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chapter※04※※※※※※※※
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「食事は続けてくれよ。それで?私も一度聞かないといけないと思っていたところだ。朱鷺は結婚についてどう考えているのか、交際相手がいるのかどうか…美鳥や西田は知っているだろうが本人に聞くのが正しいと思ってな」
食事は続けてと言いながらも、シャンパンボトルを遠藤の前に置いた父が俺を見る。
俺はその父ではなく、慣れた手つきでシャンパンを開ける遠藤を見ながら
「どういう答えなら父さんは満足だ?」
と、俺も今まで聞かなかったことを聞いてみる。
「私の満足など簡単なことだよ。私のような失敗をせず円満な家庭を築いてくれればいい。それは朱鷺だけでなく美鳥にも同じように思うよ。美鳥がそんな家庭を持つのを見届けて田代に報告するまでは元気でいたいと日々思っているよ」
「美鳥様はまだ24歳でいらっしゃるので、まだまだかもしれませんよ?旦那様には健康でいていただかないと」
「そうだね、美鳥は仕事も楽しそうだからな。でも結婚は結婚でパッとしてしまう可能性もあると思わないかい?」
シャンパンをグラスに注ぎながら二人が話す間に何をどこまで話すべきかを考えた。
「じゃあ、遠藤くん。支配人としてのこれまでの活躍ご苦労様。今後は朱鷺と美鳥をはじめ蜷川をよろしくお願いするよ…乾杯」
「ありがとうございます」
「よろしく」
俺もグラスを合わせると
「それで?朱鷺のことを聞かせてくれ」
父が再度俺を見た。
「父さんのような失敗とは蜷川を混乱させたこと?」
「それもそうだが、大切な子どもを手元に置いておけなかったこともな」
「それは留学させるという立派な親の役目を果たしたんだろ」
「美鳥はもう少し手元で育てたかったがね…朱鷺…」
父はテーブルに置いたグラスを見たまま続けて言った。
「…朱鷺にしては真っ直ぐ返事が返ってこないな。答えを躊躇う理由は?」
「結婚したいと思っている」
「そうか。お相手は?」
「今は父さんに紹介するようなタイミングではない」
「そうか、それはかまわないよ。お相手のお嬢さんのお名前は?」
「まだ伝えるほどでない」
「朱鷺様の片思いでいらっしゃるのですか?いや、それでは結婚とはおっしゃらないですよね…」
遠藤が俺と父の顔を見比べて額を2本の指でポリポリと掻いた。
「朱鷺…美鳥か?」
父は言い終えるとともに確信を持った視線を俺に向け、遠藤は驚きを隠さずにそれを見た。
「美鳥な…俺は美鳥と結婚したいが美鳥がうんと言わない」
食事は続けてと言いながらも、シャンパンボトルを遠藤の前に置いた父が俺を見る。
俺はその父ではなく、慣れた手つきでシャンパンを開ける遠藤を見ながら
「どういう答えなら父さんは満足だ?」
と、俺も今まで聞かなかったことを聞いてみる。
「私の満足など簡単なことだよ。私のような失敗をせず円満な家庭を築いてくれればいい。それは朱鷺だけでなく美鳥にも同じように思うよ。美鳥がそんな家庭を持つのを見届けて田代に報告するまでは元気でいたいと日々思っているよ」
「美鳥様はまだ24歳でいらっしゃるので、まだまだかもしれませんよ?旦那様には健康でいていただかないと」
「そうだね、美鳥は仕事も楽しそうだからな。でも結婚は結婚でパッとしてしまう可能性もあると思わないかい?」
シャンパンをグラスに注ぎながら二人が話す間に何をどこまで話すべきかを考えた。
「じゃあ、遠藤くん。支配人としてのこれまでの活躍ご苦労様。今後は朱鷺と美鳥をはじめ蜷川をよろしくお願いするよ…乾杯」
「ありがとうございます」
「よろしく」
俺もグラスを合わせると
「それで?朱鷺のことを聞かせてくれ」
父が再度俺を見た。
「父さんのような失敗とは蜷川を混乱させたこと?」
「それもそうだが、大切な子どもを手元に置いておけなかったこともな」
「それは留学させるという立派な親の役目を果たしたんだろ」
「美鳥はもう少し手元で育てたかったがね…朱鷺…」
父はテーブルに置いたグラスを見たまま続けて言った。
「…朱鷺にしては真っ直ぐ返事が返ってこないな。答えを躊躇う理由は?」
「結婚したいと思っている」
「そうか。お相手は?」
「今は父さんに紹介するようなタイミングではない」
「そうか、それはかまわないよ。お相手のお嬢さんのお名前は?」
「まだ伝えるほどでない」
「朱鷺様の片思いでいらっしゃるのですか?いや、それでは結婚とはおっしゃらないですよね…」
遠藤が俺と父の顔を見比べて額を2本の指でポリポリと掻いた。
「朱鷺…美鳥か?」
父は言い終えるとともに確信を持った視線を俺に向け、遠藤は驚きを隠さずにそれを見た。
「美鳥な…俺は美鳥と結婚したいが美鳥がうんと言わない」
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