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part 2-7
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「かしこまりました」
店員さんの細さが強調される黒ベスト姿を見送りながら、忘れないように聞いてみる。
「藤堂さん」
「ん?」
「ティント…何とかっていうのは?」
「赤ワインの炭酸割り。赤ワイン、ソーダ、レモン、氷だから飲みやすいと思う。飲んでみて無理なら別のものを」
贅沢な発想に返事出来ずにいると、私にカフェオレを出してくれた女性店員さんが、エプロンからベストに着替えてカウンターの中に戻って来た。
ここの店員さんは黒パンツと白シャツはそのままで、カフェスタイルからバースタイルへ18時頃にチェンジする。
「格好良いですね、キリッと似合っておられて」
何度か思っていることを小さく口にして、私はこんなことを話す相手もいないのか…と気づかされた。
私の呟きは聞こえていないはずの女性店員さんが私を睨み付けた気がして、すっとお水のグラスに視線を落とす。そして
「こんばんは、オーナー」
すぐに彼女が藤堂さんに挨拶したので驚いた。オーナー?でも彼が何も言わないので、そっと隣を見ると
「ん?」
反応がある。こちらが‘ん?’だけれど、彼女の視線が気になるので貝になると決めた。
「お待たせいたしました。いつもありがとうございます」
細い男性店員さんが私に挨拶しながら、レモンの添えられたお洒落な飲み物を私の前に置いてくれる。そして藤堂さんの前には空のグラスを置いて、小さな瓶から黒いビールを注いだ。
「飲んでみろ」
「このまま口をつけて飲めばいいですか?」
「たまにマドラーで軽く混ぜる方がいい。赤ワインが下に溜まる。飲む時にはこのマドラースタンドにマドラーを出す」
ひとつ頷いた私がマドラーを動かすと
「混ぜ過ぎると炭酸が抜け過ぎる」
今日は文章を話す藤堂さんが言うので
「お洒落な飲み物って…飲むのが難しいんですね」
と手を止めてマドラースタンドというものを人生で初めて使った。
店員さんの細さが強調される黒ベスト姿を見送りながら、忘れないように聞いてみる。
「藤堂さん」
「ん?」
「ティント…何とかっていうのは?」
「赤ワインの炭酸割り。赤ワイン、ソーダ、レモン、氷だから飲みやすいと思う。飲んでみて無理なら別のものを」
贅沢な発想に返事出来ずにいると、私にカフェオレを出してくれた女性店員さんが、エプロンからベストに着替えてカウンターの中に戻って来た。
ここの店員さんは黒パンツと白シャツはそのままで、カフェスタイルからバースタイルへ18時頃にチェンジする。
「格好良いですね、キリッと似合っておられて」
何度か思っていることを小さく口にして、私はこんなことを話す相手もいないのか…と気づかされた。
私の呟きは聞こえていないはずの女性店員さんが私を睨み付けた気がして、すっとお水のグラスに視線を落とす。そして
「こんばんは、オーナー」
すぐに彼女が藤堂さんに挨拶したので驚いた。オーナー?でも彼が何も言わないので、そっと隣を見ると
「ん?」
反応がある。こちらが‘ん?’だけれど、彼女の視線が気になるので貝になると決めた。
「お待たせいたしました。いつもありがとうございます」
細い男性店員さんが私に挨拶しながら、レモンの添えられたお洒落な飲み物を私の前に置いてくれる。そして藤堂さんの前には空のグラスを置いて、小さな瓶から黒いビールを注いだ。
「飲んでみろ」
「このまま口をつけて飲めばいいですか?」
「たまにマドラーで軽く混ぜる方がいい。赤ワインが下に溜まる。飲む時にはこのマドラースタンドにマドラーを出す」
ひとつ頷いた私がマドラーを動かすと
「混ぜ過ぎると炭酸が抜け過ぎる」
今日は文章を話す藤堂さんが言うので
「お洒落な飲み物って…飲むのが難しいんですね」
と手を止めてマドラースタンドというものを人生で初めて使った。
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