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〜気になる人、どなたですか?
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「喜多見 紳さんですか?」
最近はあの公園を学校帰りに訪れる様になった。
園内の植え込みのツツジの木の下から野良猫が顔を出していたので、この猫が声をかけて来たのかと勘違いしそうになった。
「そうだけど、キミは?」
話しかけて来たのは猫では無かった、
「【北代 優斗】と言います。」
肩にあの【虎丸】を乗せた少年が声をかけて来たのだ⁈
「この猫の飼い主になります。
ちょっとお話し良いですか?」
「まぁ良いけど?」
ちょい独特な雰囲気の有る少年だ?
中学生くらいだろうか?
取り敢えず、公園のベンチに腰掛けて話しを聞く事にする。
「…で、何の用かな?」
「すいません、いきなりで。
ウチの姉たちがキタミさんとは親しくしてあげて欲しいって言うモノデスから。」
「お姉さんたちが?」
誰の事だ、サッパリだ?
「一人は猫カフェの店長をしていて、先月に三条サンのお家で行われた【譲渡会】で会ったそうですよ。」
優斗君の顔を見て、なんとなく思い出した?
「あのお姉さんかな?
明るくて可愛い感じの美人サンで、フットワークが軽いポニテの…」
割と覚えてたな?
「ええ、その人です。
ソレともう一人は【フウナ】って名前なんですけど…
人前では最近、メイド服を着ていることが多いですね?」
メイド服…フウナ…ん?
…んんっ⁈
ま、まさか俺の秘密を知っているのか?
「フウナはウチの飼い猫なんです。
僕が赤ん坊の頃から住み着いて、姉の様に幼い僕の面倒を見てくれた事も有ります。」
ど、どうしよう?
コレ、絶対バレてるよな?
「…あ、あの、優斗くん?」
「安心して下さい、秘密を盾に脅すとかでは有りませんから。」
「…それじゃあ何かな?」
「ギブアンドテイクですよ。」
「ぎ、ギブアンドテイク?」
「僕、【予知能力】が有るんです、かなり断片的なんですけど。」
「えっ?
マジでっ!」
「はい、マジです。
予知した事は絶対起こるんです。
今までは…
ところが、ある事故だけ起こらなかったんです。
どうやらアナタが関係していた様です。」
「えっ、俺が?」
一体何の事件だ?
「この公園である女性が【焼身自殺】をしたんです。
僕の【予知】では…
あの公衆トイレで灯油をかぶって…
トイレは焼け落ち、園内には新しく【多目的トイレ】が新設され…」
「えっ、あのトイレって、そんな理由で建て替えられたの⁈」
「いえ、そうじゃないんです。
僕の【予知】だとトイレは公園の入り口すぐ横に設置されて、元の場所は新たに【花壇】が出来たんです。
人が亡くなった場所にトイレを建て直すのに、抵抗が有ったのかも知れません。
でも、事件は起きずに老朽化したという事で元の場所に【多目的トイレ】だけが…
【予知】が外れるのは良いんですよ、不幸な事故や事件が起きなかったのだから!
なら、何故【予知】が外れたのか?
ソレを調べていました。」
「ソレ、俺が何か関係有るの?」
「キタミさん、猫たちにパトロールを頼んだでしょ?
もしかしたら、ソレが関係しているかもしれませんよ?
ココ、夜になると【猫の集会】が行われているんですよ、最近は参加する猫が増えてるみたいですから。」
なんか楽しそうに話す少年、最初は少し怪しかったが、今は不思議と安心して会話している?
何でだ?
「猫の集会の参加数が増えたの、俺関係有るかなぁ?」
「パトロールを始めた事で、互いに情報交換とか交流が増えて、この地域の猫達の【結束力】が上がったんですよ。
つまり、キタミさんのお陰です。」
…なんか違和感があるな?
「う~ん、その「キタミ」さんってのはやめてくれない?
【シン】で良いよ。」
「じゃあ【シンさん】で。」
「そんな貧乏旗本の三男坊みたいなのはやめてくれない?」
「もしかして時代劇好きですか?
なら、どう呼んだら?」
「優斗くんって今幾つ?」
「十四です、中学二年ですけど?」
「三つ差か…なら、『シン君』で良いさ。」
「ソレで良いんですか、なら…シン君、
早速なんですが教えてもらえませんか?」
「な、何かな?」
「何故こんな事をしているかの理由です!
どうも【虎丸】や【フウナ姐さん】に聞いても、肝心なトコロがわからないですよ?」
「フウナ姐さんは分かるけど、虎丸くんと話せるの⁈」
人間に変身出来るから会話は可能だよな、でも虎丸は?
「…アレ、もしかして優斗くんも猫と話せたりするとか?」
「…何を言っているんですか?
僕が猫と話せる訳無いじゃないですか?
【リリ】じゃないんだし?
…もしかして、シン君は動物と話せるとか?」
情報の擦り合わせって、やっぱり必要だな?
俺は優斗くんを信じて、全てを打ち明けた!
すると優斗くんは奇妙な事を言い出した?
「…それってつまり、
シン君のご家族全員が転生したって事ですよね?」
えっ?
なにそれ?
最近はあの公園を学校帰りに訪れる様になった。
園内の植え込みのツツジの木の下から野良猫が顔を出していたので、この猫が声をかけて来たのかと勘違いしそうになった。
「そうだけど、キミは?」
話しかけて来たのは猫では無かった、
「【北代 優斗】と言います。」
肩にあの【虎丸】を乗せた少年が声をかけて来たのだ⁈
「この猫の飼い主になります。
ちょっとお話し良いですか?」
「まぁ良いけど?」
ちょい独特な雰囲気の有る少年だ?
中学生くらいだろうか?
取り敢えず、公園のベンチに腰掛けて話しを聞く事にする。
「…で、何の用かな?」
「すいません、いきなりで。
ウチの姉たちがキタミさんとは親しくしてあげて欲しいって言うモノデスから。」
「お姉さんたちが?」
誰の事だ、サッパリだ?
「一人は猫カフェの店長をしていて、先月に三条サンのお家で行われた【譲渡会】で会ったそうですよ。」
優斗君の顔を見て、なんとなく思い出した?
「あのお姉さんかな?
明るくて可愛い感じの美人サンで、フットワークが軽いポニテの…」
割と覚えてたな?
「ええ、その人です。
ソレともう一人は【フウナ】って名前なんですけど…
人前では最近、メイド服を着ていることが多いですね?」
メイド服…フウナ…ん?
…んんっ⁈
ま、まさか俺の秘密を知っているのか?
「フウナはウチの飼い猫なんです。
僕が赤ん坊の頃から住み着いて、姉の様に幼い僕の面倒を見てくれた事も有ります。」
ど、どうしよう?
コレ、絶対バレてるよな?
「…あ、あの、優斗くん?」
「安心して下さい、秘密を盾に脅すとかでは有りませんから。」
「…それじゃあ何かな?」
「ギブアンドテイクですよ。」
「ぎ、ギブアンドテイク?」
「僕、【予知能力】が有るんです、かなり断片的なんですけど。」
「えっ?
マジでっ!」
「はい、マジです。
予知した事は絶対起こるんです。
今までは…
ところが、ある事故だけ起こらなかったんです。
どうやらアナタが関係していた様です。」
「えっ、俺が?」
一体何の事件だ?
「この公園である女性が【焼身自殺】をしたんです。
僕の【予知】では…
あの公衆トイレで灯油をかぶって…
トイレは焼け落ち、園内には新しく【多目的トイレ】が新設され…」
「えっ、あのトイレって、そんな理由で建て替えられたの⁈」
「いえ、そうじゃないんです。
僕の【予知】だとトイレは公園の入り口すぐ横に設置されて、元の場所は新たに【花壇】が出来たんです。
人が亡くなった場所にトイレを建て直すのに、抵抗が有ったのかも知れません。
でも、事件は起きずに老朽化したという事で元の場所に【多目的トイレ】だけが…
【予知】が外れるのは良いんですよ、不幸な事故や事件が起きなかったのだから!
なら、何故【予知】が外れたのか?
ソレを調べていました。」
「ソレ、俺が何か関係有るの?」
「キタミさん、猫たちにパトロールを頼んだでしょ?
もしかしたら、ソレが関係しているかもしれませんよ?
ココ、夜になると【猫の集会】が行われているんですよ、最近は参加する猫が増えてるみたいですから。」
なんか楽しそうに話す少年、最初は少し怪しかったが、今は不思議と安心して会話している?
何でだ?
「猫の集会の参加数が増えたの、俺関係有るかなぁ?」
「パトロールを始めた事で、互いに情報交換とか交流が増えて、この地域の猫達の【結束力】が上がったんですよ。
つまり、キタミさんのお陰です。」
…なんか違和感があるな?
「う~ん、その「キタミ」さんってのはやめてくれない?
【シン】で良いよ。」
「じゃあ【シンさん】で。」
「そんな貧乏旗本の三男坊みたいなのはやめてくれない?」
「もしかして時代劇好きですか?
なら、どう呼んだら?」
「優斗くんって今幾つ?」
「十四です、中学二年ですけど?」
「三つ差か…なら、『シン君』で良いさ。」
「ソレで良いんですか、なら…シン君、
早速なんですが教えてもらえませんか?」
「な、何かな?」
「何故こんな事をしているかの理由です!
どうも【虎丸】や【フウナ姐さん】に聞いても、肝心なトコロがわからないですよ?」
「フウナ姐さんは分かるけど、虎丸くんと話せるの⁈」
人間に変身出来るから会話は可能だよな、でも虎丸は?
「…アレ、もしかして優斗くんも猫と話せたりするとか?」
「…何を言っているんですか?
僕が猫と話せる訳無いじゃないですか?
【リリ】じゃないんだし?
…もしかして、シン君は動物と話せるとか?」
情報の擦り合わせって、やっぱり必要だな?
俺は優斗くんを信じて、全てを打ち明けた!
すると優斗くんは奇妙な事を言い出した?
「…それってつまり、
シン君のご家族全員が転生したって事ですよね?」
えっ?
なにそれ?
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