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part 1-5
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思った通り‘耕介さん’と表示されるスマホをタップする私の視界には、福嶋兄弟によって準備された救急箱と水などが入り込む。
‘紗栄子っ、今どこだ?あっ?聞こえてるだろっ?何処にいるっ?おいっ、紗栄子っ’
「…早口過ぎて、大きな声過ぎて…わからないわ…」
そうゆっくりと応える私の真横でシュッ…小さくガスの抜ける音がして藤堂さんが炭酸水を飲んだようだ…もたれている体が僅かに動く。
‘のんびりしてる場合じゃないってっ。本当にトロいのは手が掛かる。今、誰と何処にいる?’
「誰と何処?」
‘頭打ってイカれたか?駅前で車にぶつかったのは紗栄子なんじゃないのかっ?ヤバいって’
夫は私が事故にあって頭を打っても、ケガの程度を心配するよりも言いたいことがあるらしい。
「頭は打ってないから、あなたの言うようにイカれた訳じゃないと思うけど?ヤバいって何の心配をして電話してるの?」
‘やっぱり紗栄子かよ…マジでやめてくれ。事故るにしても相手を選べよ’
「事故る相手を選べ…って…無理な話ね」
焦っているのか興奮しているのか…私を追いかけていたのとは別の夫の様子に
「何の心配?」
ともう一度聞いてみる。
‘お前のぶつかったのは藤堂組の車だろ?見てた奴らが騒いでた。車から下ろされたか?名前言ってないだろうな?まだ解放されてなくても絶対に名前を言うなよ?絶対に素性を明かさずに逃げて来い’
名前はもう言ってしまった。
藤堂組って反社会的な?でも隠すことなく‘藤堂’って彼は名乗ったけれど?
‘紗栄子、くれぐれも何も言うなよっ’
ブチッ…通話時間が表示されてから暗くなったスクリーンをボーッと見ていると、そっと背もたれへと私の背中は移動させられる。そして隣から藤堂さんが私を覗き込み目を合わせると
「水、どれ?」
やはり最短の言葉を発してローテーブルへ一瞬視線を投げた。
「ふふっ…炭酸水の種類が豊富でお店みたい…」
「ボクが好きなんですけど、普通のミネラルウォーターもありますよ」
「舞生が買い物するとこうなります」
福嶋さんが弟さんを見てから
「穏やかでないお電話のようでしたが、大丈夫ですか?」
微炭酸レモネードに手を伸ばしかけて藤堂さんに取ってもらった私を見ながら聞く。
穏やかでない、か…そうだよね。名前は言ってしまったけれど、貝になるべしというのは夫の電話の前から思っていたこと。
藤堂さんが蓋を開けてくれた微炭酸レモネードを一口飲んでから
「ケガは打ち身と擦りむいただけですし、治療の必要なものはありません。飛び出した私の責任の範囲内ですからこれで失礼します。ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」
3人に向かって頭を下げた。
「事故だと誰かが知っていての電話だろ?迎えに来てもらうなら住所を伝えるが?」
‘紗栄子っ、今どこだ?あっ?聞こえてるだろっ?何処にいるっ?おいっ、紗栄子っ’
「…早口過ぎて、大きな声過ぎて…わからないわ…」
そうゆっくりと応える私の真横でシュッ…小さくガスの抜ける音がして藤堂さんが炭酸水を飲んだようだ…もたれている体が僅かに動く。
‘のんびりしてる場合じゃないってっ。本当にトロいのは手が掛かる。今、誰と何処にいる?’
「誰と何処?」
‘頭打ってイカれたか?駅前で車にぶつかったのは紗栄子なんじゃないのかっ?ヤバいって’
夫は私が事故にあって頭を打っても、ケガの程度を心配するよりも言いたいことがあるらしい。
「頭は打ってないから、あなたの言うようにイカれた訳じゃないと思うけど?ヤバいって何の心配をして電話してるの?」
‘やっぱり紗栄子かよ…マジでやめてくれ。事故るにしても相手を選べよ’
「事故る相手を選べ…って…無理な話ね」
焦っているのか興奮しているのか…私を追いかけていたのとは別の夫の様子に
「何の心配?」
ともう一度聞いてみる。
‘お前のぶつかったのは藤堂組の車だろ?見てた奴らが騒いでた。車から下ろされたか?名前言ってないだろうな?まだ解放されてなくても絶対に名前を言うなよ?絶対に素性を明かさずに逃げて来い’
名前はもう言ってしまった。
藤堂組って反社会的な?でも隠すことなく‘藤堂’って彼は名乗ったけれど?
‘紗栄子、くれぐれも何も言うなよっ’
ブチッ…通話時間が表示されてから暗くなったスクリーンをボーッと見ていると、そっと背もたれへと私の背中は移動させられる。そして隣から藤堂さんが私を覗き込み目を合わせると
「水、どれ?」
やはり最短の言葉を発してローテーブルへ一瞬視線を投げた。
「ふふっ…炭酸水の種類が豊富でお店みたい…」
「ボクが好きなんですけど、普通のミネラルウォーターもありますよ」
「舞生が買い物するとこうなります」
福嶋さんが弟さんを見てから
「穏やかでないお電話のようでしたが、大丈夫ですか?」
微炭酸レモネードに手を伸ばしかけて藤堂さんに取ってもらった私を見ながら聞く。
穏やかでない、か…そうだよね。名前は言ってしまったけれど、貝になるべしというのは夫の電話の前から思っていたこと。
藤堂さんが蓋を開けてくれた微炭酸レモネードを一口飲んでから
「ケガは打ち身と擦りむいただけですし、治療の必要なものはありません。飛び出した私の責任の範囲内ですからこれで失礼します。ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」
3人に向かって頭を下げた。
「事故だと誰かが知っていての電話だろ?迎えに来てもらうなら住所を伝えるが?」
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