147 / 224
part 14-1
しおりを挟む
突然、龍之介のお父さんとお母さんが来た…龍之介も親父、姐さんと呼ぶ二人だとは前から聞いている。
龍之介より一回り小さな紳士がお父さん。目鼻立ちが龍之介とよく似ている。
ふっくらと肉付きはいいようだけど太っている訳ではないお母さんは、よく通る声ですぐに私を“サエコ”と呼び始めた。着物のことは全く知らない私でも、紅葉の柄で秋の着物だなとかボルドー色の帯締めが秋なのかな、とは思う。
私に掛ける声も大崎さんへ掛ける声も全く同じトーンの龍之介のお母さんは気持ちのいい人という印象だ。そして言われた一家に1台は、悪い意味ではないと思うものの“雰囲気”ってなんだろう。
「一緒にいて非常に役立つ、楽しい、安らぐという意味で使われる言葉です」
「一つの家庭に一つあること、または一つあることが理想的であると説く文言ですね」
芦田さん、福嶋さんが私に教えてくれて
「…っていう雰囲気…初めて言われた…」
と龍之介を見る。
「深く考えなくても、姐さんも親父も紗栄子にいつでも本家に来いと言いたいんだろ」
「そっか…昨日は私のことを嫌いだって面と向かって言われて…今日は嬉しいことを言ってもらった」
「紗栄子さんの物をたくさん買えると嬉しいんだが?ほら、コートが出てきた。袖を通してきなさい。気に入らなければお直しだけでなく、セミオーダーで作ればいい」
セミオーダーとは?私が聞く間もなく、私の肩にコートが掛けられ
「あ、サエコの身長を考えてもっと短いロングコートを出してちょうだい」
と…ん?短いロングコート…姐さんスッゴイかもしれない…ちょっとわくわくしてごめんなさい、大崎さん。
龍之介より一回り小さな紳士がお父さん。目鼻立ちが龍之介とよく似ている。
ふっくらと肉付きはいいようだけど太っている訳ではないお母さんは、よく通る声ですぐに私を“サエコ”と呼び始めた。着物のことは全く知らない私でも、紅葉の柄で秋の着物だなとかボルドー色の帯締めが秋なのかな、とは思う。
私に掛ける声も大崎さんへ掛ける声も全く同じトーンの龍之介のお母さんは気持ちのいい人という印象だ。そして言われた一家に1台は、悪い意味ではないと思うものの“雰囲気”ってなんだろう。
「一緒にいて非常に役立つ、楽しい、安らぐという意味で使われる言葉です」
「一つの家庭に一つあること、または一つあることが理想的であると説く文言ですね」
芦田さん、福嶋さんが私に教えてくれて
「…っていう雰囲気…初めて言われた…」
と龍之介を見る。
「深く考えなくても、姐さんも親父も紗栄子にいつでも本家に来いと言いたいんだろ」
「そっか…昨日は私のことを嫌いだって面と向かって言われて…今日は嬉しいことを言ってもらった」
「紗栄子さんの物をたくさん買えると嬉しいんだが?ほら、コートが出てきた。袖を通してきなさい。気に入らなければお直しだけでなく、セミオーダーで作ればいい」
セミオーダーとは?私が聞く間もなく、私の肩にコートが掛けられ
「あ、サエコの身長を考えてもっと短いロングコートを出してちょうだい」
と…ん?短いロングコート…姐さんスッゴイかもしれない…ちょっとわくわくしてごめんなさい、大崎さん。
51
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
溺愛彼氏は消防士!?
すずなり。
恋愛
彼氏から突然言われた言葉。
「別れよう。」
その言葉はちゃんと受け取ったけど、飲み込むことができない私は友達を呼び出してやけ酒を飲んだ。
飲み過ぎた帰り、イケメン消防士さんに助けられて・・・新しい恋が始まっていく。
「男ならキスの先をは期待させないとな。」
「俺とこの先・・・してみない?」
「もっと・・・甘い声を聞かせて・・?」
私の身は持つの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界と何ら関係はありません。
※コメントや乾燥を受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
警察官は今日も宴会ではっちゃける
饕餮
恋愛
居酒屋に勤める私に降りかかった災難。普段はとても真面目なのに、酔うと変態になる警察官に絡まれることだった。
そんな彼に告白されて――。
居酒屋の店員と捜査一課の警察官の、とある日常を切り取った恋になるかも知れない(?)お話。
★下品な言葉が出てきます。苦手な方はご注意ください。
★この物語はフィクションです。実在の団体及び登場人物とは一切関係ありません。
わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる