癒しと毒の融合愛◆◆心の逃げ場だけでいいのか？久遠の愛を誓う物語◆◆ 【完結】

part 7-2

「ん、正解。誰がトロいってんだ、な？」

彼は私の膝をポンポンと叩いてから

「誰がいい？」

と聞いてくる。

「ちょっと、そこの意味はわからない。ごめん」
「今のは若の説明不足です。分からなくて当然ですね」

福嶋さんが高速でキーボードを叩いたままで言ったので

「福嶋さんって…すごく働き者なんだ…」

と思わず声に出た。

「その働き者の福嶋か舞生、空雅、芦田…伊坂はまだ無理だな。4人のうち2人が紗栄子に付く。紗栄子が選んでいい」
「えっと…福嶋さんと舞生さんは龍之介じゃないの？」

ちょっとビックリしたので声が大きくなってしまう。

「4人はここに出入りしてるだろ？俺の仕事内容を共有している同じように仕事の出来る者だ。だからどの2人でもかまわない」

困った…これは難題だ。

「ボクにする？」

ああ…語尾にハートが見えそうな音色はどうして、舞生さん？

「私なら一人でもいいくらいですけれど、紗栄子さん？」

ああ…福嶋さんの薄い色付き眼鏡のレンズがキラリと光ったのは気のせい？

「…カップを洗う間に考えていい？」

私がそう言ってトレイを手にした時

「ただいま」

と言う空雅さん

「お疲れ様です」

と言う伊坂さん

「おお、生き返ったか…母さん、大変だったな」

と言う芦田さんが入って来て、1週間ぶりに会った。

「皆さん、お世話になりました」

私が立ち上がって挨拶するのを見てから、芦田さんと空雅さんが私の両親の前に行くと手を合わせ、伊坂さんが慌ててそれに続く。

「…ありがとうございます」

芦田さんは舞生さんと空雅さんを鍛えたという50歳くらいの人。空雅さんは舞生さんと同じ31歳で、伊坂さんは私と同じくらいかな。

世代の違う人たちが家族だと言って藤堂の船に乗っているんだね。