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第11章 エクス自治連合
第9話 ポヨヨンで最高!
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狐の守り人とミーシャがマリアさんに走り寄ると、リディアが俺の方に走ってくる。
「ご主人様、み、みんなを乗せてもいいかな?」
リディアは後ろめたいことがあるのか、ちょっと目が泳いでいた。
「それで、どんな取引をしたんだ?」
条件次第だよねぇ~!
「そ、それは、乗せたら一回、デ、デザートを譲ってもらう……」
リディアは焦ったように話しながら、声が小さくなっていた。
従魔になる前なら当然勝手に判断していただろう。従魔になった影響なのか俺に許可を求めているのは悪くない。それにドラゴンに乗る条件としては悪くないだろう。
デザートで伝説のドラ美に乗れるなら安いだろう。貴族や王族ならもっと高価な条件でも喜んで……。
え~と、王妃さんとエクレアさん、レイモンド親子までいるのね……。
よく見ると遅れて合流したメンバーもいるようだった。
ま、まあ、それでも妥当な交換条件だろう。
「それだけなら問題ないよ」
あれっ、それだけじゃないのか?
俺がそう答えると、リディアは戸惑った表情になっていた。
「……他にも条件が、マリアの胸を触ってもバルガスが文句を言わないことになった」
何となくそんな気がした。バルガスへの条件なら別に構わないかぁ。
「あっ、何だったら、ご主人様もマリアの胸をいつでも触れるように頼もうか?」
な、な、なんですとぉーーーーー!
そんなことが許されるのか!?
俺も優勝杯を好きに揉み、……ゲフン、自由にできるとは……。
いやいや、それは人として許されないだろう。
でも……。いや、ダメだ!
リディアが勝手に頼んだとしても、絶対に俺が従魔に命令して言わせたと……。
「マリア~、条件を追加して、ウグゥ!」
勝手に話を進めるんじゃねぇーーー!
慌ててリディアの口を手で塞いだ。やっぱり色々とまずいと思う。
みんなに軽蔑されることになるだろう。
軽蔑されても構わないほどの対価だと思うが、その権利を行使する勇気など俺には無いと断言できる!
そんな断言できるのも悲しいが……。
俺はデザートの条件だけ知っていることにしたのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
「本当にリディアさんが、あのドラ美様だったんですね……」
マリアさんがドラ美ちゃんになったリディアを見て呆然と呟いていた。
珍しくドロテアさんも目を見開いて驚いていた。王妃やバルガス、狐の守り人も驚いているようだ。
まあ、当然だよねぇ~。
でもミーシャやレイモンドはキラキラした目で、期待に満ちた表情をしている。ミーシャはこれまでにもいろいろと驚くようなことを見てきたので、驚きよりも期待が大きいのだろう。レイモンドはすでに何度かドラ美ちゃんに乗っているはずだが、勇者マニアだから何度乗っても嬉しいのだろう。
最初は4姉妹から乗るようだ。ドロテアさんが楽しそうにドラ美ちゃんの背中に乗っていた。なぜかエアル3姉妹が俺の前に来て両手を広げている。
これはもしかして……。
「の、乗れないのじゃ……」
嘘つけぇーーー!
エアルは以前に抱きかかえて一緒に乗せたことはあった。小柄な体では乗れないのだろうと俺が勝手に思い込み、子供のつもりで対応したのだ。
しかし、身体強化を使えば余裕で乗れることは、すでに俺は知っている!
エリスとエリカもエアルから話を聞いていたのだろう。
くっ、涙目で幼女に懇願されると……。
文句も言うのも面倒になり、3姉妹を順番に抱きかかえてドラ美ちゃんの背中に乗せていく。
頼むから3人共が耳まで真っ赤にするのはやめてくれぇ~!
三人目のエリカをドラ美ちゃんの背中に乗せて戻ってくると、目の前には両手を広げてちょっと恥ずかしそうに俺を見つめるドロテアさんがいた。
「よ~し、ドラ美ちゃん、準備できたぞぉ!」
わざわざドラ美ちゃんから降りてきたドロテアさんを無視してドラ美ちゃんに声を掛ける。
「ずるいのじゃ~、仲間外れは嫌なのじゃ~」
言いたいことはたくさんあるが、涙目で訴えるドロテアさんを見て諦める。3姉妹は正面から脇を持つように抱き上げたが、さすがにドロテアさんだと恥ずかしいので後ろから脇に手を入れ抱き上げる。文句を言うと思ったが、後ろから見て耳が真っ赤になっていて、照れているのか何も言わなかった。
俺がドロテアさんをドラ美ちゃんの背中に乗せて戻ってくると、ドラ美ちゃんはすぐに飛び上がった。
そのまま我々の真上で数回旋回すると、エクス群島の遊覧飛行に飛び去ったのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
10分ぐらいでドラ美ちゃんは戻ってきた。砂浜に舞い降りるとドロテアさんはドラ美ちゃんの背中で叫んでいた。
「楽しいのじゃ~!」
うん、早く降りてきて……。
しかし、3姉妹がドラ美ちゃんの背中から、俺を見つめながら両手を広げている。それを見たドロテアさんも慌てて同じように手を広げている。
この年寄り4姉妹には何を言っても聞かないだろう。この程度なら反論して拒絶するよりも、希望を叶えてやったほうが楽だと思うことにした。
再び3姉妹を抱えており、必死に正面から抱えてもらおうとするドロテアさんをかいくぐり、背中側から抱えてドラ美ちゃんから下ろした。
少しドロテアさんは不満そうだが、顔まで真っ赤にするドロテアさんが可愛いと思いそうになり慌てて首を左右に振った。
次はミーシャと狐の守り人の番である。歓迎会でミイが正式に狐の守り人に入ったことは聞いていた。だからミイも一緒なのは分かるが……。
なんで、お前達まで両手を広げている!
もう文句を言う気も起きない……。しかし、これだけは絶対に拒否する!
「ジュビロとタクトはバルドーさんにお願いするかい?」
「「い、いえ、自分で乗ります!」」
この二人までバルドーさんの毒牙にかかるのは可哀そうだと思うが、手を広げて期待の眼差しで見つめられたら、遠慮なく差し出したくなるよねぇ~。
ミーシャは普通に嬉しそうに抱きかかえられたが、ミイとリリアは耳まで真っ赤にしていた。それもドラ美ちゃんが飛び上がるまでだったと思う。飛び上がった瞬間から嬉しそうなミーシャの声と、それ以外の恐怖の悲鳴が聞こえたのだ。
ジュビロとタクトも意外に女っぽい叫び声だなぁ……。
◇ ◇ ◇ ◇
そして無事にミーシャ達も終わり、今度は王妃とエクレアさん、それとレイモンド親子である。
「私はあんな風に抱きかかえられるのは無理です……、ですが自分では乗れそうにありません」
レーラさんが恥ずかしそうに俺の様子を窺いながら言ってきた。
まあ、今日はなんでも言ってくれ!
「背負いますか?」
「いえ、こんな感じで抱きかかえていただければ……」
くっ、そ、それは、お姫様抱っこじゃねぇかぁ!
照れながらも期待を込めた眼差しで俺を見ないでほしい。俺は黙ってレーラさんをお姫様抱っこでドラ美ちゃんの背中まで運んだ。
レーラさんは照れずに自分から俺の胸に顔を押し付けてきた……。
もう、どうとでもしてくれ……。
戻ってくるとイチャイチャするレイモンドとエクレアさんがいたが無視する。俺は王妃様の所に行く。
「私も同じで頼みますわ、あっ、優しく、お、お願いします……」
くっ、王妃も……。
お姫様抱っこをすると王妃は俺の首に手をまわし、胸に顔を押し付けてきた。
年寄りは、ゲフン……、無心で早く終わらせよう。
王妃も無事にドラ美ちゃんに乗せたが、レイモンドはお姫様抱っこでエクレアさんを抱いて上がってくるのが見えた。
俺が地面に降りると、ドラ美ちゃんはすぐに飛び上がったのだが、その瞬間に悲鳴をあげてエクレアさんがレイモンドに抱き着くのが見えた。
ケッ! なんかムカつくぅ~。
◇ ◇ ◇ ◇
無事に王妃達も戻ってきた。またお姫様抱っこで戻ってきたのだが、さらに大胆に体を預けてくるのは止めて欲しい。
最後はマリアさんとバルガス、それにピピのはずだ。しかし、ピピは目に涙を溜めていた。
「ピピ、どうしたんだい?」
「ピピ、デザートは……、グスッ」
ピピはデザートとドラ美ちゃんに乗ることで迷っているのだろう。子供だから簡単に損得だけでは計算などできずに葛藤して、涙が出てきたのだろう。
「大丈夫だよ。リディアがピピからデザートを盗ろうとしたら、お兄ちゃんはリディアがデザートを食べることを禁止するから。だから安心して乗るといいよ」
「ほうとう?」
くぅ、ウサミミ幼女の首を傾げての「ほうとう?」は衝撃的な破壊力がある。
『も、もちろんだ! ピピは無条件だ!』
ドラ美ちゃんも焦って念話で許可してきた。
ピピはそれを聞くと凄い勢いでドラ美ちゃんの背中ではなく頭の上まで自力で移動して乗ってしまった。
お兄ちゃんはピピを抱いて乗せてあげたかったよ……。
手を見つめながらそんな風に思うのだった。
「テンマさん、私もお願いね」
んっ、どういうこと?
マリアさんもお姫様抱っこを要求してきた?
「バルガスは?」
「俺はデザートをマリアにとら、いや、夫婦だからマリアに差し出しているから、リディアに渡す分がないんだ!」
バルガスは口惜しそうに話した。
「差し出す」も同じ気がするけど……。
「そういうことだからお願いね。それと一人じゃ寂しいから一緒にお願いね」
何だろう……。マリアさんの話し方はエッチな感じがするぅ~!
口惜しそうなバルガスを横目で見ながらマリアさんをお姫様抱っこする。
あっ、優勝杯の端に手がぁ! 優勝杯は端でも優勝杯だった!
鼻の下が伸びすぎたのか、バルガスが俺を射殺す勢いで睨んでいる。俺はできるだけ冷静な顔を装い、ドラ美ちゃんの背中に移動を始めた。
おうふ、ジャンプすると凄いぽよんがぁーーーーー!
少し高く跳びながら、倍の数のジャンプしてドラ美ちゃんの背中まで移動した。
「ふふふっ、テンマさん、ありがとう」
うん、俺の作戦が完全にバレている気がする……。
それからドラ美ちゃんが飛び上がるとマリアさんが抱きついてきた。ピピの指示で急降下や海面で低空飛行してくれた。
過激な飛び方……、ポヨヨンで最高ですけど、何か?
「ご主人様、み、みんなを乗せてもいいかな?」
リディアは後ろめたいことがあるのか、ちょっと目が泳いでいた。
「それで、どんな取引をしたんだ?」
条件次第だよねぇ~!
「そ、それは、乗せたら一回、デ、デザートを譲ってもらう……」
リディアは焦ったように話しながら、声が小さくなっていた。
従魔になる前なら当然勝手に判断していただろう。従魔になった影響なのか俺に許可を求めているのは悪くない。それにドラゴンに乗る条件としては悪くないだろう。
デザートで伝説のドラ美に乗れるなら安いだろう。貴族や王族ならもっと高価な条件でも喜んで……。
え~と、王妃さんとエクレアさん、レイモンド親子までいるのね……。
よく見ると遅れて合流したメンバーもいるようだった。
ま、まあ、それでも妥当な交換条件だろう。
「それだけなら問題ないよ」
あれっ、それだけじゃないのか?
俺がそう答えると、リディアは戸惑った表情になっていた。
「……他にも条件が、マリアの胸を触ってもバルガスが文句を言わないことになった」
何となくそんな気がした。バルガスへの条件なら別に構わないかぁ。
「あっ、何だったら、ご主人様もマリアの胸をいつでも触れるように頼もうか?」
な、な、なんですとぉーーーーー!
そんなことが許されるのか!?
俺も優勝杯を好きに揉み、……ゲフン、自由にできるとは……。
いやいや、それは人として許されないだろう。
でも……。いや、ダメだ!
リディアが勝手に頼んだとしても、絶対に俺が従魔に命令して言わせたと……。
「マリア~、条件を追加して、ウグゥ!」
勝手に話を進めるんじゃねぇーーー!
慌ててリディアの口を手で塞いだ。やっぱり色々とまずいと思う。
みんなに軽蔑されることになるだろう。
軽蔑されても構わないほどの対価だと思うが、その権利を行使する勇気など俺には無いと断言できる!
そんな断言できるのも悲しいが……。
俺はデザートの条件だけ知っていることにしたのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
「本当にリディアさんが、あのドラ美様だったんですね……」
マリアさんがドラ美ちゃんになったリディアを見て呆然と呟いていた。
珍しくドロテアさんも目を見開いて驚いていた。王妃やバルガス、狐の守り人も驚いているようだ。
まあ、当然だよねぇ~。
でもミーシャやレイモンドはキラキラした目で、期待に満ちた表情をしている。ミーシャはこれまでにもいろいろと驚くようなことを見てきたので、驚きよりも期待が大きいのだろう。レイモンドはすでに何度かドラ美ちゃんに乗っているはずだが、勇者マニアだから何度乗っても嬉しいのだろう。
最初は4姉妹から乗るようだ。ドロテアさんが楽しそうにドラ美ちゃんの背中に乗っていた。なぜかエアル3姉妹が俺の前に来て両手を広げている。
これはもしかして……。
「の、乗れないのじゃ……」
嘘つけぇーーー!
エアルは以前に抱きかかえて一緒に乗せたことはあった。小柄な体では乗れないのだろうと俺が勝手に思い込み、子供のつもりで対応したのだ。
しかし、身体強化を使えば余裕で乗れることは、すでに俺は知っている!
エリスとエリカもエアルから話を聞いていたのだろう。
くっ、涙目で幼女に懇願されると……。
文句も言うのも面倒になり、3姉妹を順番に抱きかかえてドラ美ちゃんの背中に乗せていく。
頼むから3人共が耳まで真っ赤にするのはやめてくれぇ~!
三人目のエリカをドラ美ちゃんの背中に乗せて戻ってくると、目の前には両手を広げてちょっと恥ずかしそうに俺を見つめるドロテアさんがいた。
「よ~し、ドラ美ちゃん、準備できたぞぉ!」
わざわざドラ美ちゃんから降りてきたドロテアさんを無視してドラ美ちゃんに声を掛ける。
「ずるいのじゃ~、仲間外れは嫌なのじゃ~」
言いたいことはたくさんあるが、涙目で訴えるドロテアさんを見て諦める。3姉妹は正面から脇を持つように抱き上げたが、さすがにドロテアさんだと恥ずかしいので後ろから脇に手を入れ抱き上げる。文句を言うと思ったが、後ろから見て耳が真っ赤になっていて、照れているのか何も言わなかった。
俺がドロテアさんをドラ美ちゃんの背中に乗せて戻ってくると、ドラ美ちゃんはすぐに飛び上がった。
そのまま我々の真上で数回旋回すると、エクス群島の遊覧飛行に飛び去ったのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
10分ぐらいでドラ美ちゃんは戻ってきた。砂浜に舞い降りるとドロテアさんはドラ美ちゃんの背中で叫んでいた。
「楽しいのじゃ~!」
うん、早く降りてきて……。
しかし、3姉妹がドラ美ちゃんの背中から、俺を見つめながら両手を広げている。それを見たドロテアさんも慌てて同じように手を広げている。
この年寄り4姉妹には何を言っても聞かないだろう。この程度なら反論して拒絶するよりも、希望を叶えてやったほうが楽だと思うことにした。
再び3姉妹を抱えており、必死に正面から抱えてもらおうとするドロテアさんをかいくぐり、背中側から抱えてドラ美ちゃんから下ろした。
少しドロテアさんは不満そうだが、顔まで真っ赤にするドロテアさんが可愛いと思いそうになり慌てて首を左右に振った。
次はミーシャと狐の守り人の番である。歓迎会でミイが正式に狐の守り人に入ったことは聞いていた。だからミイも一緒なのは分かるが……。
なんで、お前達まで両手を広げている!
もう文句を言う気も起きない……。しかし、これだけは絶対に拒否する!
「ジュビロとタクトはバルドーさんにお願いするかい?」
「「い、いえ、自分で乗ります!」」
この二人までバルドーさんの毒牙にかかるのは可哀そうだと思うが、手を広げて期待の眼差しで見つめられたら、遠慮なく差し出したくなるよねぇ~。
ミーシャは普通に嬉しそうに抱きかかえられたが、ミイとリリアは耳まで真っ赤にしていた。それもドラ美ちゃんが飛び上がるまでだったと思う。飛び上がった瞬間から嬉しそうなミーシャの声と、それ以外の恐怖の悲鳴が聞こえたのだ。
ジュビロとタクトも意外に女っぽい叫び声だなぁ……。
◇ ◇ ◇ ◇
そして無事にミーシャ達も終わり、今度は王妃とエクレアさん、それとレイモンド親子である。
「私はあんな風に抱きかかえられるのは無理です……、ですが自分では乗れそうにありません」
レーラさんが恥ずかしそうに俺の様子を窺いながら言ってきた。
まあ、今日はなんでも言ってくれ!
「背負いますか?」
「いえ、こんな感じで抱きかかえていただければ……」
くっ、そ、それは、お姫様抱っこじゃねぇかぁ!
照れながらも期待を込めた眼差しで俺を見ないでほしい。俺は黙ってレーラさんをお姫様抱っこでドラ美ちゃんの背中まで運んだ。
レーラさんは照れずに自分から俺の胸に顔を押し付けてきた……。
もう、どうとでもしてくれ……。
戻ってくるとイチャイチャするレイモンドとエクレアさんがいたが無視する。俺は王妃様の所に行く。
「私も同じで頼みますわ、あっ、優しく、お、お願いします……」
くっ、王妃も……。
お姫様抱っこをすると王妃は俺の首に手をまわし、胸に顔を押し付けてきた。
年寄りは、ゲフン……、無心で早く終わらせよう。
王妃も無事にドラ美ちゃんに乗せたが、レイモンドはお姫様抱っこでエクレアさんを抱いて上がってくるのが見えた。
俺が地面に降りると、ドラ美ちゃんはすぐに飛び上がったのだが、その瞬間に悲鳴をあげてエクレアさんがレイモンドに抱き着くのが見えた。
ケッ! なんかムカつくぅ~。
◇ ◇ ◇ ◇
無事に王妃達も戻ってきた。またお姫様抱っこで戻ってきたのだが、さらに大胆に体を預けてくるのは止めて欲しい。
最後はマリアさんとバルガス、それにピピのはずだ。しかし、ピピは目に涙を溜めていた。
「ピピ、どうしたんだい?」
「ピピ、デザートは……、グスッ」
ピピはデザートとドラ美ちゃんに乗ることで迷っているのだろう。子供だから簡単に損得だけでは計算などできずに葛藤して、涙が出てきたのだろう。
「大丈夫だよ。リディアがピピからデザートを盗ろうとしたら、お兄ちゃんはリディアがデザートを食べることを禁止するから。だから安心して乗るといいよ」
「ほうとう?」
くぅ、ウサミミ幼女の首を傾げての「ほうとう?」は衝撃的な破壊力がある。
『も、もちろんだ! ピピは無条件だ!』
ドラ美ちゃんも焦って念話で許可してきた。
ピピはそれを聞くと凄い勢いでドラ美ちゃんの背中ではなく頭の上まで自力で移動して乗ってしまった。
お兄ちゃんはピピを抱いて乗せてあげたかったよ……。
手を見つめながらそんな風に思うのだった。
「テンマさん、私もお願いね」
んっ、どういうこと?
マリアさんもお姫様抱っこを要求してきた?
「バルガスは?」
「俺はデザートをマリアにとら、いや、夫婦だからマリアに差し出しているから、リディアに渡す分がないんだ!」
バルガスは口惜しそうに話した。
「差し出す」も同じ気がするけど……。
「そういうことだからお願いね。それと一人じゃ寂しいから一緒にお願いね」
何だろう……。マリアさんの話し方はエッチな感じがするぅ~!
口惜しそうなバルガスを横目で見ながらマリアさんをお姫様抱っこする。
あっ、優勝杯の端に手がぁ! 優勝杯は端でも優勝杯だった!
鼻の下が伸びすぎたのか、バルガスが俺を射殺す勢いで睨んでいる。俺はできるだけ冷静な顔を装い、ドラ美ちゃんの背中に移動を始めた。
おうふ、ジャンプすると凄いぽよんがぁーーーーー!
少し高く跳びながら、倍の数のジャンプしてドラ美ちゃんの背中まで移動した。
「ふふふっ、テンマさん、ありがとう」
うん、俺の作戦が完全にバレている気がする……。
それからドラ美ちゃんが飛び上がるとマリアさんが抱きついてきた。ピピの指示で急降下や海面で低空飛行してくれた。
過激な飛び方……、ポヨヨンで最高ですけど、何か?
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