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獣人の生態調査
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変態狼から子作りの図鑑を手渡された思春期の少女は、詳細な性描写とその解説内容に嫌悪感を強く抱いてしまった。
残念なことに狼の下心ある思惑は大きく外れてしまったと言える。
「結婚したいけど、子作りの行為は無理」
こんな汚らわしいことできないと、図鑑をパタンと綴じる。
だが特殊な国で潔癖に育った王女はすぐに違う解決方法を考えて出した。
レイド様の子種を保存しておいて、子が欲しくなったらイシスに帰国し神殿で妊娠すればいいんだわ。
そうすれば、あんな図鑑にあるような卑猥なことをしなくても愛する人との子供が授かれる。なるほど、それでイシスの成人女性達も神殿を利用しているのね、と浅い推理をした。何分、王宮と学校しか知らない13才である。
既にレイドの子種は神殿に保管されている。
ずいぶんな量が溜まったので昨日、新しい腕輪に代えられたばかりだ。アーシェンもまだ知らないことだった。
いつもなら父が管理している、今は誰もいない書庫に赴き「狼獣人の生態」、「動物の発情期~哺乳類編~」、「番を語る」という専門家の本を見つけ、一読した後、父竜がいる神殿へ向かった。
「お父様、本日のお加減はいかがですか?」
日課になりつつある、聖水での清めと薬を塗布する。神殿に来てから父はずっと竜の姿のままだ。その方が治りが早いらしいよ、と博学なアレンに教えてもらった。確かに随分と鱗が回復してきている。
「うん。アーシェンのおかげで、もうほとんど痛くないよ」
アレンとウルシュには喧嘩ごしで愚痴ばかりこぼしいるが、娘には大変素直だった。父は娘と妻には甘いのである。
ちなみに肝心の番のノアは夫のことは完全無視で一度も見舞いに来ていない。
先日の蛮行にお怒りのままだ。
鱗の状態を見てもう必要なさそうだと思ったが、念のためいつものように体を拭き薬を塗る。
そんな優しい娘が、良くなってよかったです。と言いながら父に不思議な質問してきた。
「お父様、もしものお話なのですが。結婚しても伴侶に触れることができず、子供は神殿で作りましょうと言われたら、やはり男性は衝撃を受けるのでしょうか。その、特に竜人や獣人の方はどうなのでしょうか」
セーカは娘の質問の真意をすぐに汲み取った。
アーシェンはあの無駄にデカいだけの脳筋好色狼との、結婚生活に不安を覚えているのだ。
これはいい傾向だ。
「前に少し話したけど僕はノアに会って、もう召使いでいいから、側に置いてほしいって頼んだんだよ。普通の、まともな、常識的な、竜人や獣人なら、番が側にいてさえいてくれれば、触れなくても幸せなんだよ。イシスなら神殿で番との愛する子供を授かれる。これは人生で最高潮の幸せだよ。触るとか交尾とかは、有っても無くてもどうでもいいことなんだよ」
嘘八百をつらつらと言い、純粋な娘を洗脳する。
その後も、竜人や獣人の生態がいかに伝聞と違うか、専門書に書かれた実態とどう違うか大嘘を並べた。
「竜人獣人の中でも特に狼は我慢強く、下僕精神も強いんだ。番の希望なら尻尾を振って従うから、遠慮せずに命令してごらん」
アーシェンは授業を受けるように、真面目に父竜の話を聞いていた。イシスで人族以外と言えば、尊敬する父しかいなかったので信じているのだ。
アーシェンが婚約破棄か離婚してイシスに戻ってくることを想定して、父竜は自分の実体験は語らず、野獣皇太子に不利になるであろうことのみを伝えていった。
これも後でノア女王にバレ、更なる怒りを買うのだが・・・。
殺したいほど嫌いな狼から愛娘を引き離すために、竜は必死に講義を続けた。
残念なことに狼の下心ある思惑は大きく外れてしまったと言える。
「結婚したいけど、子作りの行為は無理」
こんな汚らわしいことできないと、図鑑をパタンと綴じる。
だが特殊な国で潔癖に育った王女はすぐに違う解決方法を考えて出した。
レイド様の子種を保存しておいて、子が欲しくなったらイシスに帰国し神殿で妊娠すればいいんだわ。
そうすれば、あんな図鑑にあるような卑猥なことをしなくても愛する人との子供が授かれる。なるほど、それでイシスの成人女性達も神殿を利用しているのね、と浅い推理をした。何分、王宮と学校しか知らない13才である。
既にレイドの子種は神殿に保管されている。
ずいぶんな量が溜まったので昨日、新しい腕輪に代えられたばかりだ。アーシェンもまだ知らないことだった。
いつもなら父が管理している、今は誰もいない書庫に赴き「狼獣人の生態」、「動物の発情期~哺乳類編~」、「番を語る」という専門家の本を見つけ、一読した後、父竜がいる神殿へ向かった。
「お父様、本日のお加減はいかがですか?」
日課になりつつある、聖水での清めと薬を塗布する。神殿に来てから父はずっと竜の姿のままだ。その方が治りが早いらしいよ、と博学なアレンに教えてもらった。確かに随分と鱗が回復してきている。
「うん。アーシェンのおかげで、もうほとんど痛くないよ」
アレンとウルシュには喧嘩ごしで愚痴ばかりこぼしいるが、娘には大変素直だった。父は娘と妻には甘いのである。
ちなみに肝心の番のノアは夫のことは完全無視で一度も見舞いに来ていない。
先日の蛮行にお怒りのままだ。
鱗の状態を見てもう必要なさそうだと思ったが、念のためいつものように体を拭き薬を塗る。
そんな優しい娘が、良くなってよかったです。と言いながら父に不思議な質問してきた。
「お父様、もしものお話なのですが。結婚しても伴侶に触れることができず、子供は神殿で作りましょうと言われたら、やはり男性は衝撃を受けるのでしょうか。その、特に竜人や獣人の方はどうなのでしょうか」
セーカは娘の質問の真意をすぐに汲み取った。
アーシェンはあの無駄にデカいだけの脳筋好色狼との、結婚生活に不安を覚えているのだ。
これはいい傾向だ。
「前に少し話したけど僕はノアに会って、もう召使いでいいから、側に置いてほしいって頼んだんだよ。普通の、まともな、常識的な、竜人や獣人なら、番が側にいてさえいてくれれば、触れなくても幸せなんだよ。イシスなら神殿で番との愛する子供を授かれる。これは人生で最高潮の幸せだよ。触るとか交尾とかは、有っても無くてもどうでもいいことなんだよ」
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アーシェンは授業を受けるように、真面目に父竜の話を聞いていた。イシスで人族以外と言えば、尊敬する父しかいなかったので信じているのだ。
アーシェンが婚約破棄か離婚してイシスに戻ってくることを想定して、父竜は自分の実体験は語らず、野獣皇太子に不利になるであろうことのみを伝えていった。
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