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ごめんなさい、愛してる

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「騎士団長、綺麗です、愛してる……」
 羞恥で薔薇色に染まる乳房をこね上げながら、金の髪の魔導師が体の下の少女に囁く。長い栗色の髪を振り乱し、少女が虚しく脚をばたつかせた。
「やめろ、ふざけんな、これ、抜け、抜いてくれよぉ……っ」
「嫌ですよ……人生最高の瞬間なのに」
 ぎし、とベッドがきしんだ。涙で美しい顔を濡らした少女が、細い指でシーツを掴んでもう一度懇願した。
「やだ、もうやだ、抜けって、抜い……」
「……いいえ、騎士団長は今日から、女の子になるんですよ? 貴方を女の子にする魔法のために、僕がどれだけ苦労したと思うんですか」
 魔導師が白いやわらかな体をギュッと抱きしめ、小さな耳に囁きかける。泣きじゃくる少女の顔が、絶望に引き歪んだ。
「な、なんだよ、その魔法……んっ」
「もう団長の体は女の子です。感じるでしょ、だって、ほら、こんなに」
 ツンと尖った乳房の先をつままれると同時に、犯されている少女の体がびくんと跳ねた。
「ひぁ……っ」
「あ、中、締まった、はは、最高、です」
 魔導師の秀麗な額に汗が一滴流れた。
「思った通りだ、貴方は可愛い、騎士団長」
「やぁ、っ、動くな、動くんじゃねえ、っ!」
 大きな乳房を揺らし、少女が必死で魔導師の体を突き飛ばそうとする。
 だが、ほっそりした腕で男の体に抗うことは出来なかった。空に放り出された白い脚がゆらゆらと揺れ、女の切れ切れの泣き声が部屋に響き渡った。
「てめえ、ふざけたマネ、あ、ああ」
「大丈夫ですよ」
 少女の秘裂をねっとりと穿ちながら、魔導師はつぶやいた。
「僕の魔法は完璧です。一回僕の精を受ければ、貴方は心まで完全な女になれます」
「っ、やめろ、っ……抜いてくれよぉ……もう嫌だ、嫌だあああ!」
 犯されている少女は、泣き顔も、涙を拭うしぐさも、ひ弱な小動物のようで愛らしかった。魔導師は抵抗する気力を失いつつある少女の耳をそっと噛み、投げ出された手に、己の手を重ねた。
「騎士団長が悪いんです……僕のこと、男だから受け入れられないなんていうから。好きなのに。昔から僕が一番貴方を好きだったのに。だから仕方ない。貴方に女になってもらうしか無いんですよ」
「ひ、やぁあっ、なんだ、これぇ、ッ……」
 不意に走ったらしき快感に、少女が声を振り絞る。締めあげられる心地よさに陶然と目を細め、魔導師は情け容赦なく腰を動かし、少女の体を激しく突き上げた。
「やあぁ……っ! やだぁっ、やだ、出さないでッ……!」
 己の中で固く反り返った雄の感触に、少女が絶望の表情で首を振る。
「やだ、やだあ、なんでもする、なんでもするからぁ! やめてくれぇ……っ」
「やめられ、ません」
 魔導師が端正な顔をひきつらせた。
「やめないよ、好き、大好き、愛してる、団長。幸せにする」
「ひ、ぁ、やだ……」
「世界一格好良かったあなたが、世界一かわいい女の子になったんだ、一生大事にするから、ね……ッ、あ、は……団長の体、最っ高……っ」
 魔導師がしなやかな体を、不意に不自然に震わせた。
「嫌だァぁぁぁぁ……ッ!」
 大きく足を開かれたまま、少女が絶望の悲鳴をあげる。それから、信じられないものを見るように、大きな青い目で虚空を睨んだ。
「あ、う……うそ……だ……」
「……団長……好き……」
 汗だくの体で、魔導師がうっとりと呟く。
「術、完成しました……大好きです、世界で一番好き……」
 魔導師の白濁にまみれた少女の目から、どっと涙があふれた。
 少女は涙を流しながら、華奢な手で自分の乳房に、柔らかな臀部に、小さな顔に触れる。
 信じられないものを確認するように、少女は魔導師の体の下で、長い時間自分の体を弄(まさぐ)っていた。
「……ね? 女の子でしょ?」
 日が陰り始めた部屋で、魔導師が腕に抱いた少女に囁きかけた。
 栗色の髪の少女が、長い自分の髪を鷲掴みにする。
「女の子になったよね?」
 少女は答えない。だが、その沈黙が表しているのは、肯定であった。


「俺は女じゃねえぞ!」
 薔薇色のドレスに身を包み、愛らしく髪を結い上げた少女が、魔導師を睨みつけて叫んだ。
 少女が魔導師の精を受け、『身も心も本物の女』になって三日。
 女の服装は受け入れたくせに、頭の一部に、男だった頃の気持ちが残っているようだ。
 魔導師は少し首を傾げ、身をかがめて、怒っている少女にキスをした。
 少女が身を固くしながらも、その唇を受け入れる。
「お、お前にキスされても気持ち悪いっ……」
「可愛いです」
 蕩けるような笑顔で魔導師が囁きかけ、やわらかな体を抱き寄せた。
「ふ、ふざけんな、触んな」
「ああ、それにしてもなんて可愛いんだろう。好きです。僕はあなたがどんな姿でも好き。犬猫でも好きです。ただ獣姦はちょっと抵抗があるんですけどね。愛してます。もう一回キスしていい?」
「ダメに決まってるだろうが!」
 しかし少女の唇は、魔導師の遠慮のない唇で塞がれた。少女の抵抗はすぐに緩み、華奢な身体が魔導師の胸にことりとより掛かる。
 二人はしばし目を閉じ、お互いの唇を味わった。
「貴方も僕のこと、昔から好きでいてくれたんでしょう?」
 少女は答えない。
 だが、そのつややかな頬は珊瑚のように染まっている。
「でも、男同士で愛し合えば、問答無用で死罪ですからね。難儀な法律もあったものですよね……」
「知らねえよ、黙れ」
「ねえ、団長? 僕を許してくれるから、僕のことを殺さないでくれるんでしょう?」 
 部屋の隅に置かれた一式の男物の服を指さし、魔導師は問うた。
 その服は、かつて少女がまとっていた、この王国の騎士団の制服だった。
 服の上には、短剣と、長剣が並べて置かれている。
「あの短剣があれば、女の子の腕でも、僕くらい殺せますよね」
「ふ、ふざけんな、あんなもん、隠しとけ!」
 少女が細い腕でぐい、と魔導師を押しのけた。
 耳まで真っ赤にした少女の態度に、魔導師が幸せそうに目を細める。
「ごめんなさい。団長。僕が女になれればよかったんだけど……この魔法は自分にはかけられなくて」
 少女は振り返らず、ギュッと拳を握っている。魔導師は、優しい声で続けた。
「愛してる」
「うるせえよ」
「愛してる、団長……」
「だから、うるせえって言ってんだろ!」
 頑なに背を向けている少女を背中から抱きしめ、魔導師は泣き笑いの顔で言った。
「愛してる、愛してるよ……ずっと前から愛してる。こんな事して、ごめんなさい……」



「お前みたいなヘボ魔導師の術、いつ解けるかわかんないから、ッ、ちゃんとかけ直しとけ……っ」
「口の減らない人ですね……」
 向い合って膝の上に載せた少女にキスをして、魔導師はその裸の背中を抱き寄せた。
「あ、やぁ、っ、そこ、こすんな……ッ」
「……もうちょっと濡れないと、挿れるときに痛いですよね?」
「べ、べつに、そのままぶち込めば、いい……っ、ひぁっ」
「ダメ。貴方に痛い思いはさせられないから」
 少女の蕾に指を這わせながら、魔導師がもう片方の手で栗色の髪を撫でた。瞳も秘裂もうるませながら、少女が魔導師の胸にすがりつく。
「も、もう平気……」
「何が?」
 少し意地悪な魔導師の問に、少女がりんごのように真っ赤になった顔で答えた。
「も、もう濡れたから、平気だっ……」
「何が平気なんですか?」
 大きな目に涙を浮かべ、少女が魔導師を睨みつけた。
「い……」
「い?」
「挿れても……平気に……」
 少女の言葉に、何故か魔導師も真っ赤になる。魔導師と少女は、お互い吸い寄せられるようにキスを交わした。唇を離した後、少女がおずおずと腰を持ち上げる。魔導師はそのやわらかな尻に手を添え、蜜口に己の先端をあてがった。
「力を抜いて」
「だ、大丈夫」
「怖い?」
「なんだよ、気持ちわりぃな……大丈夫だって言っ……ん……」
 顔をしかめた少女の顎に手を添え、魔導師は小さな唇に己の唇を重ねた。
 少女はうっとりと目を閉じて魔導師の唇を受け入れ、痛みに一瞬顔を歪め、そのままゆっくりと体を沈める。
「っ、は、入った……大丈夫……ん、ふっ」
 執拗な魔導師のキスに、少女が苦痛と快楽混じりの息を漏らす。
「ふぁ、っ……あ、あ、あっ、動くなよぉ……っ、ぁ、変な声でる……っ」
「団長、すごい可愛い」
 くちゅくちゅと蜜音を立て、少女の体が魔導師のものを受け入れる。たわわな乳房の谷間に汗をにじませ、少女が背を反らせて声を上げた。
「あ、ああ……っ、なにこれ……なんか、変だ……ッ」
「気持ちいい、でしょ?」
 快楽から逃れようとする華奢な体を腕の中に閉じ込め、魔導師はその体を穿ちながら言った。
「それ、気持ちいい、っていうんですよ……」
「あ、あ、あーっ……」
 睫毛にしずくを宿らせ、少女が濡れた唇を震わせる。その熱い膣内が魔導師のものを激しく締め上げながら、痙攣した。魔導師は愛おしい小さな頭を肩口に抱え寄せ、栗色の髪に頬ずりした。
「もうイっちゃったんですか? ……可愛い……」
 女体化の禁呪の代償はたった一つ。
 術をかけた相手以外とまぐわえば、術者の体は四散する。
 だが、それでよかった。何もかもを歪めたとしても、この愛が欲しかったのだから。
「僕はまだまだ可愛がってあげられそうです」
「っ、あ……」
「愛してる」
 脱力した華奢な体を獣のように突き上げながら、魔導師は言った。
「この恋が叶うなら死んでもいいって思ってた。僕の命をあげてもいいと思った相手は、貴方だけだ」
 魔導師の告白に、腕の中の少女がびくりと体を揺らす。
 それから、少し怒った声で答えた。
「ば、か、てめえ、死ぬじゃねえだろ、長生きしろよ……ぶっ殺すぞ……」
 少女の細い腕が、魔導師の体を意外な激しさで抱きしめた。
 その熱さに、魔導師は一瞬言葉を失う。
 伝わってくる少女の激しい鼓動に、魔導師の目から、涙が溢れだした。
 ——生涯この人しか抱けないなんて、何て贅沢な人生なんだろう……。
 汗だくの体できつく抱き合いながら、魔導師はかすれた声で言った。
「はい、長生きしましょう……お互いに」
「あたり、まえだ……」
 愛おしさがこみ上げ、魔導師は理性を失ったように、膝の上の少女の体を揺すった。少女もまた、彼に応えるように不器用に体を上下させる。
 とめどなく高まる快楽に、魔導師は己の胸にあるただ一つの言葉を鸚鵡のように繰り返した。
「愛してます、愛して、ます……団長……」
「い、っ、あ、あ、やぁ……っ」
 吐精を受け、悲鳴を上げてのけぞる少女にくちづけをし、魔導師は心のなかでもう一度、つぶやいた。

 ごめんなさい。あなただけを一生愛してる。
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