上 下
8 / 224
第1章 異世界確認

第3話 命の危機!

しおりを挟む
基本的なスキルの検証をして、身体強化で逃走することが出来そうだと想定はした。ポーションを作成したので怪我をしても、回復方法の目途も出来た。

次は逃げれないことも考えると、やはり最低限の攻撃手段が必要だと考える。

武器を練習してみるかぁ。

ストレージから剣を取り出してみる。
想像以上に思ったより重量はあるが、片手で振ってみたが身体強化のお陰なのか問題なく振ることは出来た。

記憶にある剣道の真似事をしてみるが、ハッキリ言って違和感しかない。どう考えてもこれで生き物を殺すことなど出来そうにない。

剣をストレージに収納すると、今度は槍を出してみる。
槍を構えて突き出してみるが、やはり違和感しかない。振り回してみるが知識もないので、変な踊りでもしている感じになってしまう。

他にも神々に用意して貰った武器を試すが、一番しっくり来たのは鉈であった。
でも生き物を殺すためと言うより、雑木林の整備で使っていただけなので、細い木や枝を切ることは出来るが、それ以上は難しそうだ。

やはり武器を持って戦闘するなど無理そうだし、やりたいとも思わない。

どうせ武術も初めてなら、魔法で挑戦してみるかぁ。


竈の修復に土魔法を使った時に、この世界の魔法はイメージすれば、どんな魔法でもイメージ通り作れそうだ。もちろんレベルに応じて出来ることの制限はありそうだ。

まずは目の前に意識を集中して石の塊を出そうとイメージする。
大量に魔力を消費するのがハッキリとわかる。思ったより簡単に目の前に拳大の大きさの石が魔法陣の上に実体化する。しかし、気を抜いた拍子に石は地面に落ちて砕けると砂になってしまい、すぐに実体化が解けてしまう。

魔法で作った物質は予想より脆い事や、すぐに消えてしまう事が判明した。さらに消える時に赤い靄のようなものに変化した事も判明した。

それから何度も作って検証してみる。出来るだけ圧縮して強度をあげたり、形を銃弾のようにしたりする。その時に表示される魔法陣をスマートシステムの『記録』アプリの『写真』で撮影して記録する。

撮影した魔法陣を分析して、圧縮率の変更や形の成型を魔法陣にどう反映させるか解析して、理想的な弾丸を作る魔法陣を完成させる。

やたら空腹を感じたのでMPの残量を確認すると、残り3割ほどまで魔力が減っていた。

果物の盛り合わせをストレージから出して食べながら、予想以上に魔力効率が悪いと感じた。理想的な弾丸を作るだけで、このMP消費力だとすると、この弾丸を発射するとあとどれくらいMPが必要になるのか不安になる。

MPが9割ぐらいまで回復したので建物を出て、道の反対側にある草原に向かって、弾丸を撃ちだすイメージで魔法を発動する。

弾丸は草原までは届いたが、すぐに失速して地面に落ちてしまう。更に早く撃ちだすイメージで何度も試して、魔法陣の速度を早くする部分が判明する。

しかし早く撃ちだすことは出来るが、飛距離は思ったほど伸びないし、予想以上にMPが消費してしまう。

やはり銃弾なら回転を与えてやろうと考えて撃ちだすと、弾丸スピードも直進性も非常に良くなる。

更に細かく分析しようと『魔力感知』を常時起動にすると、視界が一変する。世界が赤い霧の中にいるようになり、部分的に濃い部分が有ったりする。

この赤いのが、たぶん魔力なんだろうな。

その状態で弾丸を撃とうとすると、狙いをつけた指先から赤い魔力が噴き出すように出て魔法陣を形作ると、更に魔法陣から赤い魔力が噴き出して弾丸を形成すると、赤い渦を作って弾丸が撃ちだされる。

何度か試して確認していると、元々漂っている魔力を利用できないかと考え始める。

今度は空気中に漂う魔力を利用するイメージで弾丸を発射すると、狙い通りに魔法陣に空気中の魔力が流れ込むのが確認でき、3割ほど消費魔力を減らすことが出来た。

それから様々な工夫をして何種類かの魔法陣を完成させる。

『軽魔弾』 … 威力弱、射程10メル、連射0.5秒(1)、MP200
『中魔弾』 … 威力中、射程15メル、連射1.5秒(3)、MP500
『重魔弾』 … 威力強、射程20メル、連射3.0秒(8)、MP1000
『遠魔弾』 … 威力豪、射程50メル、連射9.9秒(30)、MP3000

威力や連射性、消費魔力を考えて実戦で試してみないと効果は良く分からない。空気中の魔力を利用する『軽魔弾改』のMP消費量は半分になるが、連射するのに(1)秒必要になるので連射性は落ちる。

実戦で試す前に属性を火の属性にして試してみる事にする。魔法陣を『記録』から『メモ』に転写して編集していく。『軽魔弾』を火属性に変更する。

火属性の『軽魔弾』を撃ちだそうとすると、頭に激痛が走った。

一瞬で意識が暗くなるように暗転して、建物の入り口付近に倒れてしまった。


どれくらい意識を失っていたのかわからないが、目を開こうとすると頭が痛くて目を開ける事が出来ない。

目を開くことなくスマートシステムを開いてステータス確認すると、HP11と相当減っている。

もしかして、これでも回復したのか?

ポーションを飲もうと思うが、手を動かすことが出来ない。

口の中にポーションを直接出せないかな?

試してみるとポーションは出せたが、大半は口から漏れてしまったし、飲み込もうとすると頭に激痛が走った。それでも無理やり飲み込むと、少し頭痛が治まった。

何度も繰り返すうちに目が開けられるようになり、次に起き上がれるようになると、普通にポーションを飲めるようになると、すぐに体調が良くなる。

すでに周りは真っ暗になっていたので、灯《ライト》を使い建物の中に入ると、テーブルに座って気持ちを落ち着かせる。

テーブルの上に手を置いていたが、ブルブルと震えている。

意識が無くなる寸前に視界が真っ暗になり、頭が割れてしまったと感じるほどの痛みの中で、間違いなく死を感じていた。

意識が戻った後も、ただひたすらに死にたくないという思いで、必死に回復手段を模索して実行した。

胸いっぱいに息を吸い込み、思いっきり息を吐きだすと、少し落ち着いて来る。

よく見ると視界の下の方に、

『神託にメッセージが届きました。(4)』

と表示されていた。

叱られそうだよなぁ……。


転子(転生の女神):
──────────────────────────────

お・ろ・か・も・のぉーーーーー!

──────────────────────────────

みこと♪(生命の女神):
──────────────────────────────

あなたは転生して1日も経っていないのに、

死にたいのですかぁーーーーー?

あなたは馬鹿ですか!?

命は大切にしてください!

──────────────────────────────

転子(転生の女神):
──────────────────────────────

禁忌を犯すなぁーーーーー!

──────────────────────────────

まぁーこ(魔の女神):
──────────────────────────────

所持していない属性魔法スキルを無理に利用する事は禁忌となる行為です。
絶対に侵してはならない行為になります。
耐性スキルがなければ即死していたでしょう。

まさか禁忌を侵す行為が可能だった事の方が驚きです!

──────────────────────────────


相当危険な行為だったようだ。
システム開発でも予想外のバグは発生するものだが、さすがに命の危険はなかった。

まぁ、原発とかのシステムなら危険かもなぁ。

精神的に疲れたし、今日はもう寝よう!
しおりを挟む
感想 154

あなたにおすすめの小説

人類最強は農家だ。異世界へ行って嫁さんを見つけよう。

久遠 れんり
ファンタジー
気がつけば10万ポイント。ありがとうございます。 ゴブリン?そんなもの草と一緒に刈っちまえ。 世の中では、ダンジョンができたと騒いでいる。 見つけたら警察に通報? やってもいいなら、草刈りついでだ。 狩っておくよ。 そして、ダンジョンの奥へと潜り異世界へ。 強力無比な力をもつ、俺たちを見て村人は望む。 魔王を倒してください? そんな事、知らん。 俺は、いや俺達は嫁さんを見つける。それが至上の目的だ。 そう。この物語は、何の因果か繋がった異世界で、嫁さんをゲットする物語。

異世界無宿

ゆきねる
ファンタジー
運転席から見た景色は、異世界だった。 アクション映画への憧れを捨て切れない男、和泉 俊介。 映画の影響で筋トレしてみたり、休日にエアガンを弄りつつ映画を観るのが楽しみな男。 訳あって車を購入する事になった時、偶然通りかかったお店にて運命の出会いをする。 一目惚れで購入した車の納車日。 エンジンをかけて前方に目をやった時、そこは知らない景色(異世界)が広がっていた… 神様の道楽で異世界転移をさせられた男は、愛車の持つ特別な能力を頼りに異世界を駆け抜ける。 アクション有り! ロマンス控えめ! ご都合主義展開あり! ノリと勢いで物語を書いてますので、B級映画を観るような感覚で楽しんでいただければ幸いです。 不定期投稿になります。 投稿する際の時間は11:30(24h表記)となります。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

称号は神を土下座させた男。

春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」 「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」 「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」 これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。 主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。 ※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。 ※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。 ※無断転載は厳に禁じます

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ

Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_ 【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】 後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。 目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。 そして若返った自分の身体。 美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。 これでワクワクしない方が嘘である。 そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

転封貴族と9人の嫁〜辺境に封じられた伯爵子息は、辺境から王都を狙う〜

HY
ファンタジー
主人公は伯爵子息[レインズ・ウィンパルト]。 国内外で容姿端麗、文武両道と評判の好青年。 戦場での活躍、領地経営の手腕、その功績と容姿で伯爵位ながら王女と婚約し、未来を約束されていた。 しかし、そんな伯爵家を快く思わない政敵に陥れられる。 政敵の謀った事故で、両親は意識不明の重体、彼自身は片腕と片目を失う大ケガを負ってしまう。 その傷が元で王女とは婚約破棄、しかも魔族が統治する森林『大魔森林』と接する辺境の地への転封を命じられる。 自身の境遇に絶望するレインズ。 だが、ある事件をきっかけに再起を図り、世界を旅しながら、領地経営にも精を出すレインズ。 その旅の途中、他国の王女やエルフの王女達もレインズに興味を持ち出し…。 魔族や他部族の力と、自分の魔力で辺境領地を豊かにしていくレインズ。 そしてついに、レインズは王国へ宣戦布告、王都へ攻め登る! 転封伯爵子息の国盗り物語、ここに開幕っ!

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

処理中です...