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a bond of love*愛の絆

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「紫乃…超いい女だな…惚れ直した、俺」
「ありがとうございます?」
「冗談じゃなく、本気で惚れ直したわ…ああ、俺…幸せかもしれない」
「あははっ…かもしれないの?そこは‘幸せ’って言い切るところじゃないの?」
「うーん…」

 何やら真剣に考える壱は洗ったままの髪を右手で一度くしゃっと握った。

「今の気持ち、今の感覚を経験したことがないんだよな…これが幸せというものか?って…誰か教えてくれたらいいが…」

 なるほど…私もそうかな…

「壱の言っていることはわかるよ。そう言われたら私も同じだもの。でも…幸せって…自分が感じたら幸せでいいかな…難しく考えてもわからないし、考えるものでもないかな…美味しいねって食べて幸せ。一緒にいて楽しくて幸せ…こうして何でも話せて幸せ…たくさんまとめて幸せだよ、やっぱり私」

 全部壱がいるからだよね。毎日毎日好きになるんだもの。

「あー紫乃」

 両手を自分の髪に差し込み頭を抱えるようにテーブルに肘をついた壱は

「悪いが…頼みがある…」
「うん、何?」
「ここ…このままに…皿も運ばずこのままにして行く…片付けまで一人でさせて悪いが頼めるか?」

 そう言って私を見た。

「いいよ。お水持って行く?」
「下でやるからある」
「そう。いってらっしゃい」
「ん…このテーブルを挟んだ距離のままでないと…今紫乃に触れたら抱いてしまうから…ダメなわけではないだろうが…抱きたいけどそれだけじゃない。紫乃の感じる幸せと俺の感じる幸せは抱き合う時だけじゃないとわかるから…」
「それはそうだよ、もちろん」
「紫乃の言う、たくさんまとめて幸せ…のたくさんを増やして…永遠に一生増やし続けていくから、俺。ちょっと頑張りどころで頑張ってくるわ」
「うん。お仕事を頑張っている壱も好き」
「それは…それを聞くとベッドへ誘われているようだが…断る」

 笑いながら立ち上がった壱は

「明け方に襲われても驚くなよ、紫乃」

 私の頭をポンポンとしたあと耳たぶを撫で、チュッと口づけると足早に部屋を出る。私は彼の気持ちを理解し見送らず

「いってらっしゃい、壱」

 聞こえるであろう声で言った。永遠に一生…か…
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