結果的には愛してる

栢野すばる

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 ――っ、ふ……なるほど……これが女の感じる快楽か……
 閉じ合わされた襞の間にたくましい茎をねじ込みながら、オディロンは小さく唇を舐めた。
 圧倒的な違和感に身体をこじ開けられる。
 だが、その痛みは不快ではない。女を抱く時に散々味わった淫らな熱と同じような何かを伴っている。
「あ、あ、陛下……だめ……」
 鉄の棒のような硬度を誇るレイノルドのそれは、優しげな顔には似合わぬ立派な逸物だった。
 そのことも、オディロンに不思議な満足感を与えていた。
 オディロンは小さく息を吐きながら、痛みを無視してずぶずぶと身体を沈めた。
 反り返る肉茎の半ばまでを飲み込みながら、オディロンは組み伏せている男に尋ねた。
「……ふふ、どうだ、良いか? おなごの身体は初めてなのであろう?」
 まあ、自分も女になるのは初めてなのだが。
 半ば皮肉な気持ちで尋ねると、レイノルドはかすれた声で答えた。
「へ、陛下、お許しを……動かれると……出てしまいます……ッ」
 きらめく緑の目に涙をため、薄い引き締まった胸を上下させながら、レイノルドがいやいやと首を振る。
 オディロンの目には、その仕草はひどく子供じみて可愛らしく見えた。
「気にせずとも良い。お前から搾り取るためにしていることだ」
 下腹部の甘い疼きをやり過ごしながら、オディロンはゆっくりと柔らかな襞の間に肉茎を咥えこんでいく。
「……っ、ふ……」
 意図せずして小さな声が漏れてしまった。その声に、レイノルドの肉茎がひくんと反応した。
「へ、へいか……こんなお見苦しい……ああ、申し訳……っ」
 涙声のレイノルドにのしかかったまま、オディロンはついに根本まで彼のものを飲み込んだ。
 熱い塊で体の中を貫かれるのは、初めての感触だった。
 だが、悪くはない。
 ――動いてみるか……
 疼痛と、むず痒さと、その二つを凌駕するどろりとした官能が、オディロンの身体を突き動かし始めた。
 猛々しい雄を食んだまま、オディロンは華奢な身体をゆっくりと上下させる。
 ぐちゅぐちゅという淫らな音が、広い寝室に響き渡った。
 その音が、オディロンの下腹にわだかまった異様な熱をますます燃え立たせる。
「どうだ、童貞、感想を申してみよ」
 結合部を見せつけるように足を開き、オディロンは己の唇を舐めた。
「そ、そのような……陛下……いけません……ああっ……」
 レイノルドの白い肌にはうっすらと汗が浮いている。
 苦しげに胸を上下させ、顔をしかめていやいやと首を振る様子が、オディロンの嗜虐心に火をつけた。
 色が変わるほどに強く敷布をつかむ指をそっと外させ、レイノルドのしなやかな指に己の細い指を絡めた。
「おなごを抱く時は、こうして手を握って睦言の一つも囁いてやるものだ」
 オディロンはぬるつく花襞で、じらすように剛直を責め立てながら囁いた。
「あ、あ……陛下……へい、かぁ……」
 レイノルドの腰が浮き上がり、痩せた背中が反りかえる。
 オディロンの豊かな乳房のあいだに、汗が一滴流れる。
 身体の中で硬く反り返る感触が、オディロンに得も言われぬ甘美な痺れを与えた。
「良い。なかなか上手だ。もっと奥を突け……」
 あられもない音を立てて脈動する肉茎を擦り上げ、オディロンは喉声で呟く。
 気づけば、自分の方こそ、夢中になって男の体を貪っていた。
 貫かれる部分がひくひくと痙攣し、とめどなく蜜が溢れ出す。
「……っ、おい、童貞、いくときは思い切り、いけ。半端に我慢すると苦しいぞ?」
 オディロンはそう告げ、剛直を根本まで飲み込んだ後、硬い毛に覆われた恥骨同士をぐりぐりとこすり合わせた。
「あ、ああっ、陛下、陛下……申し、わけ……ッ」
 不意にオディロンの手を振りほどき、レイノルドがその細腰をガシリと掴んだ。
「ん……っ……」
 びくり、とひときわ大きく下腹がうねる。オディロンの薔薇色の唇から、短い息が漏れ出す。
 最奥を突き上げるそれが、オディロンの胎内で熱い飛沫を散らした。
 どくどくと音を立てんばかりに注がれるそれが、オディロンの蜜道を伝って滴り落ちるのがわかった。
「ん?」
 ふいにくらりと目眩がし、次の瞬間、僅かに世界が明るくなったような気がした。
 同時に、微かな羞恥心を覚えて、オディロンは剥き出しの乳房をそっと片手で覆う。
 白濁と愛液にまみれたまま、二人は見つめ合った。
「へ、陛下……あの……」
 何故だろう。妙に落ち着かない心地だった。
「この私が自ら抜いてやったのだ。やり方をしっかり覚えておけよ、童貞」
 言いながら、オディロンは容赦なく結合を解く。ずるりと抜け落ちる感覚が、例えようもない甘い疼きを生じさせた。
 身体が離れた瞬間、レイノルドが小さな声をあげた。
 オディロンは微かに頬を染めたまま、彼から目を背ける。
 ――私は……女に……なったのだな。
 何の違和感もなく、その事実を受け止めることが出来た。
 この身体は、この身体は、女のものだ。だからこそ、男の視線に肌を晒すことに恥じらいを覚えるのだ……
 オディロンは瞑目した。
 女体化の禁呪は、完成したのだ。
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