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仮定の真否 10

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「まず現在だな。何が一番大切だと思う?」
「…ケガを治す?」
「そうだ。今すぐ治せるか?」
「ムリ」
「そうだな。だったら、その間にこうして一緒に未来を考えればいいんじゃないか?」
「そうだよ、玖未ちゃん。こうして初めて話す相手とかいると、違う刺激を受けて、いろんな考えが浮かぶと思うよ。今度はそれに悩むくらいかもしれないね。この先、何をしようかっていうわくわくする悩みだね」
「部屋はここが広く空いていますし、今日ももう時間ですが…灰谷のところで包帯のケアをしてシャワーをしろと連絡が入っています。今の玖未さん一人では困ることもあるでしょうから、ここにいてください」

情報量が多いだろうが頷いた玖未に着替えを選ばせてから、灰谷兄妹のところへ送って行く。

1時間で迎えに来ると伝えてすぐに部屋に戻ると、すっかり片付いたテーブルにはパソコンとタブレットが複数広げられていた。

「玖未さん、頑張りましたね」
「できすぎ…頑張りすぎだ」
「俺と同じく頑張り屋で努力家の性分だね」
「「…」」
「無言の肯定をサンキュー。俺たちの仮定は半分正解ってとこだね。どうする?」
「目黒さんにリーク」
「こっちでは動かない?」
「こっちでは玖未が切ったあとに細心の注意が必要だ」
「そうですね。表から表沙汰になるのが玖未さんの気持ち的にもいいでしょう。須藤が動いたとなるよりは…すぐに連絡をします」

こういう時は後に残るメールなどは使わず、信頼出来る刑事に直接電話を入れる。

野沢が電話する間に

「玖未の部屋は即解約」
「了解。管理会社どこだったかなぁ」

右京がパソコンを叩く。俺もスマホを手にすると

「休みと言いながら悪いが今どこだ?」
‘屋敷です。あんなことの直後ですから待機していました’
「そうか。大西」
‘はい’
「玖未についてくれるか?」
‘はい、光栄です。若のご期待に沿えるよう、精一杯努めさせていただきます’
「頼む。屋敷で大西が動いてるものを親父とも相談して次へ引き継ぎしてくれ」
‘2日でよろしいですか?’
「まだ玖未がそう動けないから1週間で大丈夫だ。ただ、こことは行き来してくれ」
‘承知。親父の帰りを待って動きます’

少しずつ玖未を守る体制を整える。

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