手を伸ばした先にいるのは誰ですか～愛しくて切なくて…憎らしいほど愛してる～【完結】

chapter※03※※※※※※※※※※

まだ発売前の私のブランド化粧品を丁寧に梱包する。

日都銀行令嬢、高田ありさや蜷川朱鷺、美鳥兄妹など世間に影響力のありそうな友人やビジネスになりそうな友人たちへの荷物を準備し、心を込めて手書きの手紙を添える。

ブランドを立ち上げたタイミングでテレビへの出演が微減しているし、動画投稿サイトの登録者数も頭打ち状態となっている今、人気美容家佐井友理奈としてよりは実業家佐井友理奈として飛躍すべきときだと考えている。

大手既成ブランドで私の監修した美容液を販売したときに大ヒットした。

私の名前を使って大ヒットしたのだから、私がブランドを立ち上げれば大きな話題となり美容液を上回るヒットは間違いない。
何しろ、美容液だけでなく基礎化粧品を一式発売するのだから。

思っていたよりも製造過程で費用がかかった。
ボトルなどにこんなに費用がかかるなんて知らなかったけど、発売決定前からブランドを立ち上げると公言していたので中断するわけにはいかない。
銀行に融資をお願いしたが、日都銀行はダメだった。
大きな銀行は軒並みダメでやっと地方の信金で融資を受けることができた。

あと、不思議なのは製造過程まで一緒に働いていたスタッフが一斉に辞めたことだ。
苦労して作り上げたものが世間に出回るのを待たずに辞めるのは何故？販売には興味がない？

まあ、一気に話題になって収益を独り占めさせていただくわ。

融資もすぐに返済して、実業家佐井友理奈の名を不動のものにしてみせる。

荷物を送ってからしばらくすると日都銀行設立100年記念パーティーの招待状が送られてきた。

ありささんとは友人だし、何より私がパーティーへ参加すると華やかでいいのだと思う。

今回の融資はしてくれなかった日都銀行だが、実業家佐井友理奈と接点を持っておいた方がいいと賢明な判断をしての招待状だろう。さすが、天下の日都銀行…先々の読みが素晴らしい。

私はカレンダーを見て、パーティー当日までの全身ケアスケジュールを組み立てた。