手を伸ばした先にいるのは誰ですか～愛しくて切なくて…憎らしいほど愛してる～【完結】

chapter※04※※※※※

ニュースで見かけるような人たちが次々と若い蜷川朱鷺へ頭を下げる。

蜷川朱鷺の方も丁重に社交挨拶を繰り返す。
ここでファーストネーム呼びはふさわしくない。
大人なビジネス関係を築くことが正しいわね。
蜷川社長と呼びましょう。

しかし、ビジネス依頼を受け取ってもいないと言われ愕然とする…余裕を失ってはダメよ…と、そこは表情に出さない。

Ninagawa Queen's Hotelは諦めるか…でも将来的には実業家佐井友理奈のビジネスのターゲットとして関わりをキープしておきたい。

「蜷川社長、お忙しいところをありがとうございます」
「お招き頂きありがとうございます、高田頭取。設立100年おめでとうございます」
「ありがとうございます。これもひとえに蜷川様をはじめとする顧客様のおかげでございます」

なるほど…蜷川様と言い替えたのは蜷川一族も顧客ということなんでしょうね。

私は日都銀行に相手にしてもらえなかったけど…頭取の娘で友人の高田ありさと蜷川社長が挨拶を交わすのを見て名案を思い付いた。

「蜷川社長とありささん、とてもお似合いですね。あまりにも素敵で見とれてしまいます」
「友理奈さんの社交辞令には困りますわ…ね？蜷川社長？」

そう言うありささんが、父親から結婚を急かされていることを私は知っている。

この二人が結婚してくれると、私は日都銀行ともNinagawaとも関わりを持ったままでいられる。

私がビジネス以外で蜷川朱鷺にアプローチすることはない。
彼の涼しげに整った顔立ちはそそらない。

それよりは…そうね、先日会ったオークワイナリーの柏木さんはとても魅力的。

私好みの容貌魁偉としたたくましい様子が強烈なセックスアピールとなる。