俺、お兄ちゃんにナリます！ 異世界妹が出来ましたよ⁈

フランさんの不安？

　　富士見ケミカルの【五つ塚工場】では【来訪者】の雇用にかなり積極的だ。


　実際、様々な異世界から転移して来たのがエルフやドワーフばかりではなく、普通の人間ヒト種の方が圧倒的に多いのだ。

　しかも、以前居た世界よりもコチラでの生活を希望する人が殆どで、【ヒト種】だけに限って言えば、元の世界に帰りたいと切望する人があまりいない事に正直【政府】が驚いているくらいだ。


　その理由の一つに、【元の世界】に待っている人、残してきた家族などが居ないと言う事だ。

　稀なケースだと一家全員で転移してしまったなんて事もあったくらいで、態々危険を犯して元の世界に帰ろうとは思わないらしい？　　

　偶然にも同じ条件で【異世界転移】したとしても、どこに転移するかわからない、安全な場所に転移出来るとは限らないのだから？

　着いたらゴブリンの巣穴の中とか戦場のど真ん中、ドラゴンのお腹の中なんて事もあり得るかも知れない？

　そして特に皆が口を揃えて言うのが、元の世界との【生活レベル】の違いを理由にしているのだ。
　環境の衛生面や食の充実さ、そして治安の良さだそうだ。

　この事象は【組織】でも調査中で、あるデーターが出ている様だ？

　
　その辺りの事情はひとまず置いておき、異世界から来た普通のヒトたちを雇用する企業が増えてきていると言う事だ。

　特に【工場】などが人気の様で、次が以外にも【農家】だ。

　工場の仕事は一度覚えれば、さほど苦にならないそうだし、農家の仕事も【来訪者】の中には元【農奴】と言う人も多かったのだ？

　お陰でウチの町の人口はウナギ登りだとか？




　「…そう聴いていた…のに、今更…？」

　「す、すいません！

　じ、上司が【来訪者】の皆さんにコチラの【学校】に通ってもらい、【一般常識】や【義務教育】を学んでもらってから【就職】するべきだと提案されまして…。」


　この度、富士見ケミカルの【五つ塚工場】では大勢の【来訪者】を採用するハズだった！

　ソレに備えて【独身寮】なども増築し、近隣に下宿先も手配していたのだ！

　ソレを急に…

　「…事前になんの…相談も無しに…酷くないですか？」


　教育が必要なのはフランや会社も理解出来る、何なら工場内に学習施設も増築し、希望者には自由に学んでもらえる様にする事は可能なのだが……？

　「…実は【組織の施設】内で行った基礎教育だけでは、この世界に永住を希望されてる方々には不十分だとご指摘が有って…」


　言いたい事はわかる、確かに不十分な知識や認識で【来訪者】の方が不本意にトラブルを起こしているらしい。


　しかし、だからと言って、来週には工場に就職してもらう人を全員ピカピッカの新入生にするのは、少し横暴では無いだろうか？

　当の本人たちは了承しているのか？


　今現在、工場の【来訪者関係】はフランさんが担当している、但し（仮）だそうだ？

　東京の本社でも、実のところは未知なる存在でもある異世界人とコミニュケーションを取る事にやや難色を表している古参の役員が、複数の異世界人の友人がいる【会長の孫娘】に責任の大半を任せているのだ！


　「…わかりました、…その上司サンと…ワタシが直接お話しします。」


　「ほ、本当ですか、助かります！」

　「…えっ？」


　「いや～、本当困ってたんですよ、コチラもいきなり上司から提案されたモノで！

　特にココ【五つ塚地域】は【来訪者】サン移住のモデルタウンに選ばれているので、地元の方が意見してくれるなら…」


　「…えっ⁇」


　どうやらその上司サンは【困ったちゃん】なのかしら？

　「あ、あの～？」


　「実はウチの上司、近々あるホームパーティーに呼ばれてましてね？」

　「…えっと、聞いてます？」

　「そこに、その上司も頭が上がらない方々がいるんですよ！」

　「…だから何ですか？」


　「そこに乱入してもらえませんか？」


…と、【政府の組織】の人事担当サンから悪巧みを持ちかけられた⁈

　…えっと、そういう事ならやぶさかでは無いが…

　「…もしかして、…その…ホームパーティーって、…日野サンのお宅で…」

　自分も招待されているのだけど？


　「いやぁ～よくご存知で！」


　突然気分が悪くなるフランチェスカさんなのでした…。