さまよう綸◆◆若頭からの求愛…迷惑だわ◆◆ 【完結】

special thanks

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　そこからは快適な妊婦生活を送らせてもらった。

　台所に立つ時、1時間以上になると京太さん親子の声かけで、必ず15分座って休憩する。畠山さんが仕事に呼んでくれるのはいつも‘30分は昼寝をしてから来てください’と昼食後。

　自分が食べる回数は減らしながらもケーキ屋さん和菓子屋さんや青果店などにも行き、その際お天気が良ければ気分転換や散歩にと、伊東さんが店に出入りするだけにならないよう車を止める場所や歩くコースを考えてくれた。小さな公園などを歩くこともあり小さな子どもを遊ばせるお母さんの姿を目にすることもある。

　外を歩くので伊東さん小笹さんに加え尾木さんが一緒に来てくれるようになり、私のお腹が目立ち始めるまでは近所の方々やいつものお店の方々の間で‘高須の謎の見回りが始まった’と噂になっていたらしい。

　お腹が目立ち始めると鮮魚店のご主人が‘これでカルシウム摂って、毎日少しでいいから続けてな’とうるめいわし丸干しを一串、必ず下さる。他にも旬の果物や野菜など頂いたり、豆腐店では必ず豆乳をその場で飲んで行けと言われる。

「綸、体調は？」
「皆のおかげで絶好調。今日も豆乳を店先でごくごく頂きました、ふふっ」
「こいつは？動いてる？」

　正宗が大きくなった私のお腹に手を当て聞く。

「よく動いてるよ…またダメだね…今は」
「腹ん中で反抗期とはいい度胸だ」

　そう言った彼は愛しそうに目元を緩めお腹にキスをした。お腹の子はよく動くが不思議と正宗が手を当てると動かない。それでも正宗は気を悪くする様子もなく毎朝毎晩お腹に手を当てキスをした。