先ほどの様子を伺っていた時にも感じたのだが、もしや其方、フェンリルと言葉を交わせるのではないか?」

   あー、そうか。普通に喋ってたな。うーんどうしよう。




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