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part 6-10

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「ん。福嶋」
「はい、では紗栄子さん。私がこちらで見せてもらって彼らの要求などの概要はお伝えします」
「スミマセン…お願いします」
「大丈夫だ、紗栄子。このまま福嶋にスマホを預けて、紗栄子は新しい物を持てばいい」
「名義変更もまだ出来ていませんからね。これはお預かりして、上村紗栄子さんのスマホを購入するのがいいですね」

コクン…

「ボクも見せてね。えっと…最初はああ、紗栄ちゃんの予想通り、やっぱりダメだったって言いたいんだよね、このババァ。お母さんがあんなに素敵な最後の1時間を過ごしたってことを知らないんだ、くっそが付くババァ。こいつにはあんなに穏やかな最期は迎えられない、絶対に。で、そう言ったあとの“あなたには清水しかないでしょ?”はぁ?」
「そんな感じだよ、いつも…お義母さんの通常運転だよ。腹を立てるのがもったいないの」

なるほど、紗栄子のいた環境がよく分かる。俺は紗栄子の頭を撫でながら、福嶋と舞生がうまい具合に丸くしたサマリーを聞く。

「3人が3日間、同じことが言いたいんだね…こんなにしつこいと、私を売りたいってバレると思わないのかな?まあ、いつも“無知だ”“トロい”って言われるから…」
「頭が悪いのはコイツらだ。紗栄子を差し出そうが、情報を流したとされる自分たちの信頼は回復しないのだから組に近い、監視があるようなところで捨て駒の働きを強いられるに決まっている。組の関係者という仕事をしてきてそれがわからないはずはないが、今の内容を聞く限り浅はか過ぎて相手になる必要はない」

紗栄子は両手で持ったマグカップに口をつけてから

「もしかしたら…自分たちの行く末は分かっていて、私だけが逃げたみたいに思ってるのかな?」

そう言ってチラッと俺を見る。

「あり得るかもな。それなら、要らぬ妬みを警戒はすべきだ」

頭が悪い奴はとことんゲスいことがある。

「紗栄子、清水への対応と警戒は福嶋に任せる。いいな?」
「はい」
「清水なんかに帰るワケがない。紗栄子の家はここだ。離婚届の提出の際に公的に届け出ている」

改めて言わないと、紗栄子はまだまだここが家だと思えない。

「ここまでは紗栄子がこれまでに知っている話。ここからは新しい話。紗栄子の未来を紗栄子が自由に動かして行くための話だ。聞けるか?」
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