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part 9-5

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「これだけ作るには、あのキッチン時間も納得ですね。どれも美味いが、私はこの炒り豆腐…ネギがいい仕事していて美味しいです」
「私も炒り豆腐にはちょっとうるさい自信がありますけど、紗栄子さんの炒り豆腐は美味しいです」

芦田さんと福嶋さんは炒り豆腐のおかわりをしながら頷き合っている。

2人が丁寧に話すのは、年齢的に龍之介より偉そうに聞こえたり見えたりすることを避けるため、龍之介自身が2人を使いづらいと思わないためなどいろいろ考えると絶対だと、芦田さんが車の中で教えてくれた。

空雅さんと舞生さんも外では“若”を徹底しているし、丁寧に話す。

それは事故の時にもカフェバーでもそうだった。

「どれもうまい」

龍之介は短く言って私の頭を撫でると、想定外の質問をした。

「紗栄子は細かく切るのが好きなのか?」
「へっ?…細かく切る…?あ、この野菜とか?」
「ん」
「ちょっと不思議な質問だね…うーん…料理の過程で必要だったら切るけど…千切っていいなら切らないし…この炒り豆腐の具を見てそう思ったの?」
「紗栄子が包丁を持つのを初めて見た時にもみじん切りにしてたからな。趣味かと思っただけだ」
「「「「……」」」」

確かに…たくあんを細かく切っていたし、今日も春巻きの具も中華サラダの具も細切りで、炒り豆腐の具はみじん切り…でも趣味ではないかな…そう思う私の前で、舞生さんの爆笑が沈黙を破った。
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