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第1章 異世界転移と旅立ち

第17話 武器防具購入

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 商店街に入っても、少し奴隷は気になっていたが、気持ちを切り替えて一番近くの武器屋に入る。
 中は以外に広く、マハシム村の雑貨屋とは違い、武器防具がいたるところに並んでいた。

 《アリス、武器防具もいろいろあるが、今のロングソードも時間停止の付与を付けているから壊れないんだけど。》

 (時間停止付与は耐久度は上がりましたが、武器自体の攻撃力も切れ味も変わりませんでしたよね。 極端な話、カミソリの様な切れ味が鋭い刃物を選んで時間停止の付与をすれば、壊れなくて切れ味の鋭い武器になるのではないですか?)

 《なるほど、それなら刀の様なものがないか探してみよう。》

 武器屋を見て回ると、ショートソード・ロングソードから始まりクレイモアと呼ばれる大剣、槍も手槍からハルバードまでり、斧も手斧から大きなバトルアックス、メイスまであった。 しかし良さそうな物も無く、お目当ての刀は置いてなかった。

 《う~ん、刀は無いのかな。 もう1件武器屋はあったからそちらを見てから決めようか。》

 (そうですね。 けど防具も見てみましょう。 皮の鎧だけでは防御力に不安がありますから、胸当てのようなものを皮の鎧の上から身に付けてはいかがでしょう? その胸当てに時間停止を付与すれば破壊不可能ですしね。)

 《おぉ~、アリスは天才か! 皮の鎧の上ならばこれ以上動きが阻害されることも無いしな。》

 アリスを褒めながら防具も見てみる、盾も木の盾から、ラウンドシールド、大き目のカイトシールド等もあり、身に着ける防具も皮の鎧からフルプレートメイルまである。明らかに防具の種類の方が多いように感じる。

 《こっちの武器屋は防具主体みたいだな。 胸当てはこっちとこれが良さそうだけど・・ あぁ、こういうときの魔眼だな。》

 (デザインで選ぶのも良いですが、性能で見てくださいね。 魔眼は情報量が多いので常時は疲れるでしょうがこういう時は使って見比べてくださいね。)

 そう言われて、アリスも選んでくれた胸当てと自分の選んだ胸当てを詳しく見比べてみる。

   鉄の胸当て(おれの選んだ胸当てA)
   ランク E
   耐久性 C
   レア度 E
   属性 なし
   特殊 なし
   防御力    +10
   素材 鉄
    一般的な鉄の胸当て

   鉄の胸当て(おれの選んだ胸当てB)
   ランク E
   耐久性 C
   レア度 E
   属性 なし
   特殊 なし
   防御力    +11
   素材 鉄
    一般的な鉄の胸当て

   鉄の胸当て(アリスの選んだ胸当て)
   ランク D
   耐久性 C
   レア度 D
   属性 なし
   特殊 なし
   防御力    +13
   素材 鉄
    一般的な鉄の胸当てだが模様が矢などを受け流す効果有り

 見比べた結果、アリスの選んでくれた胸当てが防御力も高く、ランクも高いことが分かった。

 《アリスが選んでくれたデザインの良いほうが防御力もランクも高いな。》

 (そうですか。 模様が入ってキレイなのでそちらを選んだのですが。)

 《その模様が防御力を上げているみたいだよ。》

 そんな話をしながら、その胸当てを購入しようとカウンターに行くと、ドワーフが立っていた。

 《おぉ、やっぱり鍛冶はドワーフなんだな!》

 (ドワーフが多いですね。 大地の加護を元々受けている種族ですし、手先も信じられないくらい器用ですよ。)

 初めてのドワーフに喜びながら、80,000クローナで購入し。店を出る。
 向かい側にあるもう一軒の武器屋に入る。

 《ここは武器の方が多いみたいだな。》

 こちらの店には武器が半数以上を占めていて、先ほどの店より武器の数がかなり多い。

 《この中なら見つかるかもな。》

 (私も選んで見ますね。)

 おれが探していると、アリスはカバンから顔を出して、探してくれている。

 (ヤスト、あそこにいっぱい剣が刺さっている樽がありますが、あそこも覗いて見ましょう。)

 アリスの言うとおり、剣の並んでいる所の横に十数本の剣が樽に刺さっており、樽に『50,000クローナ均一』の文字が見えた。
 その中をアリスと見てみると、120センチほどの細身で片刃だが切れ味の良さそうな剣を見つけた。 魔眼で鑑定してみると、

   鉄のサーベル
   ランク D
   切れ味 B
   耐久性 F
   レア度 D
   属性 なし
   特殊 なし
   攻撃力    + 35
   素材 鉄、銀(少量)
    鉄と銀を用いたサーベル、切れ味は鋭いが鋭くしすぎた為、耐久度が下がっている。

 《これなんか良いんじゃないか? 耐久度は相当低いけど、切れ味が良く攻撃力も今のロングソードの倍以上だよ。》

 (耐久度は時間停止付与が有りますから、それが良いんじゃないですか?)

 《そうだな、値段も安いしこれにしよう。》

 (店主に相談してサーベルを研いでもらえればもっと切れ味が良くなるかも知れませんが。)

 アリスと相談し、このサーベルをカウンターまで持っていく。

 「すいません、相談があるんですが。」

 「なんだ? それは安い代わりにクレームは受けないぞ。」

 こちらの武器屋もドワーフで、顔もさっきの武器屋にいたドワーフとそっくりだ。

 「いえいえ、このサーベルをもう少し研いで切れ味を限界までしていただけないかと思いまして。」

 「ん? それは可能だが耐久度がますます下がって使い物にならなくなるぞ。」

 「それでもかまわないので、研磨をお願いできませんでしょうか?」

 「分かった。面白そうだから限界まで鋭さを求めてみよう。 値段は本体込みで70,000クローナだ。 出来上がりは明日の昼には仕上げておくから取りに来い。」

 「分かりました。 明日取りに来るのでよろしくお願いします。」

 そう言いながら、銀貨7枚を渡そうとすると、

 「おいおい、先に金は受け取れねえよ。 商品を渡して、金を受け取るのが普通だろうが。」

 「いえ、自分のわがままで武器に手を加えてもらうのですから、先に支払います。 もし、限界を過ぎて、武器が壊れてもこちらの責任ですので、限界までお願いします。」

 「・・・分かった。 あんたを気に入ったよ。 おれはアントンだ、限界まで研磨してやるから明日の朝一番に来い。」

 「よろしくお願いします。 わたしは冒険者のヤストと言います。 では明日の朝一番に来ますので。」

 そう言って、7銀貨を渡してから店を出る。

 《楽しみだな。》

 (ヤストも流石ですね。 ドワーフ職人に気に入られるのはなかなか難しいと聞いています。 すごい切れ味になるかもですよ。)

 《そうなれば良いんだがな。 よしそろそろ宿に帰って夕食にしよう。》

 フクロウの宿に帰ると、ベスとノーベルが出迎えてくれた。

 「おかえり、ヤスト兄ちゃん」

 「おかえりなさい、アリスちゃん」

 2人のおかえりなさいが違う人物に向いているが気にしない。

 「ただいま、そう言えばこの宿は1泊いくらになるんだ?」

 「え~と、素泊まりで1泊5,000クローナ、朝食が500クローナ、夕食が1,500クローナですよ。」

 朝夕の食事つきで1泊7,000クローナだな、やはりマハシム村より高いが部屋はフクロウの宿の方がキレイで食事もいろいろあるのですごしやすそうだ。

 「ありがとう、しばらくこの町に滞在するつもりだから3日が過ぎてもよろしくな。」

 そう言うと、ノーベルもベスも喜んでくれた。
 エルダにホーンラビットを2匹渡すと、最初は遠慮されたが、夕食を豪華にしてもらい大満足でその日は眠りに付いた。
 
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