10 / 28
第十話 Sクラスの冒険者
しおりを挟む
裏路地に沿ってギルドへ向かう途中、花壇の側に籠を持った少女を見つけた。そこに若い町娘たちが、少女を取り囲むように集まっている。
少女は、売り口上を叫んでいた。
「これをつければAがBに! もっと欲しいならこれ! これならAがCに! これなんて、形のいいDになるプレミアだよ!」
「やっぱり、Dは売れてるの?」
「もちろん、Dが一番人気だよ」
「そうねぇ……じゃあそれください!」
「わたしもそれ!」
──バストアップパッドを売っているのだろうか。
「キャー! 男がいるわ!」
こっちに気が付いた女性が、とても恥ずかしそうな様子で僕を睨みつける。
その瞬間──
「なんでこんな所うろついてんのよ!」
──町娘は怒鳴り声とともに石を投げてきた。石は、ビュンと音を立てて頬をかすめる。
「な……なんでもないです~!」
ものすごい殺気だ。危険を感じた僕は顔を隠してその場を走り抜けた。
それにしても──あの場にいた女性たち。そのほとんどはおそらくAカップだ。大きい町娘もいたが、パッドの可能性がある。
よくよく考えてみると、この世界の母の乳も大体そのぐらいだった気がする。それに、前に町を歩いた記憶からみても、胸の小さい女性が多かった。
この世界の女性の胸は、小さいのが普通なのだろうか──いや、たまたま僕が見た女性の胸が小さいだけなのかもしれないが──と、今は胸の事よりも金だ! 雑念は後回しだ。
冒険者ギルドへとたどり着く。レンガ造りの大きな建物だ。
ひとまず、ギルドの窓口へと赴く。カウンターへと足を運ぶと、受付のメイドは掃除の手を止め、にこやかな顔でカウンターに立った。
「おはようございます。お早いですね。今日はどんなご用件で」
「あ、おはようございます。ええと……冒険者登録をしたいのですが」
「冒険者登録ですね。かしこまりました。では、石板に手を当てて下さい」
返事をすると、メイドは棚から石板を取り、僕の目の前に差し出しす。
その石板に手を当てると、石板は虹色に輝きだした。
虹色の光を見た見たメイド、慌てた様子で話し始めた。
「え……と、あなたが……勇者様でいらっしゃいますか?」
「はい、一応……」
「承知しました。登録はこれで完了です。では、軽く説明をします。このギルドに登録された場合、あなたは無条件でSクラスの冒険者となります。そして、Sクラスには、特殊権限が与えられます」
「特殊権限?」
「Sクラスの冒険者は、全ての依頼を優先的に受けることができます。一般宅への家宅捜索権限を持ちます。伯爵階級が与えらえます。基本的な権限はこの3つですが、詳しくは、こちらの書類に目を通してみてください」
──と、メイドは分厚い本を差し出す──もちろん、一瞬で読む気が失せた。
「後で読ませていただきます」
「わかりました。それでは、何か質問はありますか?」
「ええと……軍資金を稼ぐのに効率のいい依頼はありますか?」
「そうですね……まずは、手始めにゴブリンの巣穴潰しでもやってみたらどうでしょうか」
「ゴブリンの巣穴潰し?」
「はい」
普通、軍資金を稼ぐなら、ドラゴン退治や、魔王の幹部討伐みたいなものが効率がいいと思うのだが──。
「軍資金を稼ぐなら、ドラゴン退治や、魔王の幹部討伐みたいなものが効率がいいと、今思いましたよね」
ギクッ──このメイド、今、僕の心を読んだのか!?
「そういった依頼は無いのが今の現状です。今現在、実害はないですし。もし、こういった異例で大規模な依頼をして失敗すると、敵の報復で大規模な被害を受ける場合があります。その場合、冒険者は死んでしまっていることが多いので、その被害の責任を依頼者が全て負うことになるんですよ」
「なるほど……藪をつつかなければ蛇は出ないってことか」
「いい例えですね──勉強になります。ゴブリンであれば、放っておくほど被害がでるので、さっきのそれとは依頼の性質が違います」
「でも、ゴブリン退治がなぜ稼げるんだ?」
「ゴブリンの巣穴潰しは、敵の個体数が多いので討伐人員の数が必要です。当ギルドでも、最低4人と定めています。ですが、Sクラスには、その制限がありません。それに、本当に勇者様なら、それをお一人で達成することも可能かと思います。それと、被害が出る前に早く退治してもらいたい方が多いので、金額が吊り上がる場合があるんです」
なんだか、試されているような気もするが──悪い話ではない。
「じゃあ、それでお願いします」
「はい。じゃあよろしくお願いしますね」
僕は、メイドが差し出した依頼書にサインをした。
少女は、売り口上を叫んでいた。
「これをつければAがBに! もっと欲しいならこれ! これならAがCに! これなんて、形のいいDになるプレミアだよ!」
「やっぱり、Dは売れてるの?」
「もちろん、Dが一番人気だよ」
「そうねぇ……じゃあそれください!」
「わたしもそれ!」
──バストアップパッドを売っているのだろうか。
「キャー! 男がいるわ!」
こっちに気が付いた女性が、とても恥ずかしそうな様子で僕を睨みつける。
その瞬間──
「なんでこんな所うろついてんのよ!」
──町娘は怒鳴り声とともに石を投げてきた。石は、ビュンと音を立てて頬をかすめる。
「な……なんでもないです~!」
ものすごい殺気だ。危険を感じた僕は顔を隠してその場を走り抜けた。
それにしても──あの場にいた女性たち。そのほとんどはおそらくAカップだ。大きい町娘もいたが、パッドの可能性がある。
よくよく考えてみると、この世界の母の乳も大体そのぐらいだった気がする。それに、前に町を歩いた記憶からみても、胸の小さい女性が多かった。
この世界の女性の胸は、小さいのが普通なのだろうか──いや、たまたま僕が見た女性の胸が小さいだけなのかもしれないが──と、今は胸の事よりも金だ! 雑念は後回しだ。
冒険者ギルドへとたどり着く。レンガ造りの大きな建物だ。
ひとまず、ギルドの窓口へと赴く。カウンターへと足を運ぶと、受付のメイドは掃除の手を止め、にこやかな顔でカウンターに立った。
「おはようございます。お早いですね。今日はどんなご用件で」
「あ、おはようございます。ええと……冒険者登録をしたいのですが」
「冒険者登録ですね。かしこまりました。では、石板に手を当てて下さい」
返事をすると、メイドは棚から石板を取り、僕の目の前に差し出しす。
その石板に手を当てると、石板は虹色に輝きだした。
虹色の光を見た見たメイド、慌てた様子で話し始めた。
「え……と、あなたが……勇者様でいらっしゃいますか?」
「はい、一応……」
「承知しました。登録はこれで完了です。では、軽く説明をします。このギルドに登録された場合、あなたは無条件でSクラスの冒険者となります。そして、Sクラスには、特殊権限が与えられます」
「特殊権限?」
「Sクラスの冒険者は、全ての依頼を優先的に受けることができます。一般宅への家宅捜索権限を持ちます。伯爵階級が与えらえます。基本的な権限はこの3つですが、詳しくは、こちらの書類に目を通してみてください」
──と、メイドは分厚い本を差し出す──もちろん、一瞬で読む気が失せた。
「後で読ませていただきます」
「わかりました。それでは、何か質問はありますか?」
「ええと……軍資金を稼ぐのに効率のいい依頼はありますか?」
「そうですね……まずは、手始めにゴブリンの巣穴潰しでもやってみたらどうでしょうか」
「ゴブリンの巣穴潰し?」
「はい」
普通、軍資金を稼ぐなら、ドラゴン退治や、魔王の幹部討伐みたいなものが効率がいいと思うのだが──。
「軍資金を稼ぐなら、ドラゴン退治や、魔王の幹部討伐みたいなものが効率がいいと、今思いましたよね」
ギクッ──このメイド、今、僕の心を読んだのか!?
「そういった依頼は無いのが今の現状です。今現在、実害はないですし。もし、こういった異例で大規模な依頼をして失敗すると、敵の報復で大規模な被害を受ける場合があります。その場合、冒険者は死んでしまっていることが多いので、その被害の責任を依頼者が全て負うことになるんですよ」
「なるほど……藪をつつかなければ蛇は出ないってことか」
「いい例えですね──勉強になります。ゴブリンであれば、放っておくほど被害がでるので、さっきのそれとは依頼の性質が違います」
「でも、ゴブリン退治がなぜ稼げるんだ?」
「ゴブリンの巣穴潰しは、敵の個体数が多いので討伐人員の数が必要です。当ギルドでも、最低4人と定めています。ですが、Sクラスには、その制限がありません。それに、本当に勇者様なら、それをお一人で達成することも可能かと思います。それと、被害が出る前に早く退治してもらいたい方が多いので、金額が吊り上がる場合があるんです」
なんだか、試されているような気もするが──悪い話ではない。
「じゃあ、それでお願いします」
「はい。じゃあよろしくお願いしますね」
僕は、メイドが差し出した依頼書にサインをした。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
蒼穹のエターナルブレイク-side イクトス-
星井柚乃(旧名:星里有乃)
ファンタジー
旧タイトル『美少女ハーレムRPGの勇者に異世界転生したけど俺、女アレルギーなんだよね。』『アースプラネットクロニクル』
高校生の結崎イクトは、人気スマホRPG『蒼穹のエターナルブレイク-side イクトス-』のハーレム勇者として異世界転生してしまう。だが、イクトは女アレルギーという呪われし体質だ。しかも、与えられたチートスキルは女にモテまくる『モテチート』だった。
* 挿絵も作者本人が描いております。
* 2019年12月15日、作品完結しました。ありがとうございました。2019年12月22日時点で完結後のシークレットストーリーも更新済みです。
* 2019年12月22日投稿の同シリーズ後日談短編『元ハーレム勇者のおっさんですがSSランクなのにギルドから追放されました〜運命はオレを美少女ハーレムから解放してくれないようです〜』が最終話後の話とも取れますが、双方独立作品になるようにしたいと思っています。興味のある方は、投稿済みのそちらの作品もご覧になってください。最終話の展開でこのシリーズはラストと捉えていただいてもいいですし、読者様の好みで判断していただだけるようにする予定です。
この作品は小説家になろうにも投稿しております。カクヨムには第一部のみ投稿済みです。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
チート狩り
京谷 榊
ファンタジー
世界、宇宙そのほとんどが解明されていないこの世の中で。魔術、魔法、特殊能力、人外種族、異世界その全てが詰まった広大な宇宙に、ある信念を持った謎だらけの主人公が仲間を連れて行き着く先とは…。
それは、この宇宙にある全ての謎が解き明かされるアドベンチャー物語。
転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。
みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい!
だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……
かの世界この世界
武者走走九郎or大橋むつお
ファンタジー
人生のミス、ちょっとしたミスや、とんでもないミス、でも、人類全体、あるいは、地球的規模で見ると、どうでもいい些細な事。それを修正しようとすると異世界にぶっ飛んで、宇宙的規模で世界をひっくり返すことになるかもしれない。
プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜
ガトー
ファンタジー
まさに社畜!
内海達也(うつみたつや)26歳は
年明け2月以降〝全ての〟土日と引きかえに
正月休みをもぎ取る事に成功(←?)した。
夢の〝声〟に誘われるまま帰郷した達也。
ほんの思いつきで
〝懐しいあの山の頂きで初日の出を拝もうぜ登山〟
を計画するも〝旧友全員〟に断られる。
意地になり、1人寂しく山を登る達也。
しかし、彼は知らなかった。
〝来年の太陽〟が、もう昇らないという事を。
>>>
小説家になろう様・ノベルアップ+様でも公開中です。
〝大幅に修正中〟ですが、お話の流れは変わりません。
修正を終えた場合〝話数〟表示が消えます。
魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~
月見酒
ファンタジー
俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。
そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。
しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。
「ここはどこだよ!」
夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。
あげくにステータスを見ると魔力は皆無。
仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。
「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」
それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?
それから五年後。
どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。
魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!
見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる!
「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」
================================
月見酒です。
正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。
魔双戦記アスガルドディーオ 神々の系譜
蒼井肇
ファンタジー
手に紋章が浮かび上がった。それは魔神イフリートの紋章だった。魔剣イフリートの継承者ファイは魔神剣士として、三大世界構造アスガルドに侵攻してくる魔王アガスラーマとの戦いの日々が仲間たちと始まる。
第三シリーズ始動。闇の王の戦いの末、魔族フォライーが現る。エトワル帝国の皇太子が復活の書というものを持っているのだが。
バトルファンタジー。
主人公ファイ、美剣士ヒョウ、魔法騎士キュラ。天才魔法使いエリュー、
戦いの絵巻は続いていきます。
連載再開です。応援よろしくお願いします。
(更新、滞っていましたが、毎日更新していきます。応援よろしくお願いします。キャラ、物語など気に入ってもらえたら、お気に入りお願いします)お気に入りありがとうございます。
読者様の応援が頼りです。読者様の応援が作者の書く気力にかわります。
第十章スタート! 復活するのか!
更新滞っていましたが、更新していきます。
*表紙キャラ、ファイ。
(ファウストプリンセス、∞インフィニティナイツにもファイ出てます。魔双戦記サイドストーリー)
魔双戦記とリンクしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる