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ご紹介しますね、憧れのお姉様デス!

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 「灯火お姉さんはね、とても強くて優しくて、困っているひとを見ると放って置けない、とっても素敵なお姉さんです。」


 「よせやい、そんなんじゃないから。」


 いすずちゃんの知り合いでもある、このちびっ子メイドさんは、照れ隠しに後ろ頭を掻き出した。

 こんなやり取りから、この少女が悪い子では無いのが感じられる。

 よく見ると美人サンだし、俺から見てもの扱いには慣れている様で、ヤマトがゴロゴロ喉を鳴らして彼女に擦り寄っている。

 少なくとも、俺たちには敵意は無い様子。

 「…ソレで、こちらの可愛いのが、ニィちゃんの姪っ子で、ソッチの可愛いのがの保護対象か。

 うん、了解した。」


 「…その【保護対象】って、何すかね?」

 心配になって質問する俺、

 「ん、あぁソレな。

 自分の不利になるモンは早めに処分しようとする【連中】が来るかも知れないんでな。

 そのボディーガードに来たんだ、まぁ大元はさ、【別働隊】がシメてくれたそうだが、警戒のアミから漏れた奴を私が〆る事になった。

 なんで、しばらくココにいるからヨロしくな。」

 「…はぃ?」

 「京多クン、私からもよろしくお願いします!

 この人に任せておけば、マルっと解決だから!」


 何か良くわからないが、コトリさんと斗真兄さんも頭を下げて来たので、するしかなかった。


 「その代わりと言ってはなんだけど、子守に飯の支度は手伝ってヤルぜ。

 慣れてるからな!」


 

 有言実行とはこの事ってくらい、灯火お姉さんは色々と手伝ってくれた。

 特にエイジには【喧嘩の極意】的な事を伝授してくれたみたい?

 俺も姫乃サンも夕飯の支度とか大分助けてもらい、特に姫乃サンは料理のレパートリーが増えたと喜んでいる。


 もう一人姉が増えた様な気分だ。


 

 しばらくして、近所で不審者が捕まったとかで、ウワサになっていた。

 あと、最近やたらとご近所で美人なお姉さんとすれ違う様にもなった?
 

 まぁ関係ないだろう、ウチとは?



 「上から連絡があった。

 もう大丈夫だってさ。」


 灯火お姉さんが申すには、ルナさんの義父に、これ以上に関わらない様にさせたそうだ?

 手切れ金に三千万踏んだ食って?

 (ソレが多いのか、少ないのかは何とも言い難いけど?)

 「コッチの子供たちはソレで、話しは付けてきたってさ。

 まぁ、他にもややこしい事になっている【隠し子】が大勢いる様だからな、その子らの事を考えたら早々に解決出来て良かったのかもな?」



 …俺には良くわからないが、ソレを聞いているルナさんは泣きながら灯火お姉さんに抱きついてお礼を言っていた。


 「実はさ、アタシの実の母は孤児で、アイツから色々と援助を受けていたらしいんだ。」

 ルナさんが今まで話してくれなかった事情を少しだけ話してくれた。

 「…もしかして、ルナさんの父親って?」


 「違う違うよ!

 本当の父ちゃんは、母さんの中学の担任でさぁ、卒業後も色々と親身に相談に乗ってくれてるウチに…

 で、アタシが産まれたんだわ。」

 …なんか甘酸っぱい青春劇があったのかな?


 「…その先、聞いても?」

 「いいよ、ケイちゃんや姫ちゃんたちには聞いて欲しいかな?」


 「…ソレ、長くなるなら後にしてくれ。

 コッチの話しを先に済ませたい。」


 「ど、どうぞ。」


 「お前さんたちが気が付かないところで、この場所にちょっかい出して来た奴らがいてな、


 私と【警備隊】が内密に対処していたんた。

 私らの活躍を知っているのは、ヤマトとその友達ぐらいだな?」


 「へ、ヤマトが?」

 「ふにゃん!」


 …ヤマトがドヤ顔している⁈

 何があったんだ、本当に?


 「…なので、私は本来の仕事に戻る、あばよ。」

 そう言って何処かに行こうとするちっこいメイドさん⁈


 「えぇ~、そんなの寂しいよ~⁈

 なら、せめて【お別れ会】しようよ!」

 「こ、コラ!

 ヒカリ、離せ!

 スカートが脱げるだろ!」


 光里がメイド服の裾を掴んで離さない?

 「そうですわ、灯火サン!

 いきなりお別れなんて酷いですわ!」

 「こ、コラ!

 お前も離せ、姫乃~⁇

 あぁコラ、変なトコ揉むな~!」


 全身で灯火を抱きしめて離さない姫乃サン⁈

 変なトコって、何処なんだろ、ワクワク?

 「君は何をそんなにワクワクしているのかね、ケイくん?」

 「いや、灯火サンの【絶対領域黙示録】が露わに…って、さ、咲さん⁈」


 「そうか、ケイ君は【メイド萌え】のヒトだったのか?

 なら、自分も一度【メイド服】を着用して、ケイ君を萌え萌えさせてみたいな?

 そうだ衛、撮影用の衣装にメイド服は無かったかな?」


 「そんなな服なんて、普段から用意して有りませんから!」


 まもちゃんサンまでいらっしゃるとは⁈


 「ケイ君、あの愛らしく凶暴そうな少女は誰かな?

 しばらく顔を見せない間に、随分と賑やかになっているではないか?」

 「そう言う咲さんこそ、今まで顔を出して…


 ん、咲サン…失礼ですが


 太りました?」


 …聞いてはいけないと思いつつも、長年のお付き合いで遠慮が俺。


 あの細身でモデル体型の咲さんがなんか気持ち太く見える? 

 顔もなんかやや丸みが…えっ、どゆこと?

 「へぇ、さすがだね京多くん?」

 「うむ、さすがは我の弟分だな、姉の体型を服の上からも気がつくとは!」


 「…咲ちゃん、もしかして【幸せ太り】?  …つまり、いわゆる…⁈」


 何かに気が付いたルナさん、微妙に言葉を選んでいる?

 俺も何となく気が付いた⁈


 「さ、咲お姉様、おめでとうございます!」

 姫乃サン、灯火お姉さんを解放して咲さんに駆け寄った!


 「ナニナニ、どうしたの?」

 光里はわかって無い様子なので、いすずちゃんが、


 「あのね光里ちゃん、咲お姉さんはね、【おめでた】なの。

 お腹に赤ちゃんがいるの。」


 「…咲お姉さん、ママになるの⁈

 じゃあ、パパは…まもちゃんだよね?」


 「当然だ、光里よ!

 しかし、もう二人も赤ん坊がいるとは、嬉しくも無いだろう?」


 「そんな事ないよ‼︎

 光里、赤ちゃん大好き!

 ねぇねぇ、男の子?女の子?」


 「いや、まだ三か月になったばかりだし、わからないのだ。

 大体、四か月くらいで分かるらしいが…光里はどちらが良い?」


 「元気に産まれてくるなら、どっちでも可愛い!」


 「さすが光里だ、満点の回答だぞ!」


 「…兄ちゃん、なんかオレエイジ、ワクワクしてきたぞ!」


 「お前は何処の【野沢雅〇サマ】か?

 まぁオレもだけど。」


 「あ~、もう分かった!

 もう今すぐ帰るとか言わねーよ!

 ソレにこんだけ色々出揃ったら、【宴】でも開くか!

 【宴】の準備こそ、【メイド】の本領発揮だからな!

 あのさ、私の同僚も招いていいか、あいつらもこの辺りの警備で色々世話になってるからさ?」

 「同僚サンですか?」

 「強いのか⁈」

 だから何処の…いや、もういい。


 「私ほどじゃねぇけどな。」


 …どんだけこの地域に危機が迫っていたんだろう?

 「と言う事は、咲お姉様のご懐妊祝いと灯火サンの送別会ですね!」

 「ソレとのな。」


 姫乃サンの言葉に続く様にルナさんが付け加えた。


 「厄介ごとが片付いたんだ、ソレにまとまった金が入る事だし、ついでだから私たちもこのウチを卒業するよ。」


 突然別れを切り出すルナさん!

 そこへ、

 「アンタらなら、別にずっと居ていいわよ。

 もうルナちゃんたちは【ウチの子】だと思ってたし、何なら一人くらい【養子】に置いて来なさいよ。」

 「…色々ややこしくなるから、黙っててよ、母さん!」

 一階が騒がしいので、二階の仕事場から降りて来た母、満更冗談でもない様だ?

 多分ルナさんはもちろん、エイジやケンタが可愛くて仕方ないのだろう?


 「…アハハ、ママさんのお気持ちは嬉しいけど、オバサンの事も心配だし、
 ソレに私はともかく、姫ちゃんやピカりんと【一つ屋根の下】だと、思春期の弟たちが色々辛そうなんでね…な?」

 「な、何言ってるんだよ、姉さんは⁈」

 拓磨クンが真っ赤な顔して抗議している?

 キミ、どっちに萌え萌えしていたのだ?

 「…ボク、姫お姉さんとお別れしたくないよ…。」


 「け、健太くん!」


 そう言えば、『弟が出来たみたいデス!』と言って、よく健太の事ハグしてたな、姫乃サン⁈

 光里でハグ癖がついてるかならなぁ~?

 「なら、ご近所に引っ越してくればいいんじゃない?

 この辺、空き家とか割と多いし、調べて見なよ?」

 …確かに?

 「…ソレ、いいかも?

 【スープの冷めない距離】ってヤツだよね!

 さすがママさん!」

 何だよ、その【スープの冷めない距離】って?

 飯たかる気満々だな⁈

 まぁ良いけど。


 「…よし、そう言う事だ!

 京多、日取りとかオマエに任すからな!」

 「ハイハイ。」

 後から出て来て、横暴な母さんめっ!

 本当にめんどくさいな、毎度の事ながら。



 (もうすぐ最終話です。)

 
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