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part 17-6
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「カンパーニュと…ごま食パンはホールと1本で買うね。いつもいつの間にか無くなってるんだよね」
「ん」
「龍之介も選んで」
「これ」
「塩バターナッツだね。前の3人にもこれと何がいいかな…甘いものが得意かが分からないからカスクートにしておこうかな…きっと朝食がまだでしょ?」
誰も何も言わないけれど、出られる人が出て来てくれたのだと思う。それから
「昨日がカレーだったからカレーパンは無しだね」
とか、他愛もない話をこそこそと肩を寄せ合ってしながらたくさんのパンを買って店を出る。すると少し離れたところにいた3人がまた同じようにキョロキョロと歩き始め、入口近くにいた福嶋さんと芦田さんが私達の後ろを歩く。手を繋いだ私達が大きな袋を持っていても、今日は手も口も出さないようだ。
「さっきより微妙に曇ってる?」
「雨の匂いはしない」
「分かる?」
「いつもは」
そう言った龍之介が歩きながら私の首筋に顔を埋めてスーッと息を吸い込んだ。
「ちょっとっ…なに、何?」
「鼻にパンの匂いがこびりついてるから紗栄子でリセットした」
「…恥ずかしいリセットだね…焼きたてパンの香りって幸せな香りじゃない」
「幸せな香りは紗栄子に決まってる」
マンションのエントランスまで到着すると、私達の最上階直通エレベーターの前に3人が立っている。
「朝から突然すみません。ありがとうございました」
ジャージ上下の人とスウェット上下の人、そして上がジャージで下がスウェットの人に
「これ、朝食にどうぞ。飲み物も入ってます」
小分けにしていた袋をそれぞれに渡すと、ありがとうと受け取ってくれた。そして福嶋さんと芦田さんもそこで私達を見送ろうとするので
「いつも通りで大丈夫だよね、龍之介」
と見上げる。
「ん、紗栄子の日常」
「うん、それ。もしかしたら舞生さんがポツンと部屋にいるかも」
そう言って4人で上がると、本当に舞生さんが部屋に来ていて
「なに、何?どういうこと?ボクは仲間外れにされたのっ?」
と靴をまだ脱がない私達に迫ってくる。
「ん」
「龍之介も選んで」
「これ」
「塩バターナッツだね。前の3人にもこれと何がいいかな…甘いものが得意かが分からないからカスクートにしておこうかな…きっと朝食がまだでしょ?」
誰も何も言わないけれど、出られる人が出て来てくれたのだと思う。それから
「昨日がカレーだったからカレーパンは無しだね」
とか、他愛もない話をこそこそと肩を寄せ合ってしながらたくさんのパンを買って店を出る。すると少し離れたところにいた3人がまた同じようにキョロキョロと歩き始め、入口近くにいた福嶋さんと芦田さんが私達の後ろを歩く。手を繋いだ私達が大きな袋を持っていても、今日は手も口も出さないようだ。
「さっきより微妙に曇ってる?」
「雨の匂いはしない」
「分かる?」
「いつもは」
そう言った龍之介が歩きながら私の首筋に顔を埋めてスーッと息を吸い込んだ。
「ちょっとっ…なに、何?」
「鼻にパンの匂いがこびりついてるから紗栄子でリセットした」
「…恥ずかしいリセットだね…焼きたてパンの香りって幸せな香りじゃない」
「幸せな香りは紗栄子に決まってる」
マンションのエントランスまで到着すると、私達の最上階直通エレベーターの前に3人が立っている。
「朝から突然すみません。ありがとうございました」
ジャージ上下の人とスウェット上下の人、そして上がジャージで下がスウェットの人に
「これ、朝食にどうぞ。飲み物も入ってます」
小分けにしていた袋をそれぞれに渡すと、ありがとうと受け取ってくれた。そして福嶋さんと芦田さんもそこで私達を見送ろうとするので
「いつも通りで大丈夫だよね、龍之介」
と見上げる。
「ん、紗栄子の日常」
「うん、それ。もしかしたら舞生さんがポツンと部屋にいるかも」
そう言って4人で上がると、本当に舞生さんが部屋に来ていて
「なに、何?どういうこと?ボクは仲間外れにされたのっ?」
と靴をまだ脱がない私達に迫ってくる。
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