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第六話 5

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 その時、彼の部屋にもあるスマートスピーカーからチャイム音がし、下に来て、と音声が聞こえた。

「遅くなったが昼飯だろ。行こう」

 階段を下りるとリビングのテーブルに大きな重箱があり、ソファーに潤と駿が座るところだった。

「買ってきたんじゃないのか?」

 正宗が私をソファーへ座らせながら彼らに聞くと駿が答えた。

「綸ちゃんが帰って来るのに合わせて京太さんが作って持って来たんだよ。今度、綸ちゃんに会いたいってさ」

 食事をしながら京太さんの話を聞いた後、先ほどの話に戻る。

「すぐに働きたいんだけど…」
「ここに慣れるのがまず先。仕事はその後だ」

 隣から正宗に却下されどうしたものかと考える。

「みんな仕事に行くでしょ?私も仕事しなきゃ暇で死にそうになるわ、きっと」
「簡単に死ぬって言うな」
「綸ちゃんの場合リアルだからマジやめて」

 正宗と駿の後に、潤が箸を置いて尋ねてくる。

「綸ちゃん、派遣でいろんな事やってたからパソコン使えるよね」
「普通の事務レベルは大丈夫だと思う」
「だよね。ちょっと待ってて」

 潤は奥の部屋からパソコン1台と書類3枚を持って戻ってくると重箱や皿を私の前から退けパソコンを置く。そして、ある画面を開くと

「この書類、ここにデータ入力して」

 と言い3枚の書類を私に手渡した。説明がないので画面と書類を見比べ入力内容を確認してから着手する。すぐに終わったが何かがおかしい。

「潤、終わったんだけど…この数字間違ってないかな?」

 1枚の書類を指さすと、隣から大きな手が私の頭を撫でる。

「綸ちゃん思ったより入力早いし、その間違いを見つけるのは合格だよ」

 潤の言葉で今のが最低限のテストなのかなと思うが、何故今ここで?

「綸は俺らが高須組の人間だとは知っているな?」

 大きな手を頭の上でポンポンしながら正宗が聞く。頷くと彼らの仕事を説明してくれた。
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