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家族のありよう
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「いえ…ご存知なくて当然だと思います。特に公にしているわけではないので」
咄嗟のことで、普通に本当のことを言うしかなかった。
「無理やりチョコは押し付けたけど、彼女がいるならお返しはいらないからね、木戸くん」
ポンポンと瑛人の肩を叩いて
「じゃあ、明後日ね」
三上さんは、私たちに手を振って歩いて行った。
「さすが、心配りの出来る先輩だな。可愛い彼女が気を揉むことのないように‘お返しはいらない’だってさ」
「…本当に心配りが出来るなら…私なら…デート中の人に触れたりしないと思う」
「俺、香歩に愛されてるな。ヤキモチも可愛いし嬉しい」
きゅっと私の手を握った瑛人が、ヤキモチを鬱陶しいと言わなかったことは嬉しい。
「でもその言い方は俺にだけにしておけよ?他の人が聞いたら、先輩より私の方が心配りが出来るっていう嫌みに聞こえてしまうからな」
「…そっか…ごめん。聞き苦しいよね」
「全然。俺に言ってる分には大丈夫だよ。家だけの話ってあるだろ?それと一緒」
「うん」
世界中どこにでもある、家だけの話、家族間限定の話…結婚イコール家族という感覚がもう定着しているのかな。
恋人、婚約者、夫婦…形にこだわらずに一緒にいることは誰よりも理解できる環境で育った私だが、自分のことになると、もっとあまあまの恋人気分の同棲生活をどこかで思い描いていたのかもしれない。
咄嗟のことで、普通に本当のことを言うしかなかった。
「無理やりチョコは押し付けたけど、彼女がいるならお返しはいらないからね、木戸くん」
ポンポンと瑛人の肩を叩いて
「じゃあ、明後日ね」
三上さんは、私たちに手を振って歩いて行った。
「さすが、心配りの出来る先輩だな。可愛い彼女が気を揉むことのないように‘お返しはいらない’だってさ」
「…本当に心配りが出来るなら…私なら…デート中の人に触れたりしないと思う」
「俺、香歩に愛されてるな。ヤキモチも可愛いし嬉しい」
きゅっと私の手を握った瑛人が、ヤキモチを鬱陶しいと言わなかったことは嬉しい。
「でもその言い方は俺にだけにしておけよ?他の人が聞いたら、先輩より私の方が心配りが出来るっていう嫌みに聞こえてしまうからな」
「…そっか…ごめん。聞き苦しいよね」
「全然。俺に言ってる分には大丈夫だよ。家だけの話ってあるだろ?それと一緒」
「うん」
世界中どこにでもある、家だけの話、家族間限定の話…結婚イコール家族という感覚がもう定着しているのかな。
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