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第13章 懐かしい旅路
第2話 懐かしい開拓村
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昨日、エクス群島でドラ美ちゃんと別れて飛び立ち、昼過ぎにはロンダの町が見えてきた。
全力で飛ぶと自分でも驚くほど早く着いてしまった。
ロンダの町は数年前に旅立ったときより大きくなっていた。人の出入りも多いのか何台もの馬車が近くの道を移動するのが見える。
人からは見えない場所に降りるとD研を開いてドロテアさんとジジ達を外に出す。
「おおっ、見覚えのある場所なのじゃ!」
ドロテアさんはD研から出てくるとそう話した。ピピも嬉しそうに頷いていたが、ジジはキョロキョロと周りを見回して戸惑っている。
「こっちに行くと道があって、すぐにロンダの町だよね!」
ピピはこの場所を覚えているようだ。この場所はロンダにいたときによく使っていた場所だ。
「お金は足りる? 忘れ物はない? 何かあったら念話で知らせて!」
思わず心配になりジジに確認する。
「大丈夫じゃ。私も一緒にいるのじゃ!」
ドロテアさんが胸を張って話したが、ドロテアさんが一緒だから余計に心配とは言えない。
「ずっと住んでいた町ですし、お金もテンマ様にいただいたお金をほとんど使わずに持っているので大丈夫です」
ジジは笑顔で答えてくれた。
本当は心配というより、いつも一緒にいたジジがいなくなるようで、俺が不安になったのである。
ピピは我慢できないのか、走っては戻ってくるのを繰り返していた。ジジとドロテアさんもそんなピピを見て、俺に軽く挨拶すると町のほうに歩き出した。
三人が木々で見えなくなると隠密スキルで姿を消して、上空から三人の姿を確認する。ピピは気付いているのか俺に向かって手を振っていた。
結局、三人がロンダの町に入るまで様子を見ていた。
門番がドロテアさんに気付いたのか、最初は普通に声を掛けていたが、すぐによく知るヨルンさんが出てきて丁寧に対応を始めたのが見えた。
三人は無事にロンダの町に入ったのだが、ピピは町に入る寸前にも俺に向かって手を振っていた。
町中でも大丈夫なのか様子を確認したい欲求に駆られたが、我慢して開拓村に向かうのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
開拓村はロンダを出てすぐに見えてきた。遠くから見ても、最後に訪問してから少し村の雰囲気が変わっていると気付く。
開拓村の近くではなく、この世界に最初に転生させられた草原に降り立つ。
ゆっくりと周りを見回すが、転生されたときと変わっていない。
この世界に来て三年と数ヶ月しか経っていない。
うん、まだまだこの人生を楽しまないと!
新たな決意と、この三年数ヶ月のことを思い返しながら三十分ほど草原で膝を抱えて座っていた。
不意にホーンラビットが襲いかかってきた。俺は片手でホーンラビットを掴んで収納からナイフを出して倒した。血抜きして収納するとD研を開いてミーシャ達を外に出す。
D研を開くとミーシャがとび出してきた。落ち着きなく周りを確認して尋ねてきた。
「ここはどこ?」
俺は笑顔になって答える。
「開拓村の近くの草原だよ。あそこに道が見えるだろう。馬車でロンダに行くときに最初に休憩する場所だよ」
里帰りにそれほど興味を示さなかったミーシャだったが、楽しみにしてくれていたようだ。
続いてシルに乗ったエアルもD研から出てきた。
シルに乗っているエアルの姿があまりにも自然過ぎる。シルは草原を走り回りたいのか、時折落ち着きがなくなる。その度にエアルが背中の毛を手綱のように引っ張ると、シルは引き締まった顔になり顔を上げる。
エアルのことはドロテアさんに預けたかったが、エアルがどうしても俺達についてくると言ったので一緒に開拓村に行くことにした。
アンナも一緒に来ているが、この機会にやりたいことがあると言って『どこでも自宅』に引き篭もっている。
「開拓村に行こう!」
そう話すと開拓村に向かって歩き始めるのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
最初は普通に歩き始めたけど、シルは我慢できなくなり走り始めた。村に向かって走っているのではなく、草原を走り回っているだけだ。
ミーシャは歩く速度が徐々に早くなり、道に出るころには走りだしてしまった。ミーシャとしてはゆっくり走っているのがわかる。でも、普通の人から見れば全力疾走しているように見えることだろう。
あっと言う間に開拓村の門が見えてくる。昔より頑丈にみえる門に見張り台も小屋のように屋根があった。門は開いていて、見慣れない男の人が門番をしていた。
ミーシャが凄い速さで門に向かっていき、その後を追いかけるようにエアルの乗ったシルが追いかけていく。俺は最後についていったのだが、気が付くと門番が武器を手に戦闘態勢に入ったのが見えた。
「女の子が魔物に追われてるぞ!」
あっ、誤解してるぅ!
「んっ、どうしたの?」
ミーシャは門番の手前で止まると、不思議そうに門番に尋ねた。
「後ろに魔物が! えっ、なんで!?」
門番の男の人は戸惑ったように言った。
たぶんミーシャがウルフ系の魔物に追われていると勘違いをしたのだ。しかし、シルの背中に乗るエアルに気付いて驚いたのだろう。
俺もミーシャ達に追いつき門番の人に説明する。
「それは俺の従魔だから大丈夫だよ」
「従魔……」
従魔と言われても、まだ混乱しているようだ。
「ミーシャちゃんじゃない!」
開いていた門の中から、おばさんがミーシャに声をかけた。
「だれ?」
おいおい、忘れたのかよぉ!
「ミーシャの実家の隣に住むおばさんじゃないのか?」
一月ぐらいしかこの村にはいなかった俺でもそれぐらいは覚えている。
「……おばさん、久しぶり!」
その間はなんだよぉ!
ミーシャが本当に覚えていたのか心配になる。おばさんも呆れたようにミーシャのことを見ていたが、すぐに笑顔になって俺に話しかけてきた。
「テンマ君も一緒かい。ミーシャの両親もサーシャちゃんも喜ぶわよ!」
おばさんがそう話していると、先ほどのおばさんの声を聞いた村人たちが集まってきた。
「そこの子供は二人の子かい?」
エアルのことを指差しながらおばさんが聞いてくる。いくらエアルの見た目が幼いと言っても三才には見えない。冗談だと思って笑って否定をしようとした。
「そうなのじゃ。私はテンマとミーシャの子供なのじゃ!」
俺が否定する前に、エアルが冗談っぽく答えた。しかし、どう見ても冗談では済まない雰囲気になっている。話を聞いていた村人が騒ぎ始め、何人もどこかに走り出したのである。
騒動の気配をヒシヒシと感じるぅ~。
「あ、あの、念のために身分証の確認を─」
「馬鹿なことを言うんじゃないよ! この子はサーシャちゃんの妹のミーシャちゃんだよ。それにテンマ君は村の大恩人なのよ。二人に失礼なことをしたら、サーシャちゃんにどれほど怒られるか、分かっているのかい!」
いつの間にか開拓村で身分の確認するようになったようだ。門番は俺達のことを確認しようとしたが、先におばさんに注意されてしまった。
それにしてもサーシャさんは門番の男の人に恐れられているようだ。男の人は冷や汗を流して怯えたような表情をしている。
「あっ、規則ならきちんと身分証を─」
「失礼しました! どうぞお通り下さい!」
規則ならとギルドカードを出そうとしたが、男の人は頭を下げ、中に入るように言ってきた。
どうしようかと迷ったが、男の人の顔にこれ以上は勘弁してくれと出ていたので、黙って門の中に入る。
開拓村の中に入ると懐かしい村人に囲まれた。適当に挨拶をしながら想像以上に変わった村の様子に驚いていた。
小さい店もあり、家も大半が建て替えられていた。家は以前より大きく立派になり、見慣れない人達も多くいた。
みんな健康そうで、幸せそうな表情をしている。開拓村はずいぶんと発展したようだ。
そんな村の様子に感心していると、村の奥からこの村で一番会いたかった相手が走ってくるのが見えたのである。
全力で飛ぶと自分でも驚くほど早く着いてしまった。
ロンダの町は数年前に旅立ったときより大きくなっていた。人の出入りも多いのか何台もの馬車が近くの道を移動するのが見える。
人からは見えない場所に降りるとD研を開いてドロテアさんとジジ達を外に出す。
「おおっ、見覚えのある場所なのじゃ!」
ドロテアさんはD研から出てくるとそう話した。ピピも嬉しそうに頷いていたが、ジジはキョロキョロと周りを見回して戸惑っている。
「こっちに行くと道があって、すぐにロンダの町だよね!」
ピピはこの場所を覚えているようだ。この場所はロンダにいたときによく使っていた場所だ。
「お金は足りる? 忘れ物はない? 何かあったら念話で知らせて!」
思わず心配になりジジに確認する。
「大丈夫じゃ。私も一緒にいるのじゃ!」
ドロテアさんが胸を張って話したが、ドロテアさんが一緒だから余計に心配とは言えない。
「ずっと住んでいた町ですし、お金もテンマ様にいただいたお金をほとんど使わずに持っているので大丈夫です」
ジジは笑顔で答えてくれた。
本当は心配というより、いつも一緒にいたジジがいなくなるようで、俺が不安になったのである。
ピピは我慢できないのか、走っては戻ってくるのを繰り返していた。ジジとドロテアさんもそんなピピを見て、俺に軽く挨拶すると町のほうに歩き出した。
三人が木々で見えなくなると隠密スキルで姿を消して、上空から三人の姿を確認する。ピピは気付いているのか俺に向かって手を振っていた。
結局、三人がロンダの町に入るまで様子を見ていた。
門番がドロテアさんに気付いたのか、最初は普通に声を掛けていたが、すぐによく知るヨルンさんが出てきて丁寧に対応を始めたのが見えた。
三人は無事にロンダの町に入ったのだが、ピピは町に入る寸前にも俺に向かって手を振っていた。
町中でも大丈夫なのか様子を確認したい欲求に駆られたが、我慢して開拓村に向かうのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
開拓村はロンダを出てすぐに見えてきた。遠くから見ても、最後に訪問してから少し村の雰囲気が変わっていると気付く。
開拓村の近くではなく、この世界に最初に転生させられた草原に降り立つ。
ゆっくりと周りを見回すが、転生されたときと変わっていない。
この世界に来て三年と数ヶ月しか経っていない。
うん、まだまだこの人生を楽しまないと!
新たな決意と、この三年数ヶ月のことを思い返しながら三十分ほど草原で膝を抱えて座っていた。
不意にホーンラビットが襲いかかってきた。俺は片手でホーンラビットを掴んで収納からナイフを出して倒した。血抜きして収納するとD研を開いてミーシャ達を外に出す。
D研を開くとミーシャがとび出してきた。落ち着きなく周りを確認して尋ねてきた。
「ここはどこ?」
俺は笑顔になって答える。
「開拓村の近くの草原だよ。あそこに道が見えるだろう。馬車でロンダに行くときに最初に休憩する場所だよ」
里帰りにそれほど興味を示さなかったミーシャだったが、楽しみにしてくれていたようだ。
続いてシルに乗ったエアルもD研から出てきた。
シルに乗っているエアルの姿があまりにも自然過ぎる。シルは草原を走り回りたいのか、時折落ち着きがなくなる。その度にエアルが背中の毛を手綱のように引っ張ると、シルは引き締まった顔になり顔を上げる。
エアルのことはドロテアさんに預けたかったが、エアルがどうしても俺達についてくると言ったので一緒に開拓村に行くことにした。
アンナも一緒に来ているが、この機会にやりたいことがあると言って『どこでも自宅』に引き篭もっている。
「開拓村に行こう!」
そう話すと開拓村に向かって歩き始めるのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
最初は普通に歩き始めたけど、シルは我慢できなくなり走り始めた。村に向かって走っているのではなく、草原を走り回っているだけだ。
ミーシャは歩く速度が徐々に早くなり、道に出るころには走りだしてしまった。ミーシャとしてはゆっくり走っているのがわかる。でも、普通の人から見れば全力疾走しているように見えることだろう。
あっと言う間に開拓村の門が見えてくる。昔より頑丈にみえる門に見張り台も小屋のように屋根があった。門は開いていて、見慣れない男の人が門番をしていた。
ミーシャが凄い速さで門に向かっていき、その後を追いかけるようにエアルの乗ったシルが追いかけていく。俺は最後についていったのだが、気が付くと門番が武器を手に戦闘態勢に入ったのが見えた。
「女の子が魔物に追われてるぞ!」
あっ、誤解してるぅ!
「んっ、どうしたの?」
ミーシャは門番の手前で止まると、不思議そうに門番に尋ねた。
「後ろに魔物が! えっ、なんで!?」
門番の男の人は戸惑ったように言った。
たぶんミーシャがウルフ系の魔物に追われていると勘違いをしたのだ。しかし、シルの背中に乗るエアルに気付いて驚いたのだろう。
俺もミーシャ達に追いつき門番の人に説明する。
「それは俺の従魔だから大丈夫だよ」
「従魔……」
従魔と言われても、まだ混乱しているようだ。
「ミーシャちゃんじゃない!」
開いていた門の中から、おばさんがミーシャに声をかけた。
「だれ?」
おいおい、忘れたのかよぉ!
「ミーシャの実家の隣に住むおばさんじゃないのか?」
一月ぐらいしかこの村にはいなかった俺でもそれぐらいは覚えている。
「……おばさん、久しぶり!」
その間はなんだよぉ!
ミーシャが本当に覚えていたのか心配になる。おばさんも呆れたようにミーシャのことを見ていたが、すぐに笑顔になって俺に話しかけてきた。
「テンマ君も一緒かい。ミーシャの両親もサーシャちゃんも喜ぶわよ!」
おばさんがそう話していると、先ほどのおばさんの声を聞いた村人たちが集まってきた。
「そこの子供は二人の子かい?」
エアルのことを指差しながらおばさんが聞いてくる。いくらエアルの見た目が幼いと言っても三才には見えない。冗談だと思って笑って否定をしようとした。
「そうなのじゃ。私はテンマとミーシャの子供なのじゃ!」
俺が否定する前に、エアルが冗談っぽく答えた。しかし、どう見ても冗談では済まない雰囲気になっている。話を聞いていた村人が騒ぎ始め、何人もどこかに走り出したのである。
騒動の気配をヒシヒシと感じるぅ~。
「あ、あの、念のために身分証の確認を─」
「馬鹿なことを言うんじゃないよ! この子はサーシャちゃんの妹のミーシャちゃんだよ。それにテンマ君は村の大恩人なのよ。二人に失礼なことをしたら、サーシャちゃんにどれほど怒られるか、分かっているのかい!」
いつの間にか開拓村で身分の確認するようになったようだ。門番は俺達のことを確認しようとしたが、先におばさんに注意されてしまった。
それにしてもサーシャさんは門番の男の人に恐れられているようだ。男の人は冷や汗を流して怯えたような表情をしている。
「あっ、規則ならきちんと身分証を─」
「失礼しました! どうぞお通り下さい!」
規則ならとギルドカードを出そうとしたが、男の人は頭を下げ、中に入るように言ってきた。
どうしようかと迷ったが、男の人の顔にこれ以上は勘弁してくれと出ていたので、黙って門の中に入る。
開拓村の中に入ると懐かしい村人に囲まれた。適当に挨拶をしながら想像以上に変わった村の様子に驚いていた。
小さい店もあり、家も大半が建て替えられていた。家は以前より大きく立派になり、見慣れない人達も多くいた。
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