Kingの寵愛~一夜のお仕事だったのに…捕獲されたの?~ 【完結】

まぁ

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サイサイ先生デビューSS 7

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「楽しくやったよ」
「物足りない顔だが?」
「あのね、羅依。これはお仕事なの。羅依も今朝言ったでしょ?クラブダンスなの。植木さんがオーケーって言って明日も同じでいいって言うくらいなんだから、こんなものなの。わかる?」
「才花は中途半端に動いて不完全燃焼」
「はぁ?まだ言うの?」

冷たい声と無表情で私を見透かす羅依にペットボトルをグリグリと押し付けて返すと

「上着を着ろ。行くぞ」

羅依が言う。行く?帰るんじゃないの?私は羅依に手を引かれ、手を振るタクと植木さんに見送られてクラブの裏から外に出ると

「どこに行くの?」

細い路地で羅依に聞く。

「3分待て」
「カップ麺?」

チュッ…このこめかみへのキスの意味は?分からないな…

「ジムに行くの?」

通い慣れた緒方先生のジムの入るビルに向かっているようで…やっぱり、と思ったけれど羅依はジムのある2階でなく、1階へと進み見知らぬドアを解錠すると、パチパチッ…シーリングライトを点けた。

「…スタジオ?」

今はブラインドが降りているけれど、道路に面した一面はガラス張り。あとの3面は今のドア以外は鏡になっている。

「才花の部屋」
「私の部屋?」
「そうだ。俺の才花の部屋だ」
「…鏡が大きいね」
「俺の才花好み」
「フロアがダンス仕様だね」
「俺の才花好み」
「音響は?」
「俺の才花好みになってる」
「防音は?」
「当然」
「もう曲って入ってる?」
「ああ」

それだけ言うと、羅依は部屋の隅の壁の部分にもたれて足を投げ出し、ゆったりと座った。

私は音響セットの前で電源を入れると、とりあえず1曲目から流す。

「わぉ…」

部屋の隅から隅へと歩き回っていると

「何してる?」

羅依が不思議そうに聞く。

「うん…鏡が多い部屋って残響が大きかったりするから確かめてる」
「どういうことだ?」
「部屋の中で位置によって音が取りづらい場所が出てくるの」
「…才花に最初から作らせれば良かったか?一応、専門業者に発注したが…」
「大丈夫、ありがとう。問題ないよ」

と、上着を羅依の足にポンと脱ぎ捨て靴を履き替えると、床体操のようにロンダード、バク転、バク転と回り着地のフロア感覚を確かめてから、足を滑らすステップでさらに感触を確かめる。

「羅依、いい部屋だね。私好み」
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