甘い支配の始まり～愛に従え 愛に身を委ねろ～【完結】

who they really are and he really is*彼らの本性と彼の本性

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　‘瑠璃子？’

　あー決定的だと思う。私の前でいつもは‘瑠璃子ちゃん’と言っていたのに…

「もう…わかった…付き合ってるんだ…いつから？」
　‘何がわかったって？瑠璃子に聞いたのか？’

　征二の大声がオフィスに響き、長谷川さんの声が私の耳に入ってくる。

「電話で良かったな。こいつキレたらヤバそうだ」

　一瞬彼の唇が耳に触れたようだが、気にする間もなく征二の声が続く。

　‘俺は紫乃が好きだよ。瑠璃子に誘われて…何度も誘われ続けていて’
「…それでいつから付き合ってるの？」
　‘いつって…’
「もういいよ。付き合ってはいるってことだよね？…気持ち悪い…」
　‘はっ？気持ち悪い？’
「気持ち悪いよ…こんな近くで浮気する人…すごく気持ち悪い」
　‘紫乃、気持ち悪いは取り消せよ’
「…」
　‘紫乃が好きで付き合って…瑠璃子にも誘われて…男ならそれくらいあるだろ？なぁ、今夜行くから。弁当は買ってってやる’
「いらない…もう来ないで。もう付き合えないから」
　‘はぁ？別れるってこと？’
「そう」
　‘無理’
「どうして？瑠璃子がいるでしょ？」
　‘紫乃と瑠璃子は別人だろ？’

　何を言っているんだろう…別人だから何？

「とにかく付き合えない。別れるから」

　私がそう言い終わるかという瞬間、長谷川さんによって通話が終了させられ彼に抱きしめられた。

「頑張ったな、紫乃。相手の出方を見ないといけないが、紫乃の意思表示は出来たわけだ。よく頑張った」