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第1章 異世界転移と旅立ち

第19話 商人ギルドと鉱山

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 商人ギルドは冒険者ギルドの2件隣にあった。
 中に入っていくと、カウンターにキレイなお姉さんが2人座っており、1人は接客中であった。 冒険者ギルドと違うのは雰囲気がまず違う、冒険者ギルドは荒くれ者が多く少し殺伐とした雰囲気だったが、商人ギルドは落ち着いた雰囲気なのだが商人が多いので何か引っかかりを感じる。

 《アリス、冒険者ギルドとは違うな。》

 (そうですね、商人が多いでしょうから、商談等は遠慮なく魔眼で善悪や真偽を確認してくださいね。)

 《そうするよ。さすがにこの雰囲気で自分の目を試そうとは思わないよ。》

 アリスに注意されながら、カウンターに向かうと女性に話しかけられた。

 「こんにちは、商人ギルドへようこそ。 本日は商談でしょうか?ご依頼でしょうか?」

 「こんにちは、武器屋のアントンさんからの依頼で、鉱山に行く許可が欲しいのですが。」

 紹介状を渡すと、女性は一読した後、鉱山での採掘の事を話してくれる。

 「確かにアントンさんからの依頼ですね。 ご存知かも知れませんがこちらの採掘許可書にサインと身分証明書の提出、採掘に5銀貨必要ですがよろしいですか?」

 「5銀貨は大丈夫です。 採掘は初めてで何も分からないので説明もお願いして良いですか?」

 「かしこまりました。 こちらの商人ギルドが管理している鉱山は主に鉄・銅が採掘でき、運がよければ稀に金・銀・宝石も採掘されます。 魔物は少ないのですが全く危険が無いとは言えません。 お一人当たり5銀貨お支払いいただき、採掘した鉱物は全てお持ち帰りいただいて結構です。 ただし2泊以上される場合は1泊に付き2銀貨いただいております。 今回は鉄鉱石を20キロのご依頼ですので、1泊で十分可能かと思われます。 採掘道具もお貸ししておりますがいかがなさいましょう?」

 「なるほど、取れた分だけ自分の物になるんですね。 採掘道具はアントンさんから借りているので大丈夫です。」

 そう言って、冒険者ギルドカードを提出し、許可書にサイン、5銀貨を渡す。

 「はい、手続きは以上になりますのでお気をつけて行ってらっしゃいませ。」

 まだ朝方だったので、露天で食事を5食分買って、フクロウの宿に今から採掘に行くので今晩は帰らないかもしれないことを伝え、鉱山へと向かう。

 3時間と言う事だったが、2時間少しで魔物とも出くわすことはなく鉱山に着いた。

 《なあ、アリス、こういうときも探知のスキルが便利だよな。》

 (そうですね。探知を使って鉱石の多いところを掘りましょう。)

 探知のスキルで鉄鉱石を探すと、鉱山だけありたくさんの反応が見られた。
 銅の反応も同じくらいある。 金や銀を探すと、少量だが反応がある。

 《鉄や銅はかなりあるようだから、金や銀をメインで探して、その周辺にある鉄などを掘っていこう。》

 (そうですね。 私も探知が使えるので、私は宝石や他の金属がないか捜しながら、魔物を警戒しておきます。)

 《ありがとう、それでいこう。》

 最初に金の反応があった場所に向かうと、鳥の魔物が上空から近づいてきた。

 (Eランクのロックバードです。 山岳地帯に住んでいる魔物です。 幸い1匹ですから、私が風魔法で落としたところを止めをお願いします。)

 アリスのウインドカッターがロックバードの羽を切り裂くと、ロックバードが墜落してくる。 警戒しながら近づきサーベルを振ると、あっさりと首と胴体が分かれた。

 《このサーベルはすごい切れ味だな。 ロングソードは叩くような感じだったけど、これはまさしく切る感じだよ。》

 (良かったですね。 鍛冶もいいですが、ヤスト自身がこれ以上の武器を作るのはまだ先ですね。)

 アリスにいたずらっぽい声で答えられながらも、ロックバードの死体はアイテムボックスに収納して先に進む。進んでいると2匹のロックバードと戦闘になったが、アリスとのコンビネーションでアッサリと倒して進む。

 《ここらへんだな、アリス警戒はよろしく。》

 早速、つるはしで掘り始める。 ステータスのお蔭か難なく掘れていく。
 夢中で2時間ほど掘っていると、周りには鉄鉱石が20キロ、銅が10キロ、金・銀が500グラムずつ、それとアメジストの原石が一塊取れた。

 《もう量的には十分だが、昼食を食べて休憩したらもう一分張りしようか。》

 (こんなに早いのもビックリですね。 ヤストのステータスは前よりも上がっているのでしょうね。)

 そういえば最近はステータスの確認をしていなかったので、ホットドッグを食べながら確認をする。


  名前 : ヤスト(城之内 康人)
   種族 : 人間
   年齢 : 20
   職業 : 冒険者(Fランク)
   LV : 12   HP : 150/155
   MP :  155/155
   筋力 :   83(+60:鉄のサーベル)
   魔力 :  103
   耐久力 :  83(+15:皮の鎧、+25:鉄の胸当て)
   敏捷性 :  73
   運  :  100
   魅力 :  100

   ギフト
   【魔眼】最上位鑑定・生物の善悪の把握・言葉の真偽判定
    【経験】取得経験値2倍・スキル取得率成長率2倍・知識記憶固定
    【時空魔法】時間魔法・空間魔法・時空魔法
   
   スキル
   念話 4 (思考での会話、相互会話には相手にも念話が必要)
    剣術 2 (剣の扱いに補正)
    探知 2 (植物・無機物の探知)
    気配察知 2 (生物の気配察知)
    魔道具製作 1 (魔道具製作・付与が可能)
    料理 2 (料理上手)
    生活魔法 2 (生活魔法を利用可能)
    
   称号
    【異世界転移に巻き込まれた者】
     異世界言語の通訳読み書きが出来る。能力が平均以上になる。運が高くなる。
    【猫に手を差し伸べた者】
     動物全般から好かれるようになる。魅力が高くなる。
    【アトゥム神の加護】
     スキルが覚えやすくなる。スキル成長が早くなる。アトゥム神と対話が出来る。


 スキルレベルも順調に上がっているようだ、ステータスの数値をアリスに読み上げると、

 (ベテランどころか一流冒険者の数字ですね・・・ 称号のお蔭でしょうが、Bランクの魔物くらいなら1人でも大丈夫でしょうね。)

 《そんなにか? このまま続けて行けば最強になれるかもな。》

 (まぁ、勇者や魔王の強さは相当なものと聞いていますから、最強は難しいかも知れませんが、自由に生きていく力はついて来ると思いますよ。)

 そんな事を話しながら、採掘作業に戻る。
 結果的に日が暮れるまで採掘し、全て合わせると鉄鉱石が60キロ、銅が25キロ、金が2キロ、銀が2キロ、アメジストの原石が一塊、水晶と石英も採掘出来た。

 《よし、今日はここで休んで、明日の朝一番で町に帰ろう。》

 (そうですね。この掘った後を背中にして置けば魔物に囲まれることは無いと思いますので。)

 その後食事を取り、交代で仮眠をする。
 4時間ほど仮眠したところで、アリスと交代し、見張りとして気配察知を作動しておく。 魔物も寝ているのか朝まで何事も無く過ごし、明るくなった時点で町に向かう。

 帰り道に魔物はロックバード2匹とゴブリン3匹にを討伐しながら帰路につき、町に到着したころには、町も起き出していて活気が出たした様子なので、そのまま商人ギルドへ向かう。
 中に入ると昨日のお姉さんがカウンターにいたので話しかけた。

 「おはようございます。 昨日の依頼が終了したので報告に来ました。」

 「おはようございます。 お疲れ様でした。 ところで鉄鉱石はどちらになりますか?」

 アイテムボックスに収納したまま来てしまったので慌てて、

 「こちらに来る前にアントンさんに渡して来ました。」

 「そうでしたか、それではこちらの依頼完了報告書にアントンさんのサインをもらってきていただけますか?」


 すぐにアントンの武器屋に行き、サインをもらってから出直す。

 「はい、これで終了ですね。 お疲れ様でした。」

 アイテムボックスが楽すぎてついつい忘れがちになるので、しっかりしようと肝に銘じながらアントンの武器屋へ向かう。 
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