結婚までの120日～結婚式が決まっているのに前途は見えない～【完結】

パラレル 結婚までの120日【本編とは全く異なるif…】

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「朱、おかえり」
「ただいま。起きてたのか…」
「うん。トマトとレタスのコンソメ卵スープ、どう？もっとがっつり？」
「遅いからスープだけもらうけど…先に香歩」

　チュッ…

　4月から営業担当になった朱の帰宅時間が遅いことが増えた。でも1年後、戦略総務課という会社のブレイン部署へ引き上げてもらうための経験だと朱が納得の上で、全く希望していなかった営業職に着いた。

　私は出来るだけ食事のサポートをしながら、夜は朱と同じベッドで一緒に眠る毎日になった。それが自然過ぎて、もう何の躊躇いもない。

　すでに婚約破棄については、片山先生から私の方へ入金があり完了している。

　私の仕事は部署の変更もなく、変わったのは‘主任’になったこと。だけど、日々の業務に変わりはなく、定期的に部長、課長と会議に参加して現場と事務の円滑な業務についての意見を交わす時間があることと、それに伴う指示を私から羽田さんや今井さんへ出すようになった。

「来週末、旅行な」
「どこ行くの？」
「高原」
「ふふっ…お楽しみってこと？」
「そ。二人で旅行」
「嬉しい」
「ん」

　結婚式をするはずだった6月の週末、朱がどこかへ連れて行ってくれるようだ。行き先がわからなくても、朱となら何の不安もない。

　心と精神の奥深くから、もう何年も愛している朱だから。

　そして私と朱は、今年のクリスマスに結婚すると決めていた。