タライ落とし

マイきぃ

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タライ 五個目

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────7月15日(土曜日) 午後7時57分

 また土曜日がきた。明日は休みだ。

 だが、僕はそんな休みをネトゲ三昧で終わらせようとしている。

 ふと、思い出したように、僕はスマホを取り出した。

 友達と夏休みの予定を決める相談をしなくてはならなかったため、僕は、友人の『佐藤一樹さとうかずき』のスマホに電話をかけた。

「一樹?」

「なんだ、正人」

「夏休み、どうする」

「ああ、そうだな。亜人ゲッターの聖地を整地しにいくか」

 つまらないオヤジギャグが混じっていた。これさえなければ、女子にも持てるルックスの持ち主なのだが……。

「最後のは聞かなかったことにしておくよ。それなら、SSレ亜人(レアと亜人を合わせた語)の《九尾の狐》が出る神社いきたいね」

「じゃあ、8月ごろがいいな。新しい亜人が配信されるから、それも、狙おうか」

 亜人ゲッターとは、今流行のスマホゲームのことだ。ゲームはGPSと連動していて、亜人がリアルの様々な場所に出現するようになっている。その亜人をスマホで捕まえて、育成したり戦わせて遊ぶゲームだ。

 亜人といっても、ほとんどが動物の亜人だ。犬や猫、きつねやたぬき、鳥や熊などが擬人化されたキャラクターが多い。アップデートでそのうちモンスター系も配信されるらしい。

「いいね、じゃあ、他の亜人の場所は一樹にまかせるよ。神社だけはいかせてね」

「ああ、わかった。神社だけにアジンジャー(亜人と神社を合わせたおやじギャグ)なんつって…………(ゴーン……バタッ)」

「変なギャグ言うなよ……。何か落ちたような音聞こえたけど、なんだったんだ?」

「……………………」

「おーい…………あれ、聞こえないのか……ま、いいか。じゃあまた明日」

────7月15日(土曜日) 午後8時2分

 スマホの通話を終了した。


────7月16日(日曜日)

 日曜日はネトゲ三昧だった。


────7月17日(月曜日)

 僕は、目の下にクマを作って学校に登校した。

 教室にはいると、なんだか騒がしい。一樹はまだ席にいないようだ。やつもネトゲ三昧で寝てるのか……? まあ、そんなことを一言でも言えば、一緒にするなと罵倒されそうだ。

 担任の先生が、朝のホームルームに来た。なにやら、落ち込んでいる表情だった。

「おはようございます。今日は皆にお知らせがあります。クラスメイトの一樹君が、意識不明で病院に搬送されたそうです。なので、しばらくはお休みということになります」

 先生は、残念そうな顔で説明をした。一樹が意識不明? いったい何があったんだ?

 まさか、僕と電話をしていた時に倒れたのか……!?
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