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番外編① アーリンの残念なチート物語 学園入学?
第39話 魔物の巣?
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D研の入口のある部屋は2階の最奥にあった。D研の入口を見ると、辛かったロンダでの研修が懐かしく思えてくる。
もう二度と同じことはしたくないわね……。
D研はテンマ先生の空間魔術の魔法の一つ、ディメンションエリアの魔法で作った亜空間である。ロンダ領にあった滝の周辺を複製して作った空間で、先生がいつでも入口を開いたり閉めたりできる。
先生はどこに行っても研修ができるということで、略してD研と呼んでいるのだ。
D研に入ると中は見覚えのある景色が広がっていた。滝の上にはテンマ先生の実質的な自宅である『どこでも自宅』がある。
テンマ先生はロンダや他の場所にも拠点といえる家を建てているようだけど、そこは来客用ともいえ、先生は『どこでも自宅』でほとんど生活しているはず。
先生は凄い人だけど、どこか人付き合いが苦手なようで、私が勝手にお母様達や使用人を『どこでも自宅』に招き入れたら、想像以上に怒られたことがある。
あれから地獄の研修が始まったのよねぇ~。
地獄の研修が過ぎ去ってしまうと、今では懐かしい思い出だと話せるけど……。
二度と地獄の研修をしたくないわ!
今でもたまに夢に出てきて、汗びっしょりで目を覚ますときがある。
ピピちゃんは嬉しそうにスキップしながら壁に囲まれた訓練場に向かっていく。中からは誰かが訓練しているのか音が聞こえている。
中に入ると私に気付いたのか懐かしい声が聞こえる。
「あっ、アーリン!」
声の主はミーシャさんであった。
彼女はロンダの開拓村に住んでいた冒険者を目指していた村娘で、私より早くテンマ先生の研修に参加していた二つ年上の狐獣人の少女である。
テンマ先生の代わりに色々と研修について教えてくれたこともあったけど、強くなることが大好きで、どこかテンマ先生みたいに突き抜けた考えをしている。
だからこそ最初からまったく歯が立たなかったのだけど、彼女はテンマ先生より容赦ない感じもするくらいだ。
ま、待ってぇ~!
「久しぶり!」
よ、よがっだぁ~!
彼女はピピちゃんと比べられないくらいの勢いで走り寄ってきた。思わず死を覚悟して目を瞑ってしまったけど、彼女は私の目の前で止まって普通に挨拶をしてきた。
「お、お久しぶりですわ……」
涙目になりながらも挨拶をする。
ミーシャさんの見た目は変わっていなかったけど、強者のオーラみたいなものを纏っている感じがした。
また強くなってるぅ~。
王都に来てから私は強くなっていると思っていたけど、ピピちゃんやミーシャさんを見ると、自分が訓練の手を抜いていたのかと疑いたくなる。
私は普通の乙女だから仕方いないのよぉ!
最近ではシャル王女達や国王陛下まで、私を非常識な存在のような扱いをしてきた。でもテンマ先生の周りにはもっと非常識な連中がいて、自分が普通だと思えるから不思議だ。
「訓練しよ!」
ミーシャさんもピピちゃんと同じだぁ……。
「ミーシャお姉ちゃんダメだよぉ~。ピピが先に訓練するの!」
まるで魔物の巣に投げ入れた獲物を二人が奪い合っているような気がしてくる。
「おいおい、先に俺達に紹介してくれないのか?」
ま、まともな人がいるのね!
声をかけてきたのは訓練場に入ってきたときに、ミーシャさんが戦っていた女性ではなく、審判役をしていた男性だ。見上げるほど大きな体で武骨な感じがしていたけど、常識的な人のようだ。
「んっ、忘れていた」
ミーシャさんは強くなったみたいだけど、性格は全く変わらないみたい……。自分の興味ある事以外はすぐに忘れてしまう。
興味あるのは強くなる事だけよねぇ。
半ば呆れながらも私は自己紹介を始める。
「私はテンマ先生の生徒でアーリンですわ」
「おお、話は聞いているぞ。俺は王都を拠点にして冒険者をしているバルガスだ。そこにいるのは俺の冒険者パーティーのメンバーだ」
バルガスさんは丁寧に仲間を紹介してくれた。
バルガスさんは私でも聞いたことのある王都でナンバーワンの冒険者パーティー妖精の守り人のリーダーで、なんとマリアさんの旦那さんでもある。さらに二人は大叔母様と一緒に冒険者をしていたらしい。
マリアさんのことだけは何となく聞いていたかも……。
あと二人の子供である私と同じ年のミイさんや、ミーシャさんと訓練していたリリアさん、他にも少し年上のジュビロとタクトを紹介してくれた。
あれっ、ピョン吉がまた大きくなっているわ!
ピョン吉は元々訓練のために連れてこられたホーンラビットであった。この訓練場で飼われながら、訓練の時に群れで私達と戦っていた。そのうちいつの間にか種族進化していて、クイーンホーンラビットになったのである。
種族進化して体が大きくなったのだけど、触るとプニプニで気持ちいい。でもいつも顔をしかめっ面にしているので可愛げがない。微妙な立場だったけど、脅迫するように大叔母様の従魔にさせられて、気の毒な存在でもある。
ピョン吉は見た目と違い動きは機敏で、あのプニプニの体にほとんどの攻撃は吸収されたようになり、油断できない訓練相手でもあった。
久しぶりにあのプニプニを触りたいけど、ピピちゃんが訓練場の真ん中で短剣を振りながら待っている。
バルガスさん達も気の毒そうに私を見つめてきたので、久しぶりにピピちゃんとの訓練を先にすることにした。
もう二度と同じことはしたくないわね……。
D研はテンマ先生の空間魔術の魔法の一つ、ディメンションエリアの魔法で作った亜空間である。ロンダ領にあった滝の周辺を複製して作った空間で、先生がいつでも入口を開いたり閉めたりできる。
先生はどこに行っても研修ができるということで、略してD研と呼んでいるのだ。
D研に入ると中は見覚えのある景色が広がっていた。滝の上にはテンマ先生の実質的な自宅である『どこでも自宅』がある。
テンマ先生はロンダや他の場所にも拠点といえる家を建てているようだけど、そこは来客用ともいえ、先生は『どこでも自宅』でほとんど生活しているはず。
先生は凄い人だけど、どこか人付き合いが苦手なようで、私が勝手にお母様達や使用人を『どこでも自宅』に招き入れたら、想像以上に怒られたことがある。
あれから地獄の研修が始まったのよねぇ~。
地獄の研修が過ぎ去ってしまうと、今では懐かしい思い出だと話せるけど……。
二度と地獄の研修をしたくないわ!
今でもたまに夢に出てきて、汗びっしょりで目を覚ますときがある。
ピピちゃんは嬉しそうにスキップしながら壁に囲まれた訓練場に向かっていく。中からは誰かが訓練しているのか音が聞こえている。
中に入ると私に気付いたのか懐かしい声が聞こえる。
「あっ、アーリン!」
声の主はミーシャさんであった。
彼女はロンダの開拓村に住んでいた冒険者を目指していた村娘で、私より早くテンマ先生の研修に参加していた二つ年上の狐獣人の少女である。
テンマ先生の代わりに色々と研修について教えてくれたこともあったけど、強くなることが大好きで、どこかテンマ先生みたいに突き抜けた考えをしている。
だからこそ最初からまったく歯が立たなかったのだけど、彼女はテンマ先生より容赦ない感じもするくらいだ。
ま、待ってぇ~!
「久しぶり!」
よ、よがっだぁ~!
彼女はピピちゃんと比べられないくらいの勢いで走り寄ってきた。思わず死を覚悟して目を瞑ってしまったけど、彼女は私の目の前で止まって普通に挨拶をしてきた。
「お、お久しぶりですわ……」
涙目になりながらも挨拶をする。
ミーシャさんの見た目は変わっていなかったけど、強者のオーラみたいなものを纏っている感じがした。
また強くなってるぅ~。
王都に来てから私は強くなっていると思っていたけど、ピピちゃんやミーシャさんを見ると、自分が訓練の手を抜いていたのかと疑いたくなる。
私は普通の乙女だから仕方いないのよぉ!
最近ではシャル王女達や国王陛下まで、私を非常識な存在のような扱いをしてきた。でもテンマ先生の周りにはもっと非常識な連中がいて、自分が普通だと思えるから不思議だ。
「訓練しよ!」
ミーシャさんもピピちゃんと同じだぁ……。
「ミーシャお姉ちゃんダメだよぉ~。ピピが先に訓練するの!」
まるで魔物の巣に投げ入れた獲物を二人が奪い合っているような気がしてくる。
「おいおい、先に俺達に紹介してくれないのか?」
ま、まともな人がいるのね!
声をかけてきたのは訓練場に入ってきたときに、ミーシャさんが戦っていた女性ではなく、審判役をしていた男性だ。見上げるほど大きな体で武骨な感じがしていたけど、常識的な人のようだ。
「んっ、忘れていた」
ミーシャさんは強くなったみたいだけど、性格は全く変わらないみたい……。自分の興味ある事以外はすぐに忘れてしまう。
興味あるのは強くなる事だけよねぇ。
半ば呆れながらも私は自己紹介を始める。
「私はテンマ先生の生徒でアーリンですわ」
「おお、話は聞いているぞ。俺は王都を拠点にして冒険者をしているバルガスだ。そこにいるのは俺の冒険者パーティーのメンバーだ」
バルガスさんは丁寧に仲間を紹介してくれた。
バルガスさんは私でも聞いたことのある王都でナンバーワンの冒険者パーティー妖精の守り人のリーダーで、なんとマリアさんの旦那さんでもある。さらに二人は大叔母様と一緒に冒険者をしていたらしい。
マリアさんのことだけは何となく聞いていたかも……。
あと二人の子供である私と同じ年のミイさんや、ミーシャさんと訓練していたリリアさん、他にも少し年上のジュビロとタクトを紹介してくれた。
あれっ、ピョン吉がまた大きくなっているわ!
ピョン吉は元々訓練のために連れてこられたホーンラビットであった。この訓練場で飼われながら、訓練の時に群れで私達と戦っていた。そのうちいつの間にか種族進化していて、クイーンホーンラビットになったのである。
種族進化して体が大きくなったのだけど、触るとプニプニで気持ちいい。でもいつも顔をしかめっ面にしているので可愛げがない。微妙な立場だったけど、脅迫するように大叔母様の従魔にさせられて、気の毒な存在でもある。
ピョン吉は見た目と違い動きは機敏で、あのプニプニの体にほとんどの攻撃は吸収されたようになり、油断できない訓練相手でもあった。
久しぶりにあのプニプニを触りたいけど、ピピちゃんが訓練場の真ん中で短剣を振りながら待っている。
バルガスさん達も気の毒そうに私を見つめてきたので、久しぶりにピピちゃんとの訓練を先にすることにした。
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